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2025年7月5日 23:01

オダギリジョー「松たか子の凄みがベストショット」 髙石あかり「オダギリジョー、松たか子、満島ひかりとの4人のシーンは一生忘れられない!」 映画『夏の砂の上』公開記念舞台挨拶

映画『夏の砂の上』の公開記念舞台挨拶が 7月5日(土) に、TOHOシネマズ 日比谷で行われ、主演のオダギリジョー、共演の髙石あかり、そして玉田真也監督が登壇した。

本作は、松田正隆による傑作戯曲を、演出家でもある玉田真也監督自身が脚本も手がけた。夏の長崎。幼い息子を亡くした喪失感から妻・恵子(松たか子)と別居中の小浦治(オダギリジョー)。働きもせずふらふらしている治の前に、妹・阿佐子(満島ひかり)が、17歳の娘・優子(髙石あかり)を連れて訪ねてくる。阿佐子は1人で博多の男の元へ行くため、しばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまる・・・。

先日閉幕した第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に日本作品で唯一招待され、日本映画として23年ぶりの快挙となる《審査員特別賞》を受賞した。

上映後に行われた舞台挨拶で、オダギリは「映画を観終わったばかりで、きっと読後感、映画の思いに浸りたいところだと思いますが、読後感のある映画が最近少ないのかなとも思いますし、少々お付き合い願います」と挨拶。

一方、髙石は「この作品で私の俳優人生は大きく変わっていくだろうなと思いながら撮影をしていました。先日、このお二人と一緒に上海国際映画祭のレッドカーペットを歩いて、賞までいただいて本当に変わっていくんだろうなと実感。そんな素晴らしい作品がやっと公開ということで、すごく嬉しく思っております」と満面の笑みを浮かべた。

上海国際映画祭で特別賞を受賞した感想を求められ、オダギリは「もちろん嬉しかったですし、ただの賑やかしで呼ばれたのではなく、本当によかった」と笑顔で語った。さらに「芝居って、国によって表現の差がある。それこそボディランゲージの量も違うし、表情のつけ方でも意味が変わったりする。海外で日本の細かい繊細な芝居がどこまで伝わるのかって疑問を持っていたところもあったので、『(評価のポイントにもあった)抑制の効いた』とかおっしゃってもらえると実感できますね。でも『抑制の効いた』はちょっと足らないかな?」などとコメントした。

海外の映画祭に初めて出席した髙石は「すごい空気感。個人的にすごいなと思ったのは、映画祭で待っている時間が結構あって、その間にいろんな国の方々がオダギリさんに写真やサインを多分一番多く求められ、オダギリさんって『世界に名立たる』というか、勝手に嬉しくなっちゃう。すごかったです」と感想を漏らした。

このあとは、本作での思い出深いエピソードなどを披露。オダギリは「一番ドキッとしたのは、最後の松たか子さん(妻・恵子役)との別れのシーンがあって、その後に優子(髙石)が帰ってきて、松さんの表情、優子に対する振り向いた顔の凄みがベストショットと言っても過言ではないぐらい好きですね。今まであのような松さんをあまり見たことがなかった。悪役に徹してくれた。さすが(名女優の)松さんです」と絶賛していた。

そして、髙石は「私が撮影に入って、ずっと楽しみにしていたシーンは優子が預けられるシーン。松さん、満島(ひかり)さん、オダギリさんとの4人でひとつの空間を作っていくシーンは一生忘れられない。私にとって特別なシーンになりました。優子はそのシーンでは、ほとんど言葉を話さないので、とにかく敏感に周りを感じながらお芝居できていたこともすごく大きかったなと思います。皆さんのお芝居が全く決められたものじゃないのに、相手の動作を察知して、次に繋げていくみたいなことがずっと重なって、本番ではまた違うものが生まれていって、これはなんて楽しいんだ! 私にとってすごく大好きなシーンとなりました」とかけがえのない時間を過ごしたことを明かした。

本作の撮影中に髙石がNHK朝ドラ『ばけばけ』のヒロインに決定したというが、髙石は「(オダギリたちに)めちゃめちゃ言いたかったです(笑)。でも、言っちゃいけないんです。絶対ダメだと思って、オダギリさんは言っちゃうタイプだから、絶対言っちゃダメだと思った」と振り返った。

そして、イベント最後には、オダギリが「(同じ期間に上映中で吉沢亮・主演の)『ババンババンバンバンパイア』を観てください」と爆笑を誘い、「いろんな映画が世の中にはありますけど、向こうもいいし、こちらもいいということで、この文化は、幅の広い土壌の豊かさみたいなものが必要だと思います。メジャーなエンタメ作品って、なかなか海外の映画祭にはいけないんです。海外からは『最近、日本の映画が来ないね』みたいに言われ、そう言われるのは寂しいので、少しでもこういう作家性や芸術的な作品を海外に届けられるような土壌の豊かさがテーマだと思います」と協力を訴えた。

髙石は「私はこの作品から、映画の見方、脚本の読み方を学ばせてもらって、今観終わった皆さんの中に、なんか分からないけど引っかかりがあるなとか、なんかすっきりしないなとか、何か分からない感情が生まれて、でもそれがきっと余韻というか、答えのないものからしか得られない感情だと思っていて、それって一人ひとり絶対違うもので、それがすごい素敵だということを、今回の作品で学ばせていただきました。私は初めて観たときに、勝手に涙が出て、その涙は何の感情なのか今も全く分からないんですけど、ただそれでいいなと思えた素晴らしい作品に出合わせていただきました。ぜひ多くの方に広めてください」とコメントした。

そして、玉田監督は「この映画は分からなさとか不可解さが溢れているような映画だと思っていて、すぐには共感できないものがたくさん、いろんなところに仕上がっていると思っています。でも自分の人生を生きていると、そんなことだらけな気がしていて、他人の感情は基本的に分からないし、自分の感情すらも優秀なことがあるっていう中で、みんな生きているような気がしていて、そういう瞬間を映画の中にたくさん入れられたらいいなと思って撮った映画です。それとともにシンプルな映画でもあるとも思っていて、なんとなく一歩を踏み出せるような気持ちになる、そういう瞬間を描いた映画だとも思っています。いろんな受け取り方ができる映画だと思うし、シンプルさもある映画だとも思うので、少しでも気に入っていただけたらありがたいです」と本作をアピールしてイベントを締めくくった。

映画『夏の砂の上』 全国公開中!
配給:アスミック・エース © 2025 映画『夏の砂の上』製作委員会

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