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2013年10月17日 03:42

釜山国際映画祭で『許されざる者』上映トークショーや舞台挨拶に立った渡辺謙ら

渡辺謙主演の映画『許されざる者』(李相日監督)がガラプレゼンテーション部門に出品され、10月8日、李相日監督と渡辺謙、そして助演の柳楽優弥が、釜山を訪れた。

オープントーク4のコピー

『許されざる者』は、クリント・イーストウッドが監督・主演し、第65回アカデミー最優秀作品賞などを受賞。李相日監督はリメイクの許可を得て、舞台を明治維新後の1880年の北海道の未開拓地に変え、人斬りで恐れられたが今は幼い子ども二人と静かな暮らしを営む十兵衛(渡辺謙)が、賞金目当ての友人・一蔵(柄本明)と、倭人とアイヌの間に生まれた青年・五郎(柳楽優弥)に誘われ、貧しい暮らしから脱却するため、村の女郎の娘を傷つけた男を殺しにやってくるというストーリーに仕立てた。十兵衛は、残虐な支配者(佐藤浩一)を前に、抜くまいときめていた刀を振ることに…。

オープントーク6のコピー

8日は台風で大荒れの天候にもかかわらず、記者会見、オープントーク、舞台挨拶と分刻みで移動した3人。まず記者会見で渡辺謙は、「釜山には妻の母方のお墓があるので、今回初めて来ることができてうれしいです」と語った。

この作品に参加した理由を尋ねられた柳楽優弥は、「日本の若手俳優なら、李監督の作品に参加したいと思うのは普通です。倭人とアイヌの間に生まれた男という役柄に挑戦したかったんです。オーディションはとても怖いオーディションでしたが、いろいろ学べたので最高の現場でした」と緊張を隠せない様子で語った。

彼の緊張ぶりは撮影前からだったようで、李相日監督は、「オーディションの最後に柳楽くんに『何か聞きたいことある?』と訊ねたら、『僕はこの映画に出られるんでしょうか?』と聞いたのが印象的でした」とエピソードを紹介した。

記者会見のコピー

 

続いて、釜山のセンタムシティにある「映画の殿堂」の中で一般向けに行われたオープントークでも、渡辺謙がずっと撮影中緊張していた柳楽優弥についてのエピソードを紹介。「お弁当も隠して食べているし、気持ちが沈んでしまってみんなと会話もできない状態でしたね」と語り、このトークの間も柳楽は、国際俳優の横でずっと汗をかいて緊張している様子だった。

舞台挨拶李監督のコピー

さらに李監督は、「人のいないところを選んで撮影したので、熊が出るという場所だったんです。もしも俳優さんが熊に襲われたらどうしようと、心配でした」と、意外な撮影秘話を語った。

この日、映画のチケットは完売で、約800人の観客が集まり、上映前に舞台挨拶。終演後には拍手喝采を受け、再び3人が登壇し、観客との質疑応答の時間が設けられた。

「クリント・イーストウッドの映画から20年たってリメイクしたこの作品ですが、逆に今だからこそ、この映画をつくる意味があると思い、辿り着きました」とまず李監督が挨拶。

舞台挨拶渡辺2のコピー

渡辺も、「この映画ほど、後で話しにくい作品はないですね。せっかく皆さんの中に残っているものを、僕が壊さないように短く話をします。この映画は、行き場のない人が集まっている映画で、みな生きることに必死なんです。(柳楽くん演じる)五郎は、倭人とアイヌの間に生まれた男で、(渡辺演じる)十兵衛の妻もアイヌであることから、自分の子どもも同じ境遇で、子どもに向けるのと同じ目線で見ているという気持ちで、演じました」と、主人公たちの関係や立場を説明した。

また、台本を読んだ時の感想について、「設定が北海道になり、背景もキャラクターの関係性も日本的というか、業を背負ったアジア的なものになったことで、むずかしいけれどもやりがいのある作品になると思いました」と語った。

舞台挨拶柳楽のコピー

役づくりについて訊ねられた柳楽は、「まゆをつなげたり、髭を伸ばしたりといった外見を最初考えていたのですが、アイヌの人にいろいろ教えていただき、つくっていきました」と語った。

なんと、1969年からクリント・イーストウッド映画のPRエージェンシーであるピエールさんという男性もアメリカより駆けつけ、鑑賞した。「イーストウッドはこの作品を10年待って映画化することになったわけですが、今回この作品がすばらしい出来で感激しています。脚本も監督も出演者もすばらしく、イーストウッドの友人としても感激しています」と感想を述べ、イーストウッドと仕事を共にしたことのある渡辺は、満面笑みを浮かべ、満足げな様子だった。

(文・撮影:西元まり)

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