トップ > PICK UP > 【後編】松岡広大インタビュー 映画『いなくなれ、群青』で見せた明るさの中の憂い「暗さや脆さを表現したかった」

2019年8月23日 18:01

【後編】松岡広大インタビュー 映画『いなくなれ、群青』で見せた明るさの中の憂い「暗さや脆さを表現したかった」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

042s

――松岡さんは舞台でも映像でもご活躍されていますが、演じ方を変えたりはするのでしょうか?

 全然違うものなので、芝居の仕方も違いますし、完全に別物だとは思っています。映像で演技をするときには、演技過多にならないようにということは考えていた時期もありました。舞台では表現を大きくしないと伝わらないですが、映像はより細かな表情を撮影するものなので、リアリティーさや普段の生活でも通用するような、現実味を帯びた演技をしなければならないので、そういう意味でも演じ方は変えています。それから、舞台の場合は、お客さんが勝手に寄ってみたり、引いてみたりして、誰を観ていても自由ですが、映像はこの人を観ると決められているので、それも舞台と映像の違いだと思います。

060s

――ナド役の黒羽麻璃央さんやタクシー運転手役の君沢ユウキさんなど、松岡さんとは馴染みの深い役者さんも本作には出演されていますね。劇中での絡みはありませんでしたが、撮影現場ではお会いしましたか?

麻璃央くんとは一緒のシーンはありませんが、現場ではすれ違っていました。僕がお昼すぎに終わると、麻璃央くんが現場に入ってきて、「頑張ってね〜!」という会話はしました。君沢さんとも一緒のシーンがなかったので、すれ違いばかりで…。でも、君沢さんがロケ地に来た日に、僕は撮影を終えてから迎えに行って、二人でご飯を食べました。撮影中の二人はほとんど見ていないので、出来上がった作品を観て、初めて二人が(本作で)演技している姿を見ました(笑)。

058rs

――撮影終わりに出演者たちでご飯を食べに行くことは多かったですか?

流星くん、まりえちゃん、穂香さん、僕、(松本)妃代ちゃんでご飯にも行きました。近くのお店を僕が予約して…。

――場所はご自分で探すんですね!

自分でおさえました。アプリを使って滞在していたホテルのすぐ近くのお店を探して…。そういう調整をするのは好きなんです。僕らくらいの年齢だと面倒だからってやりたがらない人も多いのですが、結果的に喜んでもらえると僕も嬉しいので、自分でやることが多いです。

――素敵です。では、佐々岡に共感できたところ、自分と似ていると思うところは?

相手にとってプラスになることであれば、多少の苦労は厭わずにやるということです。それをすることで自分も存在意義を見出せるんだと思います。人間は、求められたいと思うものだと思いますし、誰にでも承認欲求はあると思うので…。なので、佐々岡が人のためを思って奔走することに共感できますし、そこは似ているところでもあると思います。

030s

――先ほど、ご自分でお店を予約するとおっしゃっていましたが、それもそういう思いから?

そうです。5人中1人でもありがとうと言ってくれたら、それだけで報われた気持ちになりますし(笑)。

――では、本作の物語にちなんで、松岡さんが「捨てたいもの」とは?

捨てたいものは、家に溢れかえっています(笑)。

――ものを捨てられない性格ですか?

捨てられないんです(苦笑)。今、家に僕が3〜4歳の頃、カブトムシを掴んで破顔している姿を写した写真があるのですが、それは「捨てたいもの」ですね。毎回、見るたびに恥ずかしいなと思って、封印したいです(苦笑)。

044s

――本作のように不条理な状況に追い込まれたら、その状況を受け入れますか? それとも真辺のように疑問を持って謎を解決していこうとしますか?

不条理に対しては立ち向かうと思います。ただ、真辺のように果敢に立ち向かっていくというわけではない。真辺のやり方は、すごく敵を作ってしまうと思うんです。主観で動いていて、相手からどう見られるかという客観性を全く持っていないので。なので、一見すると、不条理を受け入れているように思えるかもしれないですが、実は裏で解決しようとしていると思います。不条理というものは、どう考えても我慢するものじゃないと思うんです。妥協はできても我慢はしなくていいと思うので、抜け出そうともがきます。

028s

――それは、仕事においても同じ考えですか? 例えば、仕事をしていて納得できないことがあったら?

まず、「これはどういうことですか?」と事実確認をして、どういう情報でこうなったのかということを聞いてみます。それで、説明を受けて、自分で解決しようとすると思います。本当はすべてのことを白黒ハッキリできたらいいと思うのですが、仕事をしていればそうならないことも多いので、グレーであっても、深入りはしないとは思います(笑)。

前編~

Print

映画『いなくなれ、群青』は96日(金)から全国公開。

■原作:河野裕『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex)
■出演:横浜流星 飯豊まりえ
    矢作穂香 松岡広大 松本妃代 中村里帆
    伊藤ゆみ 片山萌美 君沢ユウキ 岩井拳士朗/ 黒羽麻璃央
■監督:柳明菜
■脚本:高野水登
■音楽:神前暁
■主題歌:Salyu「僕らの出会った場所」
■主題歌プロデューサー:小林武史
■公式サイト:inakunare-gunjo.com
公式ツイッター:https://twitter.com/InakunareG
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/inakunare_gunjo/
■配給:KADOKAWA/エイベックス・ピクチャーズ
■コピーライト:(C)河野裕/新潮社 (C) 2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会

 (取材:文・嶋田真己/写真撮影・篭原和也)

 

 

 

トップ > PICK UP > 【後編】松岡広大インタビュー 映画『いなくなれ、群青』で見せた明るさの中の憂い「暗さや脆さを表現したかった」

Pick Up(特集)

error: コンテンツのコピーは禁止されています