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平方元基インタビュー「芝居の原点にある喜びや幸せを教えてもらった」ミュージカル『サンセット大通り』に再び挑む!

2019/11/21 15:20

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

ハリウッドのサンセット大通りに面する邸宅を舞台に、売れない脚本家のジョー・ギリスが、大豪邸に住むかつての大女優ノーマ・デスモンドと出会い、彼女の悲哀や孤独に巻き込まれていく姿を描くミュージカル『サンセット大通り』。1995年にトニー賞最優秀ミュージカル作品賞を獲得、日本では2012年に初演されて以降、多くのファンから愛されている本作の待望の再々演が2020年3月に決定した。主演を務めるのは、2015年の公演に続き安蘭けいと濱田めぐみ。ジョー役は松下優也と平方元基がWキャストで務める。2015年公演から続投する平方に、作品への思いを聞いた。

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――(取材当日は、ビジュアル撮影の日のため)ビジュアル撮影はいかがでしたか?

ジョーは、本番中は3分しか袖にはけない(舞台から降りない)ので、ものすごく汗だくになりながら頑張ったなって、スーツを見て懐かしい気持ちになりました。またあの公演がやってくるんだと思うと、怖いなという気持ちとワクワクした気持ちの両方が湧いてきて…そんな気持ちでビジュアル撮影しました。

――改めて、今回の出演が決まった時のお気持ちは?

ずっと再演したいと思っていたので、「やった!」という気持ちと同時に、プレッシャーもありました。再演というのは、1度お客さまに提示したものを、ブラッシュアップして再提示するということなので、どうしてもプレッシャーはあります。応援してくださっている方たちは、僕がどう成長しているのかだったり、どういう変化があるのかだったり、いろいろな視点を持って作品をご覧になってくださると思うのですが、僕自身が「成長していることを見せる」ということに重きを置いてしまうと、作品の本質とはずれてしまうと思うんです。なので、僕は単純に、しっかりと作品と向き合っていく。その結果、お客様が「成長したね」って思ってくださるところにたどり着ければいいなと思いました。前回の公演と今回と、作品への取り組み方は変えずにやっていこうと思っています。

――ずっと再演したいと思っていたというのは、どのような心境からですか? 何か引っかかっているものがありましたか?

そう、引っかかってたんです。よくインタビューなどで「やりたい作品はありますか?」という質問があるのですが、そういう時に改めて考えると、引っかかってくるのがこの作品だったんです。何かをやり残したつもりもなかったんですが、なぜか引っかかっていた。(前回公演時は)すごく大変な稽古で、自分自身を見失うかもしれないというほどお稽古を重ねていたんです。それは、本当に苦しいことではありましたが、今、思い返せば、とても居心地のいい稽古場で、すごく楽しかったし、ものを生み出してお客さまに観ていただくという芝居の原点にある喜びや幸せを教えてもらった現場でした。

この作品は、決して派手な作品ではないですが、地味な作品でもない。作品の力が強く、“高血圧な作品”だと思います。目の前で人が苦しんでいる姿は、淡々とは観られないですよね。ドロドロと苦しんでいる姿を見せて、どうなるかがしっかりと描かれているので、骨太な作品だと思います。

――2015年の公演で印象に残っていることは?

クライマックスのシーンでズボンが破けてしまったことです(笑)。ベティーが家を出て行ってしまって、ジョーは一気に力が抜けて玄関のドアのヘリに腰を抜かしたように座り込むんですが、その時に「パリーン」って(笑)。それも、4日連続で同じ場所を破いてしまったので、縫うに縫えなくなってしまったんです。それで衣装を新しくしてもらったので、すごく印象的でした(笑)。

――それは確かに印象深いです(笑)。では、前回、ジョーを演じられて、難しいと思ったところは?

僕は、それまで、どちらかというと背景や、そのキャラクター性がわかりやすい役が多かったんです。例えば、『エリザベート』の皇帝は「こういう役だろうな」ってすぐにわかるじゃないですか。でも、ジョーはただの一人の男としてそこにいるんです。(演出の鈴木)裕美さんも毎回、毎回、自然にそこに立っていることを大事にされていたので、そこが難しかったです。大きな表現で気持ちを見せなくてもきちんと伝わるんだということを改めて学び直した気がします。

――逆に、演じていて面白かったところは?

毎回違うことをリアルにやれること。それが楽しかったし、飽きなかったから、もう一度やりたいと思ったのかもしれません。その時のワクワクが忘れられないんだと思います。衝撃だったので。

――前回の公演から4年ほど経っていますが、その間にその衝撃はほかにも受けましたか?

衝撃まみれです(笑)。毎回、どの作品に出演しても、演出家の方の熱意には、衝撃を受けます。その方向はそれぞれ違うので、そこからもらう気持ちもそれぞれ違うんですが、未だに毎回衝撃です。まだしばらく、衝撃を感じるんだと思います。

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――では、2015年に出演した当時、鈴木さんの演出にはどんな印象をお持ちになりましたか?

