取材:記事/RanRanEntertainment
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ミュージカル『フラッシュダンス』が2020年9月12(土)~26(土)の東京・日本青年館ホールを皮切りに名古屋、大阪で上演される。待望の東京公演直前の9月11日(金)にゲネプロが公開された。
本作は、1983年に公開され大ヒットしたアメリカ青春映画『フラッシュダンス』が原作で、映画版の脚本・原案のトム・へドリーが舞台版の脚本も手がける。日本版脚本・演出は岸谷五朗。宝塚退団後初の単独主演となる愛希れいかは、プロダンサーを夢見るアレックス役を演じる。共演は、廣瀬友祐、桜井玲香、福田悠太(ふぉ~ゆ~)、槇原卓也、DreamShizuka、石田ニコル、春風ひとみ、なだぎ武 ほか。
ゲネプロも本公演同様、新型コロナ感染予防策を講じた中で行われた。囲み会見の代わりに、出演者と演出の岸谷五朗からコメントが届けられた。(一部抜粋)
主演の愛希れいかは「今こうしてこの作品を届けられるということ、チケットを買って劇場に来て下さるお客様がいて下さるということがなによりも幸せですし、感謝の気持ちでいっぱいです。今回、いつもより制限のあるお稽古の中でも、とてもストイックにそして本当に楽しくお稽古できたのは、思いやりにあふれた愉快な個性的な皆さまのおかげです。」と、観客はもちろん、仲間への感謝も忘れていなかった。
岸谷五朗は「何処にもぶつけられないエンターテインメントの浮かばれない魂の憤りは沸々と熱を帯び、その時をずっと待っている。この瞬間(とき)に初日を迎える公演は私達だけではなく演劇関係者の期待を背負う。他の公演の千穐楽までの完走を我々が祈るように『フラッシュダンス』は繊細に毎日の稽古を重ね周りからも愛されてきた。初日の産声をこれ程未來の可能性と感じる公演は初めてだ。リスクを背負い劇場に足をお運び下さるお客様!徹底した対策を講じてお待ちしております」と、本作にかける熱く、深い思いを伝えている。
間隔を空けた客席、いつもと違う緊張感に包まれた中、幕が開いた。
時は1983年、ペンシルバニア州ピッツバーグ。昼は製鉄所、夜はバーのフロアダンサーとして働くアレックス(愛希れいか)。アレックスが自転車に乗って登場すると、“ハリーズ”のダンサー仲間、キキ(DreamShizuka)、テス(石田ニコル)、グロリア(桜井玲香)が「What A Feeling」を歌いながら現れる。この歌で一気にあの『フラッシュダンス』の世界に連れて行かれる。
続いて、場面は、アレックスが働く製鉄所に。ハーレイスティール社の次期社長、ニック・ハーレイ(廣瀬友祐)とジョー(大村俊介(SHUN))、アンディ(松田凌)が登場。アレックスとニックが出会う。
再び、アレックス、グロリア、キキ、テス親友4人の歌の後に、全員登場し歌う。この状況下での出演者の思いが詰まったパフォーマンス。ニック役の廣瀬が「自分の中で止まってしまったものがまた凄まじいエネルギーで動き出そうとしています」と語るように、みんなの湧き上がる思いが舞台から伝わり、拍手も一段と大きくなった。
「Maniac」のナンバーにのって、アレックス(愛希)の象徴的なダンスシーンも披露される。コメディアン・ジミー(福田悠太(ふぉ~ゆ~)、ハリーズバーのハリー(なたぎ武)の二人の会話はどこかコミカルだ。そして、DreamShizukaがインタビューで「4人の関係性がいろいろな角度から楽しめる」と語っていたダンサー仲間4人の“ハリーズ”の楽屋でのシーンはとてもキュートだ。
ベテラン春風ひとみはアレックスのダンスの師、ハンナを演じる。パワフルな歌声でアレックスを勇気づける。ニック(廣瀬)のソロも胸を打つ。一方、ストリップクラブ“カメレオン”の経営者C.C.役の植原卓也は「とことん“嫌な感じ”に映るように演じたい」とインタビューで話していた通りの役作りに成功していた。
「どこか不安を拭えないまま、それでもカンパニーみんなで初日を迎えられると信じて日々頑張ってきました。」とコメントしていたグロリア役の桜井玲香は、第2幕でランジェリー姿でのダンスに挑戦。いつものイメージとは違う桜井だ。また、「33歳になってもこんなに緊張させてくれるミュージカル『フラッシュダンス』。最高です」と話す福田悠太(ふぉ~ゆ~)はソロナンバー「本当の居場所」を歌い踊った。
数々の名場面が続くが、何といってもクライマックスは最後の「What A Feeling」である。
愛希れいかの圧倒的なダンスパフォーマンス。彼女無くして、このミュージカルは成立しなかったのでは?と思わせるほどのダンスシーンである。
愛希れいかが「この状況で作り上げたこの舞台はいつも以上にたくさんの思いが詰まっています。エンターテイメントのもつ力を少しでも感じて頂き、観終わった後には、前に向かって一歩踏み出す勇気を持ってもらえるような、明日への活力になる・・・誰かの背中を押せる・・・そんな舞台にしたいと思っています。私ができる全てを懸けて挑みます!どうぞ、よろしくお願いいたします。」とコメントしていた通り、見事に演じている。
出演者、スタッフみんなのエネルギーがヒシヒシと伝わってくる舞台である。
『フラッシュダンス』
■日程
東京 2020年9月12日(土)~9月26日(土)日本青年館ホール
名古屋 2020年10月3日(土)~10月4日(日)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
大阪 2020年10月8日(木)~10月11日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
■原作:トム・へドリー&ジョー・エスターハス作
ラマウント・ピクチャーズ映画『FLASHDANCE』
■脚本:トム・へドリー&ロバート・キャリー
■日本版脚本・訳詞・演出:岸谷五朗
■出演
アレックス・オーウェンズ:愛希れいか
ニック・ハーレイ:廣瀬友祐
グロリア:桜井玲香
ジミー:福田悠太(ふぉ~ゆ~)
C.C.:植原卓也
キキ:Dream Shizuka
テス:石田ニコル
ハリー:なだぎ武
ルイーズ/ミス・ワイルド(二役):秋園美緒
アンディ:松田 凌
ジョー:大村俊介(SHUN)
ハンナ:春風ひとみ
■企画・制作:アミューズ
■オフィシャルHP http://www.flashdancethemusical-jp.com/