『夢二~愛のとばしり』で純粋な愛を貫く役を好演し新境地を開拓!新鋭・小宮有紗にインタビュー! <前編>
2016/7/29 15:02
2016.07 取材:記事・写真/RanRan Entertainment
『夢二~愛のとばしり』は、大正ロマンを代表する画家・竹下夢二のリアルな姿に迫る物語。美人画のモデルにもなった妻・たまきとの愛憎や、もっとも愛した女性・彦乃との逃避行を通して夢二の人間的な面を描き出していく。彦乃役は、「特命戦隊ゴーバスターズ」などで人気の小宮有紗が熱演。これまでとは違う役柄に挑戦した彼女に注目です。私は栃木出身で、日光に竹下夢二の美術館があるので画家としては知っていたのですが、実際のエピソードは知りませんでした。でも、出演オファーをもらったとき母に話をしたら「ああ、竹下夢二はそういう人よね」と。「知られている話なんだ」とびっくりして、ネットで検索したり、古書店で画集を買ったり、東京の美術館に絵を見に行ったりして、夢二について知るところから始めました。――夢二が描いた彦乃の絵を見て、どんな印象を持ちましたか?
それぞれのモデルに対する夢二の心情が絵に表れているのかな、と思いました。もちろん顔は違うんですけれど、色合いや雰囲気も違うんです。彦乃の絵は明るくやわらかい雰囲気なので、夢二はそういう気持ちだったんだろうなと思いました。あ、彦乃が描いた絵も見ました。彦乃もすごく上手なんですよ。
――小宮さんが思う彦乃は、どういうイメージですか?
本当に純粋な心を持っていて、何に対しても一生懸命な女性。絵に対しても、夢二に対しても一途な気持ちを持っていたのだと思います。夢二との関わりは、絵がきっかけなんですけれど、「絵を教えてもらいたい」という純粋な気持ちが亡くなるまでずっと継続しているんです。その純粋さはすごいなと思って、そういう部分を大切にして演じるように心がけていました。
私も、幼い頃、ものづくりのアトリエに通っていたことがあって、今でも絵を描くのが好きなんです。なので、彦乃の絵に対する熱意のようなところは、すんなり共感できました。
――小宮さん自身はどういう絵を描くんですか?
似顔絵を描いたり、時間があれば風景を描いたりもします。学校の美術の授業とかもすごく好きだったんです。栃木に住んでいた頃は、ひまを見つけては公園で景色を描いたり、友達を描いたりしていました。最近は、東京に住んでいるので、一生懸命に探さないとなかなかいい景色に出合えないのが残念です。どこに行ってもビル街、みたいな感じがして(笑)
――撮影で一番印象に残っているのはどんなシーンですか?
たまき役の黒谷友香さんとのシーンですね。以前、他の作品で黒谷さんとご一緒させていただいて、撮影ではほとんど絡むところはなかったのですが、打ち上げなどで少しお話しできて、そのときから憧れていたんです。今回、一緒のシーンがあったのでうれしかったんですけれど、たまきと彦乃、その2人をぼう然と見守る夢二、という鬼気迫る場面で…(笑)。普段は帰りがけに「じゃあね」なんて優しく声をかけてくださるんですけれど、そのシーンだけは怖いくらいの迫力で(笑)、すごく印象に残っています。
黒谷さんとご一緒したのはそのシーンくらいで、なかなかお話しするチャンスがありませんでした。駿河さんは、夢二が“ずっと彦乃のことが好き”という役柄だったこともあって、すごく仲良くしてくださって、お弁当を一緒に食べたりしました。逆に、駿河さんと黒谷さんは、普段は仲がいいらしいのですが、ほとんどお話しされていなかった気がします。愛憎入り混じる、ピリピリした役柄でしたからね…(笑)。
後編~
『夢二~愛のとばしり』
Story
大正時代。夢二(駿河太郎)は、自らの絵を売る店を営みながら、美人画のモデルでもある妻・たまき(黒谷友香)、息子とともに暮らしている。しかし、生活のために絵を描く毎日に、芸術家として葛藤を覚えていた。ある日、運命の女性・彦乃(小宮有紗)と出会う。やがて、たまきとの関係は崩壊していき…。
7月30日より全国順次公開
■原作:野村桔梗「竹久夢二のすべて」(駒草出版)
■監督・脚本:宮野ケイジ
■出演:駿河太郎、小宮有紗、加藤雅也、黒谷友香ほか
■2015年/日本/108分
■配給:ストームピクチャーズ