取材・撮影/RanRanEntertainment
『ウェストサイド物語』を押さえトニー賞を独占したブロードウェイの最高傑作『ザ・ミュージック・マン』が4月11日、日生劇場にて遂に開幕した。初日直前のゲネプロがマスコミに向けて公開され、その後行われた囲み取材には、主演の坂本昌行を始め、花乃まりあ、小田井涼平、六角精児、森 公美子、剣 幸と主要キャストが登壇した。
写真左から:小田井涼平、剣 幸、花乃まりあ、坂本昌行、森 公美子、六角精児
ミュージカル史上、最もアメリカ的と言われる『ザ・ミュージック・マン』。古き良きアメリカ時代の香りが濃厚な、なんて贅沢な舞台なのだろう。
主演で座長の坂本は、得意の歌とダンスで詐欺師、ハワードを好演。ハワードの悪の顔もしっかりと出しつつ、それでも人々を魅了する魅力的な人物像を見事に構築しているのが素晴らしい。『ザ・ミュージック・マン』の曲は、歌い上げる系ではなく、軽快な音楽が多いが、優しいバリトンで柔らかに、でも耳に残る坂本の歌は、抜群のリズム感と歌唱力があってこそ。そして、ヒロイン・マリアン役の花乃まりあは、ハワードに出会ったことで、堅物の女性からさなぎが蝶になるように、恋を知った女性へと変身する。1幕から2幕の歌の変化、透明感のあるそれでいて艶を帯びた伸びやかな声で歌うマリアンの「Lida Rose」はこの舞台の見どころの一つと言えるだろう。
脇を固めるのは個性豊かな演技派揃い。囲み取材でも、ユーモアたっぷりな回答で会場を沸かせていた森は、2度目の『ザ・ミュージック・マン』出演となるが、「私、この作品に関しましては、85年、86年度に野口五郎さんと戸田恵子さんと一緒に演らせていただいています。その時はお母さん役をやらせていただいたんですけど、この町長の奥さんの役が面白かったんですよ、見てて。その役ができて本当に幸せでございます」と意気込みを語っていたが、まさに、今回の町長の妻ユーレイリー役は、はまり役。
町長役を務める六角は「田舎町にいる融通の利かない町長というのを楽しみながらやっております。いかめしい顔をしてやってることはとても楽しいなと思える毎日を送らせていただいております」とこちらも存在感たっぷりな町長シンを演じている。
また、宝塚出身の剣は、「こういう古き良き時代の往年のミュージカルって(宝塚で)本当に何回もやってきて、今回、音を聞いているだけでワクワクするし、懐かしさとお客様みんなを巻き込むこの感覚のミュージカルがやっぱり好きだなと思ってやっております」と挨拶。
そして、今回がミュージカル初挑戦という小田井は、実は坂本と同い年。「稽古の本当に最初の日に、「はじめまして。年同じなんですよ」っていうお話をして「そうなんだよね」って逆に気さくに応じていただいたんですけど、僕は芸能界に入ったのが遅い人間なので坂本さんをテレビでみてたんです。だから同い年って分かって、頑張ってため口きくんですけど、やっぱり途中から敬語に変わるんです。頑張って「坂本くん」って言うんですけど、めっちゃ頑張ってんな俺って思いながら。でもその後の言葉が「これどうでした?」って結局敬語に戻っていくっていう。ちょっとずつため口きいても怒られん程度に頑張っていこうかなって。ねぇ、坂本くん」
坂本「(ちょっと睨みをきかせて)そうだよな」
小田井「怖い、怖い、怖い」
坂本「小田井くんも緊張している雰囲気はあるんですけど、この雰囲気だから話しやすいっていうのがあって、芝居の話から全然違う話に発展していったりしたので、僕は非常に楽しい時間でしたね」
坂本の座長ぶりについてきかれた時も小田井は、「坂本さんが座長ですごく、僕は恵まれているなと思っています。この間までWBCやってたじゃないですか、僕はもう大谷選手とかダルビッシュ選手を見てる感じで(坂本を)見てますから。もう黙って付いていこうみたいな。そういう統率力が。それに助けられるところがものすごくある」と同い年でありながら尊敬の念を抱いていることを熱く語っていた。
坂本自身は「どの作品もそうなんですけど座長という意識がなくて、あんまり。板の上に立つ人はみんな主役だと思っています。たまたま僕はやることが多くて、その自主稽古をやっているのを皆さんが見て、「わぁストイックだな」と思ってくださるんですけど、僕はただの心配症で、正直僕的には座長という仕事は一切やっていないです。それをしっかり支えてくださる方がいらっしゃるからなんとなくそうなっているだけで、みなさんのことを感謝しています」と謙虚に語るが、それを期していた森は「嘘、嘘。ちゃんとやってます」
坂本の話を横で首を振りながらきいていた花乃は「本当に背中でみんなを引っ張っていってくださる。拝見していても技術的なことはもちろんなんですけど、例えばダンスでもちょっと回った後の余韻とかジャケットを羽織るしぐさとか、ご本人にもお伝えしたんですけど、本当に衣装の着こなしとか、そういったところが本当に人生の年輪といいますか、大人の男性の魅力が詰まっていて、素敵だなと思っております」と坂本について語っていた。
たっぷりと実力派のキャスト集結させ、生のオーケストラを使うなど本当に贅沢な舞台。今年のゴールデンウィークは、ミュージカル『ザ・ミュージック・マン』で時間と場所に瞬間移動でトリップというのはいかがだろう?
【東京公演】日生劇場 2023年4月11日(火)~5月1日(月)
【愛知公演】御園座 2023年5月6日 (土)・7日(日)
【大阪公演】梅田芸術劇場 メインホール 2023年5月13日(土)~15日(月)
【静岡公演】静岡市清水文化会館マリナート 大ホール 2023年5月20日(土)・21日(日)
【福岡公演】博多座 2023年5月26日(金)~28日(日)
公式サイト:https://www.tohostage.com/themusicman/