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2025年10月21日 23:48

北村匠海 主演×内山拓也監督 映画『しびれ』第26回東京フィルメックス・コンペティション選出決定

新藤兼人賞をはじめ数々の映画賞新人賞を席巻した『佐々木、イン、マイマイン』(20)、続く『若き見知らぬ者たち』(24)など、これまで“現実に抗いながらも何かを掴もうとする若者の青春”を見つめてきた内山拓也監督。彼が故郷の凍てつく冬の新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の物語を自伝的作品として描く渾身の一作『しびれ』が、第26回東京フィルメックス・コンペティションに選出された。写真家・トヤマタクロウによる劇中スチール4点も初解禁となった。

曇天に覆われ、大きな波がうねる日本海沿いの町に暮らす少年 大地は、幼少期に暴君のようだった父の影響から言葉を発しない。今は母の亜樹と雑居ビル屋上のプレハブで暮らしているが、水商売で稼ぐ亜樹はほとんど家に帰らず、生活は苦しい。やがて亜樹と共に叔母の家に身を寄せるが、どこにも居場所はなく、ひとりで過ごしては内気になっていった。そんな中、大地は父の行方を求めて生家を訪ねることを決意。これを境に、彼の運命は大きく揺らいでいく。心のよるべなき貧困、誰にも見つからぬように生きる孤独の中のささやかな救い、憎くて愛しい母への複雑な感情。流されるままに生きているようで、歩みを止めない大地。そんな彼がかすかな光を手繰り寄せ、息をのむような大きな愛を知るまでの20年間が、徹底した少年の視点で綴られていく。

青年期の大地を演じるのは北村匠海。どこにも居場所がない孤独な少年期をくぐり抜け、自分のもとを離れた父への静かな怒り、そして女手一つで自分を育てた母に対し、憎しみと愛、相反する感情に揺れる心の内を見事に体現した。大地の母・亜樹役には宮沢りえ。水商売で日銭を稼ぎ、世間的には育児放棄と呼ばれるような生活を送るものの、細部に息子への確かな慈愛が滲む繊細な母親を好演。そして大地の父・大原役を永瀬正敏。幼少期の大地が言葉を失うきっかけとなる暴君のような姿から一転、時が経ち、かつての威厳が消え、悲哀に満ちた余生を送る男を円熟味たっぷりに演じている。また、少年期の大地を演じるのは榎本司(「ちはやふる -めぐり-」)、加藤庵次(『ぼくが生きてる、ふたつの世界』)、穐本陽月(『TOKYO MER~走る緊急救命室~』)の3人。言葉を発しない代わりに、それぞれが無垢で力強いまなざしで、心の奥底に渦巻く寂しさや母親への愛情を表現し、物語全体を牽引していく。

東京フィルメックス・コンペティション選出を受け、北村は「監督の見てきたもの、今信じているもの、過去の無くなったもの。その全てを、北村匠海を介して表現して欲しいと心に決めていました」と吐露した上で、「この映画で一緒に心中してくれと監督は言ってくれたんです。すごく嬉しかった」と、作品を通して共闘した内山監督へ絶大な信頼を寄せた。そして、宮沢は「内山監督はじめ、現場にいる皆んながこの作品に対して愛があって真剣で、その熱量に、私自身、演技の枠を超えてしまうような瞬間があって、それが怖くもあり、面白さでもありました」と撮影時を述懐。一方、永瀬は「監督の心の中の葛藤が、物語の時間軸と共に浄化され未来へ動き出します様に」と、作品の船出に祈りを込める。そして内山監督は「『しびれ』は私にとって人生をやり直すための確かな基盤となった」と振り返りながら、「人生は何度でもやり直せ、手遅れなことはない、再び人生を歩み出そうとするすべての人々に、それでも前を向きたいと思うすべての人々に、そして存在のない子供たちに、この映画を捧げます」とメッセージを送っている。

第26回東京フィルメックスは 2025 年11月21日(金)~30日(日)、有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。『しびれ』の 上映スケジュールおよび舞台挨拶登壇者については、東京フィルメックスの公式サイトへ(https://filmex.jp)。

映画『しびれ』 配給:NAKACHIKA PICTURES  ©2025「しびれ」製作委員会

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