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2021年8月7日 11:23

柳楽優弥・有村架純・黒崎博監督、「何でここに春馬君がいないんだろう。一緒に走り切ったその姿は完全に残っている」 『映画 太陽の子』公開初日舞台挨拶

柳楽優弥・有村架純・黒崎博監督『映画 太陽の子』公開初日舞台挨拶

★『映画-太陽の子』メイン写真

『映画 太陽の子』の公開初日舞台挨拶が8月6日(金)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、主演の柳楽優弥、共演の有村架純、そして黒崎博監督が登壇した。

本作は、太平洋戦争末期に存在した「F研究」と呼ばれる“日本の原爆研究”。その事実を基に、時代に翻弄されながら全力で駆け抜けた若者たちの、等身大の姿を描いた青春群像物語で、日米合作で10年以上もの構想を経て製作され、ついに公開となった。

本作の主人公で原爆研究という極秘任務に情熱を燃やす科学者の兄・石村修を演じた柳楽優弥は「本日はありがとうございます!2年前に撮影を終えて、いよいよ今日初日を迎えられて皆様にお届けできて嬉しく思います!」と無事公開を迎えられた感謝の気持ちを素直に表現。続いて紫色のシックなドレスをまとった有村は「2年前に撮影をしていて、公開まではあっという間だなという思いと、今日が広島に原爆が落とされた日ということで、そんな日にこの映画が公開できることが意味があるなと改めて思います」と本作の“原爆開発“というテーマと深い関係を持つ8月6日の公開となったことにも触れ、感慨深く挨拶した。

 

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公開前に試写会で一足先に鑑賞した人からも“メインの3人(柳楽、有村、三浦春馬)の演技が素晴らしい”という声が続出している本作。過去に共演経験があったからこそ兄弟・幼馴染という関係性が自然と演じられたというその演技について柳楽は「本当にたくさん思い出があるんですけど、3人と監督たちで食事に行ったり、撮影していない時も距離感が役柄と似ている感じでした。中でも京都の川沿いを僕と春馬くんが一緒に走っているシーンで、春馬君の体力がタフで僕が追いつけなかった。その様子そのものが劇中のキャラクター性とリンクしていて好きなシーンです」と振り返る。

黒崎監督も「春馬くんは体力が無限にあるのかと思うくらいタフ。3テイク目まで走った時に柳楽くんが『もう無理です』って言うくらい(笑)」と三浦のタフさに太鼓判!石村兄弟の密かな想い人であり、戦時下であっても一人未来を見据えて生きる世津を演じた有村は柳楽・三浦の2人について「柳楽さんと一緒に過ごして思ったのは周りを巻き込む力が強い方だなと。そこにいるだけで周りがどんどん吸い込まれていくような、空気が変わるってこんな感じなんだなと思いました。春馬さんはまたそれとは違って、色んな空気とか個性とかを全て調合して新しいものを作ってくれるという雰囲気を感じて。春馬さんはどこに行ってもみんなが気持ち良い空気が作れる役者さんだと感じました」と異なる個性を持った“兄弟”を幼馴染目線で振り返る。

この絶妙なキャスティングについて黒崎は「こうやって台詞で演じて作るという以前に、それぞれの俳優さんが持っているもの・準備してくれているものでスタートがかかる前に大事なセッションが始まっているということを現場で感じて撮影していました」と幼馴染たちの絶妙な空気感の裏話を明かした。

ここでスクリーンに場面カットを映し出し、具体的なシーンについて語るパートに突入。まず始めは柳楽演じる主人公の修が黒板に数式を書き進めて、書ききれなくなって壁や棚のガラスにまで書き進めてしまうというシーン。3人が京丹後の美しい海でひと時の夏休みを過ごすシーン。最後はこちらも反響が大きかった田中裕子演じる母・フミが戦地に戻る三浦春馬演じる弟・裕之を見送るシーン。このシーンについて有村は「段取りから現場で見ていて、この時の田中さん演じられたフミさんは一言も発していないんです。私も日ごろから台詞のない部分を大事にしているんですけど、改めて言葉で表現できない思いっていうのがあるんだなと確信しました。より自分自身も台詞に囚われず、言葉以外の思いをもっと熱量を高めて表現していきたいなと勉強させてもらったシーンです」と田中裕子のセリフなしの演技の素晴らしさについて語ると、柳楽も「裕子さんの演技も勿論なんですけど、やっぱり春馬くんの雰囲気っていうのも素晴らしいなと見ていました。修として、ただ応援しているだけではなく複雑な心境でした。シンプルな心理状態じゃないところが後半は多かったです」と劇中の原爆開発に携わる兄・修と、いつ命を落とすか分からない戦地に戻る弟・裕之という兄弟の関係性も踏まえて、弟への複雑な気持ちを振り返った。

