石井裕也監督最新作『本心』が11月8日(金) に全国公開される。昨年10月公開の『月』が同年度の各映画賞を総なめにした石井監督が主演に池松壮亮を迎え、平野啓一郎(「ある男」)原作の傑作長編小説「本心」を映画化する。
「大事な話があるの」――そう言い残して急逝した母が、実は“自由死”を選んでいた。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか…。どうしても母の本心が知りたい息子の朔也は、最先端のAI企業に「母を作ってほしい」と依頼する。テクノロジーは、人の心を再現できるのか。ただ、母の本当の心を知りたかっただけなのに、朔也は自分の心や尊厳さえも見失っていく。
石井監督が技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写。今と地続きにある少し 先の将来、“自由死”を望んだ母の“本心”を知ろうとすることをきっかけに、進化する時代に迷う青年を映し出す。
主演を務めるのは池松壮亮。時代に置いてけぼりにされた青年・石川朔也を、あえて地に足の着かない不安定な演技で見事に体現。原作を読んだ池松が全幅の信頼を寄せる石井監督に「今やるべき作品」と企画を持ち込み、俳優歴24年にして「気の抜けない脚本だった。こんなに集中した夏は初めて」と語る意欲作。(撮影は2023年7月)
池松演じる朔也の母 秋子役には数多くの名作映画に出演してきた田中裕子が扮し、生身/VF(ヴァーチャル・フィギュア)という未知の“2 役”に挑戦。石井組初参加となる彼女が圧倒的な存在感を見せつける。そして、三吉彩花が秋子の素顔を知るキーパーソンであり、過去の傷を抱えるミステリアスな女性・三好を好演。彼女が朔也の人生に与える影響とは…。朔也の幼馴染の岸谷を演じるのは水上恒司、最新AIのVF技術者 野崎将人に妻夫木聡。さらに、仲野太賀、綾野剛、田中泯が、朔也の心情を大きく揺さぶる重要な役どころを担う。
【STORY】 工場で働く青年・朔也(池松壮亮)は、母(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、1年もの間昏睡状態に陥ってしまう――。目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”選択していたと聞かされる。幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始めた朔也は、カメラが搭載されたゴーグルを装着し、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する業務を通して、人々が胸の内に秘めた願いや時には理不尽な悪意に晒され、人の心の奥深さとわからなさを日々体感してゆく。そんななか、仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という技術を知る朔也。いつまでも整理のつかない「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼する。
映画『本心』 11月8日(金) TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2024 映画『本心』製作委員会