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2022年8月12日 17:55

【前編】木村達成&須賀健太インタビュー 舞台『血の婚礼』5年ぶりの共演「5年間の答え合わせをしていきたい。(木村)」「今回も相対する役。そういう星の下なのかなと思います。(須賀)」

取材・撮影/RanRanEntertainment

舞台『血の婚礼』が、2022年9月15日(木)からBunkamuraシアターコクーンで上演される。本作は、実際に起きた事件を元に、1932年にスペインの伝説的劇作家フェデリコ・ガルシーア・ロルカが執筆し、ロルカ自身の演出で初演されたロルカ三大悲劇の一作。一人の女をめぐり、男二人が命を懸けて闘う、愚かしいほどの愛と衝動を描く。演出は杉原邦生。

出演は木村達成、須賀健太、早見あかり、南沢奈央、安蘭けい ほか。

一人の女性を奪い合う男二人、レオナルド役の木村達成と花婿役の須賀健太に、『ハイパープロジェクション演劇 ハイキュー‼』以来の共演への思いと本作への意気込みを聞いた。

 

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――お二人は5年振りの共演となりますが、ご出演が決まった時の心境からお聞かせください。

木村:お話をいただいた時は、また(須賀)健太とできることをとても嬉しく思いました。以前共演していた時は、1週間会わなかった日がなかったぐらい二人一緒に作品に携わっていました。この5年間いろいろな現場を経験してきて、この共演を楽しみにしてくれている方のためにも最高の作品にしたいし、この作品をこの二人がやって良かったと思われるような形として残したいので、これから頑張っていきたいと思います。

須賀:僕も(木村)達成が言ってくれたように、純粋にまた作品を作れるというのが嬉しいなと思いましたし、いつかはまた共演したい役者の一人だったのでこのタイミングでできるというのがすごく嬉しかったです。当時精一杯を見せて、そこで評価していただいた部分があったと思うので、今回はそれに負けないように、パワーダウンしたなと思われないように、二人の親和性を深めつつ、より高いところまでいければいいなと思っています。

 

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――『血の婚礼』、この戯曲に対する印象はいかがでしたか?

木村:詩的な表現が多い分、その言葉だけがコクーンの劇場に散らばっていかないようにしっかり自分たちの言葉で発していかないとならない。相手の胸にしっかりと言葉の意味と思った感情を乗せながら、台詞を届けるように、真摯にやっていきたいです。健太と一緒に舞台上にいる時間は少ないと思うのですが、健太とは感情のぶつけ合いはできると思っているので、深い言葉もいらないですし、そういったところで闘っていける作品なのではと、思っています。

 

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須賀:戯曲の根源、テーマにあるものは、わりとシンプルだと思います。一人の女性を男二人が取り合うという、直訳できる、集約できる、そこをどこまで深めていけるかというのが、一番の課題だと思っています。すごく普遍的な人間の愛憎というのはいつの時代もあり、だからこそこれだけ長い期間愛され、いろいろな国で上演されていると思うので、今の僕たちの『血の婚礼』を表現していきたいと思います。教科書とか歴史書とか、シェイクスピアに通じる難しい、取っつきにくい印象を、僕自身も最初に戯曲の説明を受けた時に思ったので、そこをどれぐらい外して、純粋に物語として、各々の役柄として見てもらえるか、誰にでも楽しんでもらえる、誰もが感情移入できるような形態にしていきたいと思います。

 

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――今回の作品に向けて、日常の中で変えてみたことはありますか?

木村:僕みたいな役、レオナルドは、日常的にその思想だったら犯罪でもするようなタイプの人間になりかねないので(笑)。でも考え方というか在り方というのはあるので、何かこうしたいという欲望は絶対に人間は持っていることだから、日常の中で変えたことはないです。当時のスペインの情勢などは勉強するとは思います。

須賀:僕も稽古始まってからかな?と思います。

木村:いつも勉強するの?例えばこういう役だからそういう思想になっていくとか?

須賀:いや、映画を観たりとかはありますね。自分が思う役はこういう感じなのかな?とか。稽古からが準備だと思うので、必要なものがあればそこから取り組むという感じになると思います。感情論の舞台だと思う。愛するとか憎むとか、だから何か心積もりを持ってとかということではなく、その場に立って各々の表情を見た時に生まれるものを大事にした方がいいのかなと思える作品ですね。

 

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――お二人が以前共演された時は仲間的な感じの役柄でしたか、今回は違います。距離をとろうとか、意識されていますか?

木村:当時、仲良くするなとか言われてたけれど、最初から仲良くなっているから(笑)。

二人でご飯に行っても、時が止まる瞬間なんてないし、たどたどしくなる感じもないです。

須賀:ビジュアル撮影の時に、面と向かって会うのがすごい久し振りだったのですけれど、その時にお互いがどうなるのかというのが、僕自身どういう感じで達成と接するのか全くわからなかったのですけれど、まったく変わらなかったので、もう大丈夫。

木村:でも、これから5年間の答え合わせみたいなのをしていきたいですね。

 

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――また共演したいと思っていた、お互いの魅力はどこにあるのでしょうか?