 

当日に数式を覚える_taiyounoko_1 海のロケについて_LM2C2372r 田中裕子さんの演技に心打たれる_taiyounoko_4

ここで日米共同制作である本作の重要なキャストのひとりである科学者・アインシュタインを演じたピーター・ストーメアからの手紙をMCが代読。

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オーディエンスの皆さん、ようこそ。今夜は参加できず申し訳ございません。しかしながら、私の愛する妻と娘は参加させていただいております。もちろん、私の魂も皆さんと共にここにあります。
この作品は、才能あふれる黒崎監督の情熱から生まれたものです。日本、そして米国から様々な人々が参加し、この価値のある映画が作り上げられました。この作品に参加できたことは、私にとっても名誉なことであります。他の作品の撮影の最中に本作ナレーション収録がカナダのトロントで行われました。私が参加できるよう、黒崎監督はわざわざカナダまでお越しくださいました。
我々人類が学ばなければいけないこと、そして、その学びから明るく希望溢れる未来を創造していかなければいけないことを伝えるこの作品に参加でき、自分自身を誇りに思いますし、とても嬉しく思います。
是非『映画 太陽の子』をお楽しみください。お越しいただきありがとうございました。

愛をこめて。 ピーター・ストーメア

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ピーターの声の出演について黒崎は「最後の最後に揃っていないピースのようだったんです。どうしても柳楽君演じる修の心の中の対話の相手としてピーターさんの声が欲しいと思って諦めかけた瞬間もあったんですけど、急遽トロントで半日だけ時間がもらえるということになり、撮影しました。ご家族が広島の方ということもあって、愛を込めて演じてくださいました」と行動力が叶えた奇跡の出演を振り返った。

舞台挨拶も終盤、MCから最後の挨拶を求められた黒崎は「この難しいテーマをはらんだ物語ですけど、敵と味方の話ではなくて、それを超えたところで人間みんなの問題として見てもらえる映画にしたいと思って日本人だとか何人だとかを超えて理解して感じてもらえるように演じていこうとキャストの皆さんとも話しました」と本作に込めた思いを明かす。続けて、「こうしてここに立って、正直に申しますと『足りないんじゃないか。春馬くんが何でここにいないんだろう』と思います。このことをコメントすることはとても難しいですが、きょうはそれをお伝えしたいです。ただ見ていただいた皆さんに感じていただけたたら嬉しいのは、スクリーンの中に一緒に走り切ったその姿は完全に残っていて、今でも、こうやって僕たちが話していてもリアルタイムにお互いを感じながら話をすることができるっていうのはすごい幸せなことだと思います。柳楽くんも有村さんも春馬くんもその他のキャストみんなで言いたかったのは、どんな難しい状況でも最後は生きて、生きて、生き抜くことしかないということ、バカみたいにストレートなメッセージだけは少しでも皆さんに届くと、残ると、こんなに嬉しいことはないなと思います」と観客に向けて力強くメッセージを送った。

 

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続く有村も「この作品においては本当に沢山の伝えたいメッセージというものがあって、戦時下の話ではありますが、当時生きた若者たちが未来を作るために懸命に生き抜いていく青春のお話でもあります。今は先行きが不透明で、なかなか未来のことを考えるのも疲労してしまうような状況ではあると思うんですけど、考えることを諦めてしまうのは私としては心苦しいなと思うので、春馬さんもよく仰っていた『自分たちの仕事・役目は想像力を届けることだ』ということを改めて自分も皆さんと一緒に考えていけたら嬉しいなと思います」と一緒に舞台に立つことが叶わなかった三浦の言葉を挙げながら、締めくくった。

最後は、主演の柳楽から「こういう状況の中で来て頂いたことにまず感謝です。この映画があるということが大事だなと思います」と感謝の気持ちを伝えつつ、「きょう、広島で行われた式典で小学生のスピーチがとても印象に残っています。『別れるというのは出会えなくなるからではなく、忘れられるからです』ということを仰っていてすごく腑に落ちました。人に対しても、歴史に対しても、“忘れていくこと”が一番怖いなと感じました。こういう風に映画を通して、皆さんに伝えていくことが平和への第一歩なのかなと思いました」と本作に込めた熱い思いを誠実に語り、舞台挨拶を締めくくった。

『映画 太陽の子』(配給:イオンエンターテイメント)は全国公開中。
©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ 

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