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2023年6月6日 14:13

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』製作発表 尾上松也「王道の歌舞伎のテイストをふんだんに盛り込みたい」

取材:撮影/RanRanEntertainment

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』製作発表記者会見が6月5日(月)、東京都内で行われ、尾上松也、尾上右近、中村鷹之資、中村莟玉が登壇した。

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中村莟玉 尾上右近 尾上松也 中村鷹之資


刀剣に宿る付喪神が戦士の姿となった刀剣男士を率い、時間遡行軍による改変から歴史を守る人気ゲーム「刀剣乱舞 ONLINE」を歌舞伎化する本作。三日月宗近、小狐丸、同田貫正国、髭切、膝丸、小烏丸の6振りが顕現し、十三代将軍足利義輝が討たれた“永禄の変”を題材にした物語を紡ぐ。演出は、尾上菊之丞とともに松也が務める。

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今回の歌舞伎化にあたり、松也は「コンセプトは『今までありそうでなかった古典歌舞伎』」と話す。そして、「皆さんが想像するような王道の歌舞伎のテイストをふんだんに盛り込みたいと思っています。もう一つのこだわりは、最新技術にこだわらないということ。全く使わないということではなく、できるだけ頼らず、アナログな形で生の舞台の良さを表現できたらいいなと思います」と説明した。

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キャラクタービジュアルにも菊之丞やスタッフとともに全キャラクターのデザインを考え、撮影にも全て立ち会ったというほど、深い思い入れを持って臨んだという松也。特に苦労したのは三日月宗近のビジュアルだったそうで、「短髪で前髪が下りているというビジュアルなんです。もちろん(歌舞伎の様式でも)前髪をああいう現代的な形にできるんですが、あの形にして歌舞伎の三日月宗近を表現するのは我々がやる意味がないんじゃないかと色々と考えて、髪を全部上げてみるという作戦に大変更しました」と明かした。

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さらに、今作で足利義輝の時代を選んだ理由については、「ストーリーは自由なので、どの刀剣男士を出さなくてはいけないというルールもなく、ゼロからだったので、それも難航しました。色々と考えた中で、三日月宗近は『刀剣乱舞』の顔的存在で、常に中心にいるキャラクターなので、まずは三日月宗近を想定した場合にどうなるのかと考え、足利義輝との繋がりを見つけました。義輝は壮絶な最期を遂げていらっしゃって、それもロマンチックでしたし、義輝と三日月宗近の二人のクライマックスを想像するところから着想を得たのが最初でした」と振り返った。登場する刀剣男士についても「(原案の発売元である)ニトロプラスさんと相談しながら、せっかく歌舞伎にするので、歌舞伎に関わりのある刀剣を選ぶのがいいんじゃないか」という流れから決まったと話した。

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また、新作歌舞伎への思いを聞かれると、莟玉は「新作歌舞伎でも短い稽古期間で作ってしまうこともありますが、アイディアをいかに出していくかが求められます。新しいことをやろうとしても、意外と過去にやっていたりして歌舞伎はすごいと改めて思います。ただ、今回は新しいことをやろうというよりも、歌舞伎には元々こういうやり方があるということを何回もプレゼンテーションしていくものになると思うので、それも楽しみです」とコメント。

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鷹之資は「私自身は、原作がある新作に出させていただくのが初めての経験で、今からドキドキワクワクで、体当たりで挑むという感じです」と笑顔を見せながら、「初めて同田貫のなりをした時に、すごい作品になっていくんだろうと感じました。それはやはり『刀剣乱舞』という作品の素晴らしさもあると思うので、それがどう歌舞伎になるのか楽しみです。新作をやる大変さと同時に、もともとある歌舞伎の手法がいかに素晴らしいかを感じることができると思います」と思いを語った。

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右近は「古典は日本人にとっての“日本”で、新作は“海外”のような感覚もあるんですが、今回は、紋付袴で海外に行って、日本の良さを知ってもらおうという感覚が重要じゃないかなと思います」と思いを述べ、「このメンバーで風通しもすごくいいと思うので、それぞれがどう思うのかを話し合いながら一つの作品を作っていくというのはワンチームでできると思います。それはこのチーム編成のおかげでもあるので、温めていきたいと思っています」と力を込めた。

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松也は「これだけ人気のある作品に携わらせていただくというのは、光栄な反面、期待されるところも多いと思いますし、不安もあります。僕自身『刀剣乱舞』ファンの一人ですし、ファン心理は分かると思うので」と本音を吐露しながらも、「ビジュアルも苦労しましたが、ファンの方の心理は絶対に無視したくないというのもありましたので、残すところは残して、削ぎ落とすところは削ぎ落として大胆に作りました。物語もそういう気持ちを持って取り組んでいけたらいいかなと思います。その中で歌舞伎の良さを僕らも再認識しながら、意見を出し合いながら、ブラッシュアップして初日を迎えられたらと思います」と意気込んだ。

そして、「僕が新作歌舞伎をやる時には、一度だけでなくどういう形でも、何百年後かに古典歌舞伎として皆さんに愛される、そして後輩たちがやりたいと思ってもらえる作品を作るというのを信念においてやっています。ですので、今回もそういう思いでやっていきたいと思います」と力を込めた。

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新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』は、7月2日(日)~27日(木)に、新橋演舞場で上演。

 

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