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2021年6月14日 18:50

濱口竜介監督の新作映画『偶然と想像』がベルリン国際映画祭にて審査員グランプリ(銀熊賞)受賞

濱口竜介監督の新作映画『偶然と想像』
がベルリン国際映画祭にて審査員グランプリ(銀熊賞)受賞

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濱口竜介監督の新作『偶然と想像』(英題:Wheel of Fortune and Fantasy)が第71回ベルリン国際映画祭にて審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、濱口監督は、現地時間6月13日(日)19時30分からの授賞式に臨んだ。カンヌ、ヴェネツィア各国際音楽祭と並んで、世界三大国際映画祭のひとつと称せられるベルリン国際映画祭で金熊賞に次ぐ輝かしい賞を受賞した。

授賞式では、ドキュメンタリー作品『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』の監督で、ヴェネツィア国際映画祭初、ドキュメンタリー作品で金獅子賞を受賞したジャンフランコ・ロージ監督がプレゼンターを務めた。彼は、本作品を「普通なら対話や言葉が終わる地点から、この映画の対話はむしろ始まるのです。そこからが本作の真骨頂であり、あまりに深く掘り下げるので、観客は驚きと困惑の中で自問することになります。『どこまで掘り下げるんだ?』と。濱口の言葉は物質であり、音楽であり、素材なのです。最初は、白い壁の部屋に男と女、ときには2人の女が立っているだけの、ほとんどマイナーなものに見えます。そして、場面が進むにつれて、このシンプルな部屋の中に、自分もそこに含まれるような全宇宙が、彼らともに立ち現れてくるような気がしてくるのです」とコメントして濱口監督を讃えた。

濱口監督は「ダンケシェーン」とドイツ語で挨拶した後に「日本語でスピーチさせていただきます」と前置きし、「外は多少寒いということは分かっているのですが、ここに来られなかったキャスト・スタッフの名前を伝えさせていただきます」とし、「古川琴音さん、中島歩さん、玄理さん、渋川清彦さん、森郁月さん、甲斐翔真さん、占部房子さん、河井青葉さんキャストの皆さんです。ありがとうございました。皆さんがこの物語を信頼してくださったので、今このような素晴らしい賞をいただくことができています。そしてここには来られていないスタッフ、撮影の飯岡幸子さん、演出・制作チームの高野徹さん、大美賀均さん、深田隆之さん、音チームの城野直樹さん、黄永昌さん、鈴木昭彦さん、衣装の碓井章訓さん、美術の布部雅人さん、ソ・ヒョンソンさん、メイクの須見有樹子さん、そしてプロデューサーの高田聡さん、本当にありがとうございました。」と述べた後、「名前ばかり伝えてすみません。でも本当にこのメンバーがチームのほぼ全員です。とても小さなチームで映画を作りました。この人たちこそがこの映画です。心から感謝を述べたいと思います。同じことが映画祭にも言えると思います、難しい状況の中、オンラインでの上映ではありましたが3月から心遣いと温かみを感じながら(参加していました)。カルロ・シャトリアン(ベルリン映画祭のディレクター)とそのチーム、そして素晴らしい審査員の皆様にお礼を申し上げます、ありがとうございました。ありがとうベルリン!」と感謝の言葉を語り、大きな拍手を浴びていた。

 

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本作は、タイトル通り「偶然」と「想像」をテーマにした3話オムニバスから成る濱口竜介監督初の短編集。濱口監督自身が『ハッピーアワー』等のプロデューサー高田聡とともに企画立ち上げを行い、2019年夏から約1年半をかけて製作した。脚本はすべて濱口監督自身が手掛け、撮影は3話ともに飯岡幸子が務めている。

■第1話 『魔法(よりもっと不確か)』
モデルの芽衣子(古川琴音)は親友のヘアメイク・つぐみ(玄理)が「いま気になっている」と話題にした男が、2年前に別れた元カレの和明(中島歩)だと気づく。芽衣子はどうすべきか思案する。

■第2話 『扉は開けたままで』
大学教授・瀬川(渋川清彦)は50代にして芥川賞を受賞した。彼に落第させられた男子学生・佐々木(甲斐翔真)は逆恨みから彼を陥れようと、同級の女子学生・奈緒(森郁月)に瀬川の研究室を訪ねさせる。

■第3話 『もう一度』
仙台で20年ぶりに再会した二人の女性。夏子(占部房子)は東京でシステムエンジニアに、あや(河井青葉)は仙台在住のまま2児の母になっていた。高校時代の思い出話に花が咲くが、会話は次第にすれ違ってゆく。

映画『偶然と想像』は、2021年12月Bunkamuraル・シネマ他全国公開される。

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