映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年4月公開)が現在開催中の第37回東京国際映画祭にてコンペティション部門に正式出品。11月1日(金) には本作が上映、舞台挨拶に主演の萩原利久、共演の河合優実、伊東蒼、黒崎煌代、そして大九明子監督が登壇した。
原作はジャルジャルの福徳秀介が2020年に小説家デビューを果たした珠玉の恋愛小説。思い描いていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送る小西(萩原)。学内唯一の友人・山根(黒崎)や銭湯のバイト仲間・さっちゃん(伊東)とは、他愛もないことでふざけあう日々。ある日の授業終わり、お団子頭の桜田(河合)の凛々しい姿に目を奪われた・・・。
これまで『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』で東京国際映画祭史上初の観客賞を2回受賞された大九監督は「プロデューサーからこういった小説があって、映像化するというプロジェクトがある、とお声がけを頂いてから、原作を読ませていただいて。とあるシーンで、登場人物の一人がものすごく熱量を持って喋り出すシーンがあって、小説ではありえないページ数で繰り広げられていたのですが、ここを映像化するのはとてもチャレンジングで、面白そうだなと感じました」と映画化の経緯を説明。
小西を演じた萩原は役づくりについて「冴えない大学生とか、日傘をさしているとか、そういうキャラクター的な部分から入るのは危険なのではと思い、小西の行動や考えをひとつひとつ考えてみることから始めましたが、共感が難しい部分も。普段は「こうするだろう」と撮影が始まる前に決めていくタイプですが、今回は自分の中で正解を求めず、選択肢の可能性をいつもの何倍も考えた。現場で皆さんとお話ししたり、現場の何かに触れたり、段取りをしていく中で、見つかっていくものを信じてみようかなというのが今回のアプローチでした」と撮影時を振り返った。
河合は「お団子頭ということもそうですし、彼女の姿勢だったり、衣装だったり、メイクだったり、外堀を埋めました。小説や脚本も小西の目線で桜田が語られるので、最初は小西から見た桜田、観客の方から見た桜田、外から見た桜田ということを手掛かりにしたので、お団子頭もとっかかりになったと思います」と述懐した。
伊東は「原作を読んだ時に、(さっちゃんと)一緒にいると楽しくなるんだろうな、「さっちゃん、大好き!」になったので、皆さんにもそう思って欲しいと思いました。撮影現場が大阪で、私の地元と近くて、さっちゃんが普段暮らしている状況も想像しやすかったですし、自分と近い部分がすごく多かったので、リラックスして、現場では笑顔でいようと思って演じてみました」と話した。
同じく関西出身の黒崎は「初めて原作読んだ時に、山根は『〜やでねん』という喋り方。関西弁は「〜やねん」か「〜やで」なので、それを混ぜた感じ。どうやって発音したら良いかというのを監督と相談、喋り方から始めました。衣装も婦人服なので、衣装合わせもとても楽しくて、山根は山根なりに誇りをもっているので、おちゃらけずに演じました」と笑顔で語った。
最後に大九監督が「ご覧いただいたように、本日はとてもフレッシュな若い才能溢れる4人と登壇しましたが、映画の中には様々な年齢の方に出ていただいています。私にとっても特別な映画になりました。本日みなさんにご覧いただけるということを光栄に思っています。楽しんでいただければと思います。」とメッセージをおくり、舞台挨拶は幕を閉じた。
©️2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会