木村:当時から健太はすごくみんなを引っ張っていく能力、発言の責任感をちゃんと持ちながら行動してくれていました。逆に彼がそういう風に行動してくれることで僕はより自由に自分が考えた方向性だけを自分のものにしていく、そういう歩む道を作ってくれたのは彼だと思います。かけがえのないメンバーでした。彼じゃなきゃいけないと思える人でしたね、当時から。変わっていって欲しいところは別にないんです。変わらないでいてくれる存在というのはかなり大きいと思います。僕は、久し振りに会ったビジュアル撮影の時に、“大丈夫、変わってない”と思えているから、僕の知らない5年間の答え合わせをした時に、すごく健太の中でプラスに変わっているところがたくさんあって、マイナスになっていることは絶対ないと思うから、安心感もあります。知らなかった健太をこれから知っていけると思うと楽しみで仕方ないです。

須賀:嬉しいですね。当時、達成には、何でもできるなという印象が僕はすごくあります。『(ハイパープロジェクション演劇)ハイキュー‼』はスポーツものでもあったので、すごくパフォーマンスも多くて、アクロバットのシーンもたくさんあって、演出家の人が言ったことを、身体能力、センスで、パッとやれてしまうところがありました。すごい自分にないものを持っているという感覚はずっとありました。だからこそ、僕らはそういうポジション、前回も、相棒でもあるけれどライバルでもあるという立ち位置で、今回も相対する、そういう星のもとなのかな?お互い違う魅力というか、違うものを持っているからこそ成立すると思います。達成じゃないと成立しないんだろうなと思います。

木村:僕も思います。

須藤:あとなんか、二人とも年を取ったなと思います。(笑)

木村:(笑)

――(笑)それはどこで感じられましたか?

須賀:(笑)全体的に。純粋に、顔とかも変わっているだろうし。どちらが老けたとかではなく、お互い、同じだけ年数を重ねてきたというのは会った時に思いましたね。昔を知っているというと大げさですが、お互いが前を知っているからこそ、そういう感覚って生まれると思うからそこは面白かったですね。僕は、「大きくなったね」とずっと言われ続けて育ってきたので、あ、こういう感覚かと。

 

0053s

 

――会った瞬間は何かおっしゃったのですか?「久し振り!」という感じだったのですか?

須賀:「久し振り」もなかったね。

木村:「おす」という感じでしたね(笑)。逆に「久し振り」とか言ったら照れくさくなってしまう。その導入って多分すごく大切だと思うんですよ。

須賀:ちょいちょい連絡はとっていたので、完全に会話もなく5年というわけではないので、延長線上にあるという感じでした。

――配役が、木村さんがレオナルド、須賀さんが花婿ですが、これについてはお互いどのように思っていますか?

須賀:これが逆だったら?ということ?いやぁ、それは、

木村:(笑)面白いよ、面白いよ。

須賀:1回だけやります?1公演だけ追加して

木村:1席3万ぐらいの

須賀:何で高いの?

木村:スペシャル公演(笑)

須賀:衣装もそのままの

木村:健太のを?ピチッピチになるけど。

須賀:六分丈ぐらいの(笑)

木村:アハハ(笑)

須賀:ありですね。

木村:面白いですね。

――でも、配役はしっくりきましたか?

須賀:バランスだから。

木村:僕はそういう役をやってきてないんですよ。実は。
でも、まんまですよ。たぶん。レオナルドしか考えられない。

 

以下、【後編】に続く

 

舞台『血の婚礼』
東京公演 2022年9月15日(木)~10月2日(日) Bunkamura シアターコクーン
大阪公演 2022年10月15日(土)~16日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
出演:
木村達成 須賀健太 早見あかり
南沢奈央 吉見一豊 内田淳子 大西多摩恵 出口稚子 皆藤空良
安蘭けい
演奏:古川麦 HAMA 巌裕美子 
主催・企画制作:ホリプロ 主催(大阪公演):梅田芸術劇場/ABC テレビ
公式サイト https://horipro-stage.jp/stage/chinokonrei2022/

【ストーリー】
南スペインのアンダルシア地方のとある村。母親(安蘭けい)と二人暮らしの“花婿”(須賀健太)は、父親と二人暮らしの“花嫁”(早見あかり)と結婚したいという想いを母に告げる。母親は、溺愛する息子の成長を喜びつつも、ただ一人の家族の旅立ちに複雑な想いがのこる。花嫁は優しく家庭的な娘と聞くが、気にかかる噂がある。息子と恋仲になる以前、心を通わせた男がいるという。男の名はレオナルド(木村達成)。かつて、レオナルドの一族に母親の夫と息子は殺されたのであった。レオナルドは花嫁との恋が破局した後に、花嫁の従妹と結婚し、今は妻子と姑との四人で暮らしていた。レオナルドの友人でもある花婿は、心配ないと母に明るく語る。花嫁は、花婿と幸せな家庭を築くと決意していた。しかし、花嫁の目の前に現れたのは、かつての恋人・レオナルド。思いもよらない人物の出現に激しく心が揺さぶられる花嫁。忍び寄る不穏な闇・・。二人の男の愛がひき起こす、婚礼の日に起きる悲劇とは・・。

 

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