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2019年11月26日 14:58

【後編】新曲「Hello」からミュージカルまで……「言葉を届ける音楽を」!加藤和樹インタビュー

取材:記事/RanRanEntertainment
写真/オフィシャル

──ミュージカル出演が増えて、歌について変化はありましたか?

自分の楽曲へのアプローチの仕方はけっこう変わりました。「ここで喉を開けた方が楽なんだな」とかいろんな歌い方を学んだので、楽曲の幅が広がった気がします。僕はベースにはロックがあるとはいえ、いろんな楽曲を歌うので、楽曲に合わせて声の出し方が変わるようになりました。あとは、言葉に気をつかうようになりました。

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──さきほども「言葉をちゃんと届けないと意味がないなと、ミュージカルをやって改めて強く感じた」と言っていましたね。

改めて、ですけどね。だから僕は、観ていて「歌がうまいな」と感じるミュージカルはあまり好きじゃないんです。もちろん歌がうまいのは素晴らしいことですけれど、「歌がうまいな」と感じるのならコンサートがいい。ミュージカルは役があって、そこに気持ちがあるから素晴らしい音楽になって届く。「歌が上手い」よりも、役の気持ちが届いたり、その人生を実感できるものがいい。

でも、自分も「うまく歌わなきゃ」という思いにとらわれちゃう時があるわけですよ。特にレコーディングではお客さんもいないし、言葉を届けることや気持ちよりも、うまさに気をとられてしまう。でも、それは違う。技術的なことも必要ですけど、まずなにより気持ちがないと音楽が死んじゃう。せっかく良い曲なのに何も入ってないねとはしたくない。音楽もそうあるべきだと思います。

──今はミュージカル『ファントム』公演中ですが、そこでは「言葉」をとても大事にした演出だそうですね。

『ファントム』は演出が城田優ですけど、「なるべく歌わないように歌を歌う」という演出の仕方をしています。しゃべり言葉のように歌いたいから、ブレがなければ符割りも自由でいい。決められたメロディーの中でどれだけ遊べるか、ということですね。

また、舞台上で相手から受けとるものを素直に返すという演劇の基礎をきちんとできれば、この作品は成立する。難しい楽曲ばかりですけれど、役を通してちゃんと気持ちを込めて歌えばお客さんに届くと信じています。

──演出の城田優さんから注文は?

「芝居しないで」と言われます。9月の舞台『怪人と探偵』が、明智小五郎役というスマートでかっこよくて作り込んだ役だったので、『ファントム』では作り込まずに、そこに生きているとういうことを意識しています。そのためには、今までの自分を捨てなきゃいけない。エリックとして存在できるように「今までやってきたことをすべて捨てて」と優からずっと言われました。ただ「捨てる」というのは、全部無くすことではない。「捨てる」というのは、一回忘れるということ。自分の中にはあるままなんだけど、それに頼るなっていうことなんですよ。きっと、観ればわかっていただけます。

──作品としてのみどころは?

この物語は、怪人ファントムであるエリックがクリスティーヌに出会ってどんな生き方をして死んでいくかという話でもあるし、クリスティーヌがエリックに出会ってどれだけ歌手としても人としても成長するかという物語でもあると思うんです。クリスティーヌは天真爛漫ですごく素直な人だから、逆にその素直さがエリックを傷つけてしまう。また、「愛」がひとつのテーマになっていて、恋愛や、親子や、友情などいろんな愛の形があふれている作品なんです。そんな中で生きるエリックが、怪人と言われても、一番人間らしくて純粋な青年だった。だからこそ、胸に届く歌や芝居が詰まっている作品です。

あと、ほかのテーマとして「音楽」がある。僕も音楽に救われた人間として、音楽がエリックの救いだということに共感できる部分もあるし、心から「音楽があって良かった」と言えて、彼とリンクします。でも、彼はけして不幸ではない。不幸なことはあったかもしれないけど、最終的にはすごく幸せな人生を終えたと、僕は思うんです。

──どの登場人物に感情移入をしても胸揺さぶられる作品です。加藤さんが演じるエリックはとくに。

もうね、涙なしでは見られないでしょう。こっちも涙なしでは演じられない。エリックの感情の動きが激しくて、もう怒って悲しんで怒って悲しんで……気持ちがごちゃごちゃですごく大変です。でも、その感情のエネルギーがエリックを突き動かしている。エリックは人と接することがなかったので、自分の思いをどれだけ人に伝えていいかがうまくわからない。だからこそ、言葉の力・音楽の力がすごくある作品です。彼は怪人ではないし、一人の人間だということを、お客さんに観ていただきたい。

──『ファントム』の次は、『フランケンシュタイン』がひかえていますね。またこれも体力がいるミュージカルです!

そうなんです。『ファントム』の後だし、パワーアップした舞台にしたいですね。9月の『怪人と探偵』に続いてまたあっきーさん(中川晃教)さんとやれるのは楽しみですし、この作品でどれだけ上にいけるかという期待もあります。

──大変だと思いますが、体調管理はどうしていますか?

