取材:記事・写真/RanRanEntertainment
3月25日、初日を明日に控えた舞台『花・虞美人』のゲネプロと囲み取材が行われ、出演者から凰稀かなめとユナクが意気込みを語った。
『花・虞美人』は紀元前三世紀の楚漢戦争を舞台にした中国ではポピュラーな物語「項羽と劉邦」をベースに、原作とも以前宝塚歌劇で上演された「虞美人」とも違った新ストーリーとなっている。
真実の愛を誓った相手と恩義を感じる男の間で揺れ動きつつ、戦乱の世の中で生きた女性・虞姫の強く儚い姿を退団後初主演となる凰稀かなめが美しく演じきり、虞姫を一途に想い、敵国にさらわれた彼女を助けるために自己犠牲も厭わない男・劉邦をユナクが声を枯らすほどの熱演を見せた。
複雑に入り組んだ中国の歴史背景の中でピュアに光る二人の恋愛模様とその後に待ち受ける試練との対比の中に一人一人の役柄が息づき、実力派を集めた舞台ならではの濃密な芝居を見ることができる。
ゲネプロに先駆け、熱いカンパニーを代表して凰稀かなめ、ユナクが記者会見にて意気込みを語った。
凰稀は「突き詰めてやって来たので、発見は山ほどありますし、演出家と出演者とぶつかり合いながら今日までお稽古して来たので、その成果が出るのではないかなと思います。シンプルな舞台なので、みんなの魅力が発揮されている舞台になっています。」と初日を迎える心境を語った。
また今回演じる虞姫と自身の共通点は?という質問に対し、「温かく大きく見守ること。とりあえず見てください(笑)」とお茶目に語り、項羽役でWキャストの池田と黒川については「池田さんは、ワイルドさの中にも温かさがあるアツイ男。でも最後に向かってくにつれて、弱さが出てくるとても人間らしい項羽だと思います。黒川さんは彼の純粋で優しい人間性が今回のお芝居の中に出てきていて、一生懸命さがとても項羽っぽく、最初可愛らしいけど、後半に向けて男らしく成長していく項羽です。」と項羽役2人の魅力を述べた。
今回恋人役を演じるユナクに対し「恋人同士という設定ということで色んなお話をさせて頂きましたし、普段からそういう風に見えるように接していました。本当にレディーファーストな方で、それが劉邦様そのものだと感じています。」と役同様に紳士的な一面を明かした。
「宝塚時代にトップスターという立場にいて、自分がトップにいるからではなく、作品の中でどういう風に相手と関わっていくか考えていたので、今回座長という言葉に気負いはしないように、もちろん意識はしつつも、皆さんとコミュニケーションをとりながら舞台上で闘っていきたいです!」と意気込みを語り、宝塚退団後初主演となる今回の公演に対し「手応えは十分あります!」とうなずき、「お客様と一緒に作品を新たに作って、一緒にその時代を過ごしていきたいです。」と虞姫さながらに力強く語った。
続いてユナクは「初めて時代劇を演じるので、すごくプレッシャーもありますが、みんなと仲良く1ヶ月半稽古をして来たので、やっと見せることができて良かった。」と緊張した面持ちで今の心境を語った。
劉邦を演じるにあたって「今回は項羽と劉邦の話というよりは、虞という女性がどうやって生きてきたかをテーマとした舞台なので、劉邦がどんな恋愛をしてきたか自分なりに研究してみた。項羽の激しさとは差があった方が良いと思うので、僕はロマンチックな感じで演じています。」と語り、凰稀と同様、項羽役の池田と黒川の違いについては「池田さんは激しい項羽で強さが出ているが、黒ちゃん(黒川)の項羽は弱くはないが強さを内面的に持っている。しゃべり方や仕草はまったく違くて面白い。僕も楽しんでいます。」とまったく違った項羽役のWキャストであることを明かしつつ、愛称で呼ぶなどカンパニーの仲の良さも垣間見えた。
衣装を身に纏った感想として「台本を読んだ時から劉邦は赤だと思っていて、グループ活動の時のカラーも赤なのですごくいいなと思う。僕だけカーペットみたいに厚着で暑いんですけど、これを着ると劉邦になったと感じます。ロン毛はジャケ写以来の2回目なので仕草さが女性っぽくなりますね(髪の毛を手でクルクルする)」と記者を笑わせる場面もあった。
今回のオススメシーンについて「ラストシーンが僕にとっては気持ちがすごい入って、今も考えるだけで涙が出るくらい、すごい悲しいシーンですね。それで今も喉が枯れています(笑)」と劉邦役を熱く演じていることが伺え、今回の公演への期待がさらに高まる記者会見となった。
【STORY】
真実の愛か、重い恩義か。
ふたりの男に愛され、選んだのは・・・!
美しい娘・虞姫と、青年・劉邦は、永遠の愛を誓い合う。だが・・・。
幸せの絶頂だった結婚前夜、秦の始皇帝の軍が村を襲い、虞姫は連れ去られてしまう。
劉邦は決死の覚悟で虞姫を救いに行くも、すでに虞姫の姿は無い・・・。
引き裂かれる二人・・・。
そこに現れる一人の男 項羽・・・。
別れ・復讐、そして愛。
はたして虞姫の運命は・・・。
中国では、有名な「項羽と劉邦」の物語に基づき虞姫にスポットをあてて描いた新しいストーリー。
【出演】
凰稀かなめ ユナク(超新星) 清水良太郎 松田凌 石橋直也 桑野晃輔 今井ゆうぞう 小野健斗 岡田亮輔 ほか
【公演日程】
東京公演
2017年3月26日〜3月31日 赤坂ACTシアター
名古屋公演
2017年4月15日〜4月16日 愛知県芸術劇場大ホール
大阪公演
2017年4月22日〜4月23日 大阪森ノ宮ピロティホール