斎藤工、スランプに陥る主人公に心当たりしかない! 原作者・浅野いにおも登壇! 映画『零落』完成披露プレミア上映会
2023/2/9 14:16
映画『零落』完成披露プレミア上映会
左から:竹中直人監督、玉城ティナ、斎藤工、趣里、浅野いにお
カリスマ漫画家・浅野いにおの問題作を実写映画化した『零落』(3月17日公開)の完成披露プレミア上映会が2月8日(水)都内で行われ、主演の斎藤工、共演の趣里、玉城ティナ、竹中直人監督、原作者の浅野いにおが登壇した。
スランプに陥る漫画家・深澤薫役の斎藤は、5、6年前に原作漫画に出会い、心を掴まれたといい「自分に心当たりしかなくて…。ミドルエイジ・シンドロームという中年のもがきみたいな言葉があるらしく、まさにそれだと思った」と強い共感を寄せ、「深澤薫の気持ちは痛いほどわかる。漫画家と俳優という立場は違えども、零落という感覚は大いに共感しかない。現在進行形の出来事と思うくらい共鳴しました」とコメント。演じる上では「その心当たりを頼りに現場にいました。辛いような楽しいような…辛い時間だったけれど、完成したものを観て間違っていないと思った」と確かな手応えを得ていた。
斎藤も監督として参加した映画『ゾッキ』PRの帰り道に竹中監督は斎藤に『零落』映画化のアイデアを話していたそうで、竹中監督は「工が『その漫画大好きです!』と言ったときのその顔で、この映画は一気に進む気がした。あの瞬間のことを何度も思い出します。もう深澤薫は斎藤工しか考えられなかった!」と回想した。
深澤薫の前に現れる風俗嬢・ちふゆ役の趣里は、浅野漫画のファンといい「ちふゆを演じられるのは光栄だと思うと同時に、プレッシャーでした」と好きだからゆえの心境を吐露。撮影時には竹中から作品をイメージした楽曲などが送られてきたそうで「そのお陰で内側からちふゆができた気がしました」と振り返った。
深澤薫に特に印象を残す猫顔の少女を演じた玉城は、「(深澤薫は)才能があるからこその残酷さは感じ取っていただろうし、猫顔の少女、ちふゆ、深澤はそれぞれ想いが一方通行。関係の終わりも残酷」と関係性を分析しつつ「身勝手を自分で許しているところが可愛いと思った」と零落していく深澤薫に人間味を感じていた。
映画『無能の人』から数えて監督作10本目の竹中監督。原作漫画を手に取った途端に映画化を決意したそうで「私小説的であり純文学を読んでいるかのように思った。浅野いにおさんは漫画界の芥川龍之介。ご本人に会って痺れて映画化に突き進んだ。この映画ができるまで、いにおさんに向かって生きてきた感じ。浅野いにおという一人の観客に向かって作りました」と感無量の表情を浮かべていた。
浅野は、今回の映画化について「みんなが面白いと思うような性格の漫画ではないので、誰に向けて描いているのかと思うときもあったけれど、巡り巡って竹中さんに辿り着いた」としみじみ。「竹中さんのフィルターは通しているものの本質は失わず。竹中さんがいなければ映画化もされなかったと思うし、とても満足しています」と太鼓判を押していた。
映画『零落』 2023年3月17日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー