
打海文三による傑作ミステリー小説を映画化した『時には懺悔を』の完成披露試写会が7月29日(水) にTOHOシネマズ日比谷にて実施され、主演の西島秀俊、共演の黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、片岡鶴太郎、そして中島哲也監督、さらに特別ゲストとしてスペシャルニーズスーパーバイザーの安田一貴氏が参加した。

冒頭、9年前の誘拐事件の真相へと迫る探偵・佐竹三雄を演じた西島は「この度は熊本地震でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。そして被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます」と、前日に発生した令和8年熊本地震の被災地に心を寄せながら「撮影中は素晴らしいキャストの皆さん、それからスペシャルニーズを持つ子供たちと毎日とにかく魂を込めて撮影をしていました。こうして完成して皆さんに観ていただけるのはとても嬉しいです」などと柔和な笑みで挨拶した。
一方、中島監督は構想18年を経て完成にこぎつけたことについて、「原作に出会った当時は、障がい児の方に出ていただくこのような映画など不可能だと否定されました。それがこの時代になってやるべきだと、映画化に向かってちょっとずつ進んでいきました。僕一人ではなく、色々な人たちの想いが映画を完成させたと思います。俳優さんもスタッフも魂を込めて演じ、撮影しました」と述べた。
中島組初参加の西島は、本作の脚本に惚れ込んだといい「自分が今まであまり触れることのなかったスペシャルニーズを持つ子供たちとそのご家族の切実な思いが丁寧かつリアルに描かれていた。その先に世界や人に対しての希望があるという素晴らしい脚本でした」と出演を決めた理由を明かした。


とある映像をきっかけに悪徳探偵・米本(佐藤二朗)に調査を依頼した主婦・尋津民恵役の黒木は「自分だったらどうするのだろう?ということを本当に毎日考えながら演じていました」と、役への向き合い方を明かした。『来る』以来8年ぶりの中島組参加となったが「中島さんとまたご一緒できることもそうですし、『来る』を演出していただいた時間が自分の中で芝居を考えるきっかけになった」と再会を喜んでいた。

重い障がいのある息子・新(しんすけ)を一人で育てる明野哲夫役の宮藤は、介護の講習をしっかりと受けてから撮影に臨んだといい、スペシャルニーズの俳優たちとの共演をこう振り返った。「彼らは本当に良い表情や素敵な笑顔を見せてくれて、本番に強い!その良い芝居を僕が台無しにしてしまうのではないかと思った。慎重にやろうとするけれど、彼らの良い表情に釣られて僕も良い人の顔になってしまうから…」と哲夫のがさつさを表すのに苦労した様子だった。


離れて暮らす佐竹の妻・佐竹由紀役の柴咲は「内に秘めるタイプ」と役柄を紹介しながら「私は何でも感情を表に出すタイプだと思われがちですが、意外と内に秘めるタイプ。本当に言いたいことは言えていなかったりするので、そこは自分と同じだなと思いながら演じていました」と共感。佐竹との夫婦像について「心の奥に秘めたものがありながら、壊してはいけない今というものがある」と表現し、「それ以上踏み込めないもどかしさを毎回感じながら、伝わってくるものがあったので、傍らでそれを受け止めてお返ししていた」と西島との演技のキャッチボールを回想した。これに西島も「触れる、というのが本作の大きなモチーフ」と明かし「家族関係の中で触れるシーンは距離感が難しくて、柴咲さんと監督と相談しながら探っていった。それが大きな助けになり、充実したシーンになりました」と撮影を振り返った。

佐竹たちとともに事件を追うベテラン探偵・舟尾役の片岡は、西島、満島ひかり、役所広司ら探偵チームとの思い出を問われ「中島監督の中で、“生きる”ということが本作の一つのテーマになっていて、生きる=食べるという食事シーンが随所にあります。僕の役は甘党なので西島さんとの喫茶店のシーンではチョコレートパフェを食べたりして楽しんで撮影しました」と思い出し笑いだった。
西島はバディを組んだ初共演の満島についての感想を求められると「表現するために生まれてきた方なんだな、というのが第一印象。どのシーンのどの瞬間を切り取っても、本当に生きている、その感情が生々しくあるという方だと感じました。満島さんとのシーンはどのシーンも本当に充実した思い出深いシーンになっています」と絶賛していた。
スペシャルニーズの俳優たちの演出について中島監督は「彼ら彼女たちの魅力がカメラ前で半減しないことだけを考えていました。彼らが一番リラックスした状態で、伸び伸びと普段やっているように動いてもらう。その環境を作ることだけでした。撮影には保護者をはじめ、スペシャリストたちが完璧な状態でケアしてくれていました」と述べた。
そのスペシャリストの一人である安田氏は「参加してくれたお子さんたちが、役者という新しい挑戦を後押しできるようなアシスト役に徹する事を大切にした」などと自身の使命を解説。西島は、撮影に入る前に安田氏や保護者から「俳優として遠慮せずに接して欲しい」と言われたことを振り返り「安田さんや医療スタッフ、病院、色々なケアがあった中で、僕自身も、それからおそらくキャストの皆さんも、本当に遠慮なく、思いっきり演技をしていたと思います」と言うと、安田氏も「西島さんは撮影後もお子さんたちに会いに来てくれたりして、交流が続いています。僕にとっても子供たちにとっても、世界が広がった良いきっかけになった」と、しみじみと語った。
最後に主演の西島は「この映画にはたくさんのキャラクターが出てきます。その中からこれは自分の物語だと思うキャラクターを見つけていただけると思います。そのキャラクターと一緒にこの映画を生きてください。すごくリアルということにこだわって、リアルな感情やリアルな現実を積み重ねて撮影しました。その先に、ささやかな、でも確実に美しい光が差します。ぜひ、それを感じていただければこんなに嬉しいことはありません」と呼び掛けていた。
映画『時には懺悔を』8月28日(金) 全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

