(後左から)ひょっこりはん、矢崎広、永井大、姜暢雄
(前左から)木村花代、平方元基、吉沢悠、大沢あかね
舞台ハリー・ポッターと呪いの子、映画や小説から19年後、父親となったハリー・ポッターとその息子との関係を軸に描かれる新たな冒険物語で、2022年7月の初演からロングラン上演を続け、7月8日、いよいよ3年目に突入する。
ハリー・ポッター役の平方元基、吉沢悠、ハーマイオニー・グレンジャー役の木村花代、ロン・ウィーズリー役のひょっこりはん、矢崎広、ドラコ・マルフォイ役の永井大、姜暢雄、ジニー・ポッター役の大沢あかねが役衣裳で登壇、初日に向けての思いなどを語った。
平方は衣裳を例に出して「一人ひとりそうなんですけれども、衣装をフィッティングして、合わせているんですが、かかった時間が多分8時間以上それぞれにかかって、自分たちでフィットしたものを作ってくださっているので、この衣装とともにロングランを駆け抜けていくんだなという気持ちで引き締まる思いでおります」と胸を張った。
吉沢も「本番の舞台衣装お披露目ということで、みんなが揃うのはこれが最初で最後になるんだなと思うと興奮してるんですけど、ちょっと寂しい気持ちもありながら、このメンバーでこの3年目がスタートしていくのかと思うと、力強さが溢れている感じがみんなからもしているので、期待でいっぱいです」と自信を覗かせた。
改めて今の心境と舞台の見どころを問われ、平方は「意外と緊張するのかなと思ってたんですけど、この2ヶ月間、チームワークよく稽古を積んできて、緊張というよりは舞台上に立って、いかに楽しめるかなと自分に期待しているところです。見どころは、もちろん皆さんを楽しませてくれる要素になっていると思いますが、その裏にある人間と魔法使いの模様だったり、苦しみ、怒り、悲しみ、喜びいろいろな感情がこの物語の中に散りばめられていますので、そこも注目して観ていただけるとより物語を分厚く、濃厚に楽しんでいただけるんじゃないかなと思っております」とコメント。
そして吉沢は「3年目はキャストがガラッと変わっていますし、演出の方がエリックさんというハンブルクで舞台演出された方がやられてるんですけども、もちろん台本も、解釈も一緒なんですけども、演出家が違うと我々俳優の解釈するものが変わってくるので、1年目2年目に劇場で観られた方も、あれちょっと今までとは雰囲気違うかもっていうところが、新しく変わった要素だと思いますので、どのようなハリポタの世界になってるかを劇場でぜひ体感してほしいと思います」と見どころをアピールした。
ハリポタ・ファミリーに入ったことについて平方は「先輩方がそれぞれに素敵に演じられていたハリー・ポッターなのですごくプレッシャーがあったんですけれども、それぞれのハリー・ポッターの持つ魅力を存分に押し出されていたので、僕も臆することなく、自分が今まで背負ってきた人生、今ここに立たせてもらってる人生を、ハリー・ポッターという役を通して皆様に悲しいところも、怒っているところも、嬉しいところもいろんな表情を、感情を通してセリフに乗せてその姿を見せていけたらいいなと思っております」とコメント。
吉沢は「本当に世界中でたくさんの方がハリー・ポッターを俳優として演じられてるわけですわけですけど、僕はイギリスでハリーの舞台を観まして、客観的に観ていたハリーの姿が稽古場に入って、ハリーと向き合って行けば行くほど、どういうハリーを演じているのか自分でよく分からなくて・・・。平方さんとの二人のハリーが違うって周りから言われるんですが、その違いが分からないんです。ただ他の方たちが(ハリーを)やっている姿を見ると、二人の良さがあるなというのは分かる。そこを信じて、これからハリー・ポッターとして立っていこうと思います」と胸を張った。さらに「稽古場での初期の段階、ワークショップから下の名前で呼び合って、(キャストとは)すごく距離感が近くなった。大沢さんのことは『あかね』と呼んでいるし、大くんは『永井さん』さんと呼んでいたと思うんですけど、その空気を作ってくれた現場なので、自然と何かハリー・ポッター・ファミリーに頑張らなくてもなれたという稽古期間があったので、この3年目っていうのはキャストがガラッと変わったからこそ、そういう良さが生まれたのかもしれないなと思っています。ちなみにひょっこりはんさんは、本名で呼んでます」と現場の雰囲気を明かした。
