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2019年11月8日 06:00

市川海老蔵『ABKAI』開幕!Snow Man宮舘&阿部らを迎え、構想あたためついに実現

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

市川海老蔵の自主公演『ABKAI』の第五回「ABKAI 2019~第一章 FINAL~『SANEMORI』」が、115日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕した。出演者は、歌舞伎界の中村児太郎、中村梅花、大谷廣松、市川九團次、市川右團次、Snow Man / ジャニーズJr.の宮舘涼太と阿部亮平ら。

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もともと『ABKAI』は“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”に2013年に立ち上げられたもので、市川海老蔵は「難しそうなどの理由で縁遠く感じている若い世代の人は、是非一度歌舞伎に触れてほしい。そして舞台を観る機会が少ない人には、もっと気軽に足を運んで楽しんでいただきたい。」と企画した。その狙い通り、歌舞伎に新風を吹き込み、魅力を広めるための大きな一歩となっている。

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今作は、以前より海老蔵が構想を温めていた「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)」より、「実盛物語」を主軸に『SANEMORI』と題した舞台。もとにした古典名作のあらすじはこうだ。

平安末期。武将・斎藤実盛が敵方の赤子の殺害を命じられるが、殺すに忍びなく密かに逃がした。成長した赤子は源氏軍の「木曽義仲」と名乗り、源平の合戦に臨む。その戦場で、実盛は、かつて助けた木曽義仲の家来・手塚光盛に討たれて最期を遂げることを予見させる……。このエピソードを基にした「源平布引滝・実盛物語」は、若かりし日の実盛が、将来、光盛に討たれることを予見させるというストーリーだ。

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上演される「SANEMORI」では、大人になった木曽義仲(=源義仲/宮舘涼太)とその家来・手塚光盛(阿部亮平)が、源平の合戦の前、幼い頃を回想するところから物語が始まる。布と照明によるダイナミックな演出で時代は過去へととび、2人と若かりし実盛との因縁が語られていく。海老蔵は3役を兼ね、それぞれの役で歌舞伎の面白さを体現。なかでも実盛役では、実盛の人間的魅力と、歌舞伎ならではの華々しい演出に引き込まれていく。その先に己の生き様をまっとうした実盛の傑物ぶりが涙を誘う。阿部が「源平の垣根を越えたその絆に、観る人は必ず感銘を受けるでしょう」とコメントしているが、敵味方を越えた、人間同士の忠義・信念には胸が熱くなる。

海老蔵も本作の魅力を「源平布引滝「実盛物語」が古典歌舞伎としてこれまで長く愛されてきた所以は、やはり物語の根底に流れる当時の日本人が持っていた信念や思いに多くの人が共感し感銘を受けてきたからではないかと思います」と表現した。

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上演では、歌舞伎界の出演者らの安定した芸のなかに、宮舘、阿部らは新鮮かつ誠実な風を吹き込む。丁寧な殺陣の所作や発声などに彼らの歌舞伎へのリスペクトがあふれている。宮舘はコメントで「自分自身で考え抜き微力ではありますが、より多くの方々に熱量を伝え、伝統文化の魅力の虜になって頂きたく精一杯努めていきたいです」と言っている。まさにその言葉どおり、阿部とともに、熱のある緊張感で平安の歴史を背負っていた。海老蔵が「伝統の歌舞伎を新時代に伝えたい」という思いを2人がしっかりと受け取ったと感じられる舞台だった。

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歌舞伎をふだん観ない方には、台詞まわしや演出など慣れないことも多いかもしれない。けれども、物語をふまえ、目の前の人々が誰かのために生きるその人生を受け止めれば、なにも難しいことはない。艶やかで、華やかで、何百年もの技のある歌舞伎の表現だからこそ伝わる力強さがある。どっぷりと武将ら登場人物たちの信念と生き様にひたってみてほしい。

 上演は1125日(月)まで。海老蔵は2020年に十三代目市川團十郎白猿の襲名を控えているため、海老蔵として『ABKAI』を上演するのはこれが最後となる。

 

 

 

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