食べますね。稽古中はほとんど食べないんですけど、本番中はエネルギーの消費量が半端ないので、とにかく食べます。

──やっぱり大好きなラーメンを!?

ええ、ラーメンは食べますね。ガンガン食べます!気分転換に自分でも作ります。あとはやっぱり肉ですね。たぶん舞台に立つ方はみなさん「肉!」って言うんじゃないかな。血肉をむさぼらないと体力がついていかないので(笑)本番中にはよく焼き肉に行きますね。

──体力第一ですね。慌ただしくあっという間に日々が過ぎていくかもしれませんが、加藤さんが2019年にやり残したこと、やっておきたいことは?

来年の準備を進めたいですね。『ファントム』の本番があけてすぐに『フランケンシュタイン』の稽古が始まるので、身体もつくっておきたい。その合間に、来年のツアーに向けて準備をしたいです。ツアーは過去最多の25カ所をまわるので、やっぱり体調管理に気をつけないといけないですね。

──ツアーも楽しみです。これからも新しい楽曲をリリースされることと思いますが、今後どんな曲を手がけたいですか?

世界観がすごく伝わるものが良いですね。あとは、せっかくミュージカルをやっているんだから、ミュージカルっぽい作りの曲にちょっとロックを当て込んだら面白いかななんて思います。まぁ、すでに世の中にはロックミュージカルもありますけど、そんなふうにジャンルの垣根をちょっとずつ取っていきたい。思い返せばボカロな曲も歌っていますけど、やるまでは「ボカロなんて」と思ってたんですよ。「人間が歌えよ」と……。でも、聴いてみると、やっぱり楽曲が素晴らしい。人間が歌っているわけじゃないのに、伝わってくる体温のようなものがすごくあるんです。だったら人間が歌ったら、もっと強く聴いている人に伝わるんじゃないのか!?と思って歌ってみました。やっぱり「伝わる」ということが、僕にとって大事なんです。

前編~ https://ranran-entame.com/wp-ranranentame/music/64546.html

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■Live info
Kazuki Kato Road Tour 2020 ~Thank you for coming! 2~
6月20日(土)   千葉県・柏 PALOOZA
6月21日(日)   茨城県・水戸 LIGHT HOUSE
6月27日(土)   神奈川県・新横浜 NEW SIDE BEACH
7月03日(金)   岐阜県・柳ケ瀬 ants
7月04日(土)   愛知県・名古屋 SPADE BOX
7月05日(日)   静岡県・浜松 窓枠
7月10日(金)   岡山県・岡山 IMAGE
7月11日(土)   香川県・高松 DIME
7月12日(日)   徳島県・徳島 club GRINDHOUSE
7月14日(火)   兵庫県・神戸 VARIT.
7月18日(土)   北海道・札幌 SPiCE
7月19日(日)   東京都・新宿 BLAZE
7月23日(木・祝) 岩手県・盛岡 CLUB CHANGE WAVE
7月25日(土)   宮城県・仙台 MACANA
7月26日(日)   福島県・郡山 HIPSHOT JAPAN
7月29日(水)   埼玉県・さいたま新都心 HEAVEN’S ROCK
7月31日(金)   石川県・金沢 AZ
8月01日(土)   長野県・長野 CLUB JUNK BOX
8月02日(日)   山梨県・甲府 CONVICTION
8月06日(木)   広島県・広島 セカンド・クラッチ
8月08日(土)   鹿児島県・鹿児島 SR HALL
8月09日(日)   長崎県・長崎 DRUM Be-7
8月10日(月・祝) 福岡県・福岡 DRUM Be-1

Kazuki Kato Live GIG 2020   ~タイトル未定~
6月28日(日)   東京都・新宿 BLAZE
7月08日(水)   大阪府・大阪 Banana Hall

Hello
作詞:加藤和樹 作・編曲:田中俊亮

 「おはよう」って声で目覚めて 今日がまた動き出した
繰り返しの日々の中 何を思うんだ

どうやっても昨日は来ない わかってるはずなのに
想い出に座り込んで後悔ばっかしてる
出口のない迷路に光は射すの?教えて

Hello Hello この声がどうか誰かに届きますように
どんなに叫んでみたって 今さらだけど
もし まだ叶うのなら 自分の足で歩いていこう
光の射す道を

 「おやすみ」って声で目を閉じて 今日がまた終わるんだ
ありきたりな毎日の中 何を願うのか

どうしようもない 明日は来る わかってる わかってるのに
現実に立ち止まって足踏みしてる
カタチのない未来に手を伸ばすんだ もう迷わない

 Hello Hello この声がもっと遠くへ響きますように
返事(こたえ)はない それでもいいさ ひたすらに叫べ
つまらない意地かもしれない 今 ここにいる意味を
探し求めてんだ
Hello

Hello Hello この声がどうかあなたにも届きますように
どんなに叫んでみたって 今さらだけど
つまらない意地だとしても 今 ここにいる意味を
探し求めてんだ
Hello

 

 

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