取材:記事・写真/RanRanEntertainment
2017年3月5日(日)、東京都 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて、朝海ひかる主演「私はだれでしょう」が開幕した。
平埜生成 吉田栄作 朝海ひかる 尾上寛之
昭和21年(1946年)7月。日本はまだ混乱と困窮の只中にあった。日本放送協会の一室、脚本班分室には、戦争で離れ離れになった肉親や知人の消息を尋ねる人々の手紙、声がつみ上がっていた。ラジオの新番組「尋ね人」はこの無数の声を、ラジオを通して全国に送り届けるために始まった。ある日、そこに青年がやってきて「私を探してください」と訴える。
本作品は故・井上ひさし作、栗山民也演出で、2007年の初演から10年ぶりに再演される。
朝海:この作品と出会えたこと、川北京子というこの時代の女性の生き様、想いを届けられるように頑張りたいと思います。この舞台は歌があるのですが、非常にスピーディな展開が演じるうえでは難しかったです。一番印象に残っている台詞は「それで今はしあわせ?」です。「しあわせ」という4文字の美しさを感じました。
吉田:世界が、日本が岐路に立っている今、やる意味のある舞台だと思います。井上ひさしさんの戯曲を、現代を生きる人間として演じて、皆さんに見ていただきたいと思います。
この舞台を通して、井上さんが「怒っている」と感じました。エンターテイメント性とメッセージ性のバランスが絶妙だと思います。
尾上:演出家の栗山民也さんに常々言われたのは、舞台上で生きること、相手の言葉を聴き逃さないことです。井上さん、栗山さんの想いと、演じる者の魂のぶつかり合いが起こる舞台を届けたいと思います。
日本語の難しさ、語尾の上がる、下がるだけでも意味が変わってしまう。井上さんの言葉のリズムを読み解く難しさと、解けたときの嬉しさ、楽しさがありました。一番印象に残っている台詞は「そちらには、春がきますか?」
平埜:2007年の初演の10年から何があったかを感じています。劇場に足を運ぶということは簡単なことではないので、観に来てくださったお客様と、その瞬間その瞬間で魂をぶつけあって、時代を飛び越えて皆さんと劇体験ができたらいいなと思っています。
井上さんは、日本語をとても大切にしていて、日本語を話すことがとても大変で、とても美しいと思いました。
こまつ座『私はだれでしょう』
井上ひさし・作
栗山民也・演出
【出演】
朝海ひかる
枝元萌
大鷹明良
尾上寛之
平埜生成
八幡みゆき
吉田栄作
ピアノ演奏・朴勝哲
3月5日~3月26日(日)東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
3月30日(木)山形・川西町フレンドリープラザ
4月8日(土)千葉・市川市文化会館大ホール