ひょっこりはんは「聡(さとし)って呼ばれています。うれしいですよ。人間として見てくれている。別に妖怪じゃないんですけど、すごいうれしいです」と会場を笑わせた。
最後にハリー役の二人に、一番お気に入りの呪文を聞かれ、平方と吉沢はともに「ルーマス」と答えた。平形は「ルーマスって言うと光が点く。やっていてすごく気持ちがいい。でも僕らは使わないんです。ジニーが使う呪文なんですけど、ハリーみたいな存在でも、孤立させると、孤独になってしまって闇に引っ張られてしまう可能性があるというのがこの作品のテーマのひとつでもあって、ルーマスは光を照らす呪文なので、ハリーの妻であるジニーが唱えるとちょっと温かい気持ちになる。そういう意味ではその自分が好きだなと思いました」とコメントした。
そのほか登壇者のコメントは次のとおり。
ハーマイオニーを演じる木村「2ヶ月(の稽古期間)は、この間のような感じがして、これから始まるっていう実感もないぐらい正直なところ、まだまだたくさん課題がたくさんあって、テンパっていますが、素晴らしい作品力が根底にあるので、そこに役者スタッフ一同が誠心誠意全身全霊で挑んでいけたらと思っております。お客様に楽しんでいただける舞台になっていますので、期待も込めて演じていきたいと思います」
ロンを演じるひょっこりはん「みんなで丁寧に丁寧に2ヶ月間お稽古してきて、みんな毎日ハリポタの夢を見るよねっていうぐらい没頭してきた作品なので、それを皆さんの前でご披露できるというワクワクと、明日から1年やり続けるんだっていう不安がちょっと(笑)。でも、助け合いできるような関係性を2ヶ月で作ってこれたと思うので、みんなで支え合いながらやっていきたいと思っています。見どころは、このキャスト以外にもたくさんのキャストがそれぞれ重要な役割を担っていて、その一人が欠けると、この魔法の世界が存在しない。そういう人物にも着目して観ていただければ、1回だけじゃなく、何回も観られるような作品だと思います」
ロンを演じる矢崎「ついにここまで来たなっていう気持ちでいっぱいと同時に、ここからまだまだ頑張っていかなきゃという気持ちでいっぱいです。今日赤坂の駅から来た方は分かると思うんですけど、赤坂の駅周辺は完全にハリー・ポッターの世界になっているので、今日はハリー・ポッター・デーだと決めて、観に来てほしい。僕らもそういう世界観を作ってくれる幸せな環境で毎日芝居できることを喜びながら頑張っていきたいと思っております」
ドラコ・マルフォイを演じる永井「明日から本番ということで、本当にわくわくドキドキ、やってやるぞというような気持ち。3年目のチーム一丸となって明日に臨みたいと思っております。1年目、2年目の方たちが作ってくださったものを、僕ら3年目が引き継いで、さらにブラッシュアップしていけたら。そして今年3年目で100万人という大台を突破するということで、舞台に立つ喜びを感じています。これから夏休み、東京でしかない舞台なので東京に集まっていただいて、この夏休みを楽しんでいただきながら、ハリー・ポッターの世界を楽しんでいただけたらと思います」
同じくドラコ・マルフォイ役の姜「2ヶ月という濃密な時間をみんなと過ごさせていただいて明日本番っていうので、なんか結婚式のような気持ちです(笑)。みんながダブルキャストなので、明日本番を迎える方々を送り出すようなお父さんの気持ちをひしひしと感じております。今いないキャストも含め、本当に仲が良くて、ここから1年、どんどん濃密な時間が家族のようになっていくんじゃないかと思っています」
ジニー・ポッター役の大沢「約2ヶ月という長いお稽古の中覚えることもたくさんあって、私は38年間(の演劇期間)の中で初めての感情に近いものが毎日あって、そんなときは誰かが必ず声をかけてくれるんです。それがすごく心の支えになって、今日この日までやってこれました。このチームワークを大切に、このロングラン公演を乗り切っていきたいなと思います。見どころは魔法はもちろんなんですが、人間は誰もが完全じゃないというのがこの作品の、ある意味テーマになっている、ちょっと不完全な部分があるけれども、それを友情だったり、親子の関係が補っていく。そういうところが偉大な作品だなと思っています。夏休み子供たちにもたくさん観てほしいなと思います」
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式サイト
https://www.harrypotter-stage.jp/theater