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2019年11月2日 12:10

辻本知彦、森山未來のユニット・きゅうかくうしお『素晴らしい偶然をちらして』ダンス公演、「これまでにないものを創ろう」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

子どもが生まれたらつけたい名前に、辻本知彦が「きゅうかく」、森山未來が「うしお」をあげ、そのふたつを合体してうまれたユニットが「きゅうかくうしお」。1122日(金)から横浜で、2年ぶりとなるダンス公演『素晴らしい偶然をちらして』を上演する。

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きゅうかくうしおのメンバーは9名。うちダンサーは辻本と森山の2名のみで、ほかは舞台監督、照明、音響、映像、宣伝美術、制作、制作助手らがフラットな関係で作品を立ち上げる。「全員出演者」という9名は、どういう形で作品に関わるのだろう?

森山 「全員が舞台にいます。照明や音響って普段は舞台から見えないところにいるけれど、オペレーションしているところも見せます。制作も、お米を炊いているところを見せようかと考えています(笑)。今年の5月に愛知県西尾市で合宿して、田んぼの中でパフォーマンスをしたんですが、その田んぼで作ったもち米がそろそろ収穫らしいので。……まぁ、実際にどうなるかはわからないけど」

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9人はこれまで、膨大なアイデアやイメージを共有してきた。定期的なミーティングやリサーチ、頻繁なクラウド上でのやり取り、さらには地方での滞在制作など、メンバー全員がつねに意見交換を重ねてきた。その積み重ねの先に、今回の『素晴らしい偶然をちらして』が形作られる。はたして、どんな新作公演になるのだろう。

辻本 「テーマのひとつとして“時間軸”や“時間の流れ方”を意識しながら作品をつくっています。そこに、今の世の中で着目している話題をぶちこむ。政治でも食でもいい。「これってどういうことなんだ?」「LGBTってどうなのかな?」と気になっていることをひとつ投げかけてつくっていく予定です。未來は「知さん、そういうのいいねん、めんどくさい」とか言いながらも真剣に考えてくれる(笑)そうやって考えていくことでだんだんテーマが濃くなって、最終的にどこかに精通していくはず」

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公演は、『素晴らしい偶然をもとめて』(2010年)、『素晴らしい偶然をあつめて』(2017年)を経て2年ぶりとなる。その間に辻本は、米津玄師『LOSER』『パプリカ』など振付家としても活躍。森山はNHK大河ドラマ『いだてん』など映像や舞台への出演が続いた。2年経ち、お互いに変化はあっただろうか?

辻本 「未來は、踊りが全然違う!めちゃくちゃ上手くなった!たぶんコンテンポラリーダンスが彼の体に合うんでしょうね。ジャンルにとらわれずにただただ動かすフリースタイルの表現が、彼にヒットしてる。でも、前は芝居とダンスを分けていたと思うんです。それが今は両方の引き出しをスムーズに開けられるようになって、お芝居のように踊れるようになった感じがするんです」

森山 「そうかも。ダンスの技術をただ追求するのではなくて、その時その時の自分のイメージと身体をどうフィットさせるかをずっと考えていたような感覚です。お芝居の場合は、で「このキャラクターはどうかな」と考えてから自然に出てくる身体の動きや立ち方があるけど、踊るときはダンサーそれぞれがそこにいるための立ち方や身体の見せ方がある。僕は、その中間地点をすごく鍛えようとしている気がします。一方で知さんは、振り付けをやるようになってからだと思うんですが、イメージの広がりが幅広くなった。知さんがどんどん具体的なイメージを入れてくれるので、僕のイメージも広がっていく。ロジカルな場面では僕に委ねてくれるし、立ち止まった時には知さんがポンと開く瞬間をつくってくれる。急に「相撲やろう!」とか言うんですよ。それで詰まっていたものがうまく流れたりする。知さんはロジカルに考えることもできるけれど、それよりも、まずやってみる。だから次に何が起こるのか想像できないんです」

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さらに、きゅうかくうしおはSNSや映像での情報配信も積極的におこなっている。なかでもインスタライブには力を入れており、毎月のように配信。とくに10月末~11月にかけての香港での滞在制作中には毎週配信している。

森山 「さらけ出してみようと思ったんですよ。今の時代はネットでなんでも出せるので、生身の舞台ではみせられないクリエーションのプロセスをどれだけ事前に出せるかと考えていました。SNSや映像などでいろんな人達と話している様子を見ていた人は、「この人達はどういう人なのかな」と想像できたり、メンバーの顔やキャラクターがちょっとでも見えたら愛着が湧いてくるんじゃないかな、とも。実際に公演を観に来ても、ふつうは照明さんの顔は気にしないけど、「あの人、照明の吉枝だ」ってわかりながらダンスを見る時間になると面白いな。ダンスパフォーマンスを見るっていうより、その空間を体感するようなイメージです。もちろん踊るんだけど、ダンスは『素晴らしい偶然をちらして』という作品の要素のひとつになるだろうなという気がしています」

辻本 「ありそうでないものができるかもね。誰かはやっているかもしれないけど、僕は見たことないものを創ろうとしています。洒落た感じの、いい時間にします!(笑)」

▼今後のメディア・インスタライブ予定
11/2(土)22:00〜23:00
NHK Eテレ・東京
『SWITCHインタビュー 達人達(たち)「森山未來×菅野薫」』
11/3(香港)、11/9(香港)ほか
インスタライブ配信:22:00〜
https://www.instagram.com/kyukakuushio/

▼公演情報
<会場>
横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール
<公演日>
2019年11月22日(金)〜12月1日(日)
<出演>
辻本知彦(踊り子)、森山未來(踊り子)
河内崇(舞台監督)、吉枝康幸(照明/YAS)、中原楽(音響/ルフトツーク)、松澤聰(映像)、矢野純子(宣伝美術)、村松薫(制作)、石橋穂乃香(制作助手)
※辻本の「辻」は1点シンニョウですが、環境によって2点で表記される場合があります。

 (文・写真/河野桃子)

 

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