裕美さんとは仲が良くて、よく飲みに行くんです。なので、前回の公演の時の話もよくしますが、特に印象的だったのは裕美さんから千秋楽の日に手紙をもらったことですね。「言ったことと全く違うことを(平方が)やりだした。でも、それが、通るって思ったから私は自分の演出プランを変えた。それが自分の演出家としての今の歩みにすごく影響をもたらせたし、初めての経験をさせてもらった、ありがとう」っていう内容でした。僕自身はそんな自覚もないので、お礼なんていいよって思うのですが(笑)。当時は、僕も何もわからない状態だったのに、ああでもないこうでもないって、諦めずに最後まで教えてくれる方でした。それはとても体力のいることだと思うけれど、裕美さんはそれをやってくれる人です。

――前回の公演時と今で、俳優として意識が変わったことはありますか?

俳優としては変わりたくなかったし、だから変わっていないと思います。技量は周りの方が判断してくださることだからそれはわからないですが。もちろん、技術的なことや、見せるためのあざとさは必要だと思うし、それはストックはしていきたいと思います。でも、それを使うのは、どうしてもという時だけでいいと思うんです。もっと経験を積んで、確立して、いろいろなことができるようになって、技術も出せますというならばいいんですが、今、自分の信念に逆らうようなことをして、どんどん壁を作っていくのは、自分の可能性を狭めることだと思います。なので、俳優としては変わっていないとは思いますが…でも、キャストやスタッフさんなど、信じようとするものは広がりました。

――今回、4年ぶりにジョーを演じるにあたって、どのように演じようと思っていますか?

前回よりも、もっと深く台本を読めるようになっていると思います。前回は、本当に必死に追いかけるだけだったので、きっと見落としているものもあったんだろうと思います。それにも気づかないくらい必死で走っていたという状況からは、もうすこし進んで、感じたことだけではなく、その場の状況を考えて演じようと思います。作家の方が大事にしたかったことも自分の中に取り入れられればいいなと思っています。

――Wキャストでジョーを演じる松下さんの印象は?

裕美さんが演出されていた『花より男子 The Musical』など、何作かお芝居は観させていただいていますが、共演は今回が初です。お芝居を観ていると、年下って感じはしないんですよね。自分の表現したいことがハッキリしているんだろうなと思うし、アーティストさんだなって思う。だからこそ、肩肘張らずに、いいコミュニケーションが取れそうだなって思います。

――Wキャストということについては、いかがですか?

Wキャスト、トリプルキャストはもう何度もやっているから、あんまり気にしていません(笑)。実は、一人でも二人でもやっていることは変わらないんだと思います。もちろん、昔は負けたくないなんて思った時もありました。でも、何をもって勝ったと言えるのかと考えると、それは違うなと思うようになったんです。声も違うし、感情もサイズも、やり方も違うし、何を比べるんだろうって。もちろん、お客様にとってはWキャストというのは面白いものだと思いますし、それを楽しんでもらえればいいのですが、僕たちが意識し出してしまったら本質とズレていってしまう。だから、僕たちは演出家としっかり向き合って、演出家の声を聞いて、やれることは全部やればいいんだと思っています。

――安蘭さん、濱田さんの印象は?

前作では同じ作品に出ていながらもステージ上では濱田さんと一緒に演技をしたわけではないですが、別の作品でご一緒させていただいたこともありますし、気心は知れているので楽しくやらせていただけると思います。濱田さんはそっと腰に手を当てて「OKだよ」って言ってくださったり、とてもジェントルな方なんですよ(笑)。安蘭さんもとても素敵な方で、お二人ともとても大きい方だなという印象があります。キャラクターはお二人とも違いますが、歌う姿も立ち姿もスケール感が違う。なるべくしてなった方。自分の正義で立っていられるように自分も周りもコントロールして、正直に生きていらっしゃるので尊敬しています。

――改めて公演への意気込みを。

前回は、ただただ一生懸命だったように思います。お客様はその必死な姿を観てくださったんだろうと思いますが、今回は「観てもらう」のではなく、「お客様を誘って(いざなって)」いきたいと思っています。今もそんな器量はないかもしれませんが、でも、もう少しお客さんのお顔を見て、空気を感じて、一緒に物語を進められればいいなと思います。

ミュージカル『サンセット大通り』

2020年3月14日(土)~29日(日)に東京国際フォーラム ホールCで上演

作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本・作詞:ドン・ブラック、クリストファー・ハンプトン
演出:鈴木裕美
修辞・訳詞:中島淳彦


キャスト
安蘭けい/松下優也
濱田めぐみ/平方元基
山路和弘/平野 綾
太田基裕/戸井勝海/浜畑賢吉 他


 

 

 

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