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2024年12月10日 15:26

絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』日生劇場で開幕 

藤田俊太郎 大貫勇輔 浦井健治 唯月ふうか

井上ひさしの傑作戯曲、『天保十二年のシェイクスピア』が12月9日(月)から東京・日生劇場で幕を開けた。前日には会見が行われ、「佐渡の三世次」役に挑む浦井健治、「きじるしの王次」役の大貫勇輔、「お光とおさち」の二役を演じる唯月ふうか、演出の藤田俊太郎が出席した。

約400年以上を経た現在も世界中で上演され続け、現代演劇にも絶大な影響を与えているウィリアム・シェイクスピアの37作品を横糸とし、江戸末期の人気講談「天保水滸伝」を縦糸として、見事なまでに織り込んだ井上ひさしの傑作戯曲『天保十二年のシェイクスピア』。数々のカンパニーで上演が重ねられた本作だが、2020年に演出・藤田俊太郎、音楽・宮川彬良がタッグを組み上演された。さらに4年のときを経て、再び日生劇場にて開幕した。

浦井健治(佐渡の三世次)

ようやくこの日がきました。数年前に途切れたものがつながったと景色を見て思っております。一生懸命、傷とともに頑張ります。

大貫勇輔(きじるしの王次)

本当に素晴らしい作品で、この作品に関わられて本当に嬉しいです。

唯月ふうか(お光・おさち)

稽古場から充実した日々を過ごすことができて、これからお披露目できるんだと思うと、今からそわそわしています。今、自分の出せる精一杯を舞台にぶつけたいと思っていますので、 受け止めていただけたら嬉しいです。

藤田俊太郎(演出)
2024、2025年版の天保12年のシェイクスピア、カンパニー一同、一生懸命ここまで稽古してきました。自信作でございます。

再演の思いについて藤田は、2020年コロナ禍で公演が途中で中止になってしまったが、強くありました。まず2020年に全公演を完走することができず、公演を届けられなかった(東京公演の一部、大阪公演の)お客様に届けたいという思いがありました。再演への思いをずっと持続しながら準備を重ねてきて、ようやくこの素晴らしい座組で念願の再演が叶ったことを大変嬉しく思っています。

大貫は苦労した点について、この髪と着物の裾さばきです。大立ち回りだったり踊りや歌もあるので、髪が顔にかかったりするので苦労しています。あと着物の裾裁きです。ちゃんと裾を割らないと足が前に出ないので。

あとは刺青(メイク)があるので、大好きなサウナには2か月は行けないことです。取れないように気を付けて、塗り直しながら2か月刺青とともに過ごします。

唯月ふうかは成長した点を聞かれると、成長はテンパらなくなりました(笑)。テンパると今はお光かおさちかわからなくなってしまって。自分一人の力だけでは絶対にできない早着替えがたくさんあります。瞬時に二人が次々と切り替わる場面があるのですが、そこで1つでも着替えの手順を間違えてしまうとすべてが遅れてしまう。まるでタイムアタックのようです。そこは作品の見どころでもあるのでしっかりと責任をもって務めたいと思っています。たくさんの方に支えて頂いてこの二役ができるんだと日々実感して感謝しています。

見どころにつて藤田は、3人の話を聞きながら思ったことでもあり、稽古場や劇場に入ってからの舞台稽古でも思っていることがあります。当たり前のことですが、舞台は役者のものだということです。僕は演出家としていろんなことをみんなに渡して、こういう作品を作りたいと伝えます。それはまさに、2024年から25年の世相とか、虚と実とか。この時代あんな光景もあったよね、こんな光景もあったよね、それを役者のみなさんがコロナ以降の 4、5年というのを見事に体現なさっています。その役者のこの役を通した生き様こそがこのカンパニーの最大の見どころです。今のこの世の中にあるいろいろな言葉を、実は三世次は体現しているんです。

もちろん2020年のカンパニーと作ってきたものが礎となっています。一緒に創作したメンバーにはリスペクトしかありません。今回、私たちが作った天保十二年の世界は、まさに今を鏡として映しているのではないかと思っています。

浦井さんの三世次は、真実の言葉を持っている三世次。劇場で、浦井さんの言葉は観客の皆様に真実を伝えるでしょう。大貫さんの王次は太陽のような存在です。光をお客様に渡します。ふうかさんのお光とおさちは喜劇です。全てが世界の喜びの劇としてお届けすることができる。今は任侠の姿でいらっしゃいますが、お客様も劇場を後にするときにはふうかさんの芝居を思い出して笑いが止まらなくなることでしょう。稽古場からの帰りの僕がそうであったように(笑)。

総勢29名の役者全員魅力があるので、みなさんにも一人ひとりの魅力を発見していただきたいと思います。もちろん役者のみならず、カンパニー全員、プランナーを含めすべてが見どころです。

浦井見どころについて、『天保十二年のシェイクスピア』は井上ひさしさんの傑作戯曲としてたくさんのカンパニーで受け継がれている作品です。僕らの座組でも、木場さんが本当に隅々まで目を光らせて我々役者にも、スタッフさんにも、背中で見せてくださったり、微笑んでくださったりだとか、そういった先輩方の存在というものが受け継がれています。言葉なくともそれを見るということが 役者、スタッフ、お客様にとって時代を再生する装置じゃないでしょうか。演劇って素晴らしいなということを先輩方から学んでいる現場だと思います。その素晴らしさはきっとお客様にも届くと信じています。

生きることはとても大変なことだし、権力やそういった業というものを井上ひさしさんは描いていますが、それでも生きることは素晴らしいことだと祝祭劇として、最後に昇華される作品です。亡くなった後にはみんなでお祭しようじゃないかという、50年前に書かれたものですが、今の時代に伝わる作品です。

日生劇場の無観客で撮影したDVDを藤田さんと一緒に観たときに、僕はちょっとウルッとしたんです。あそこから繋がっているんだと…。そして藤田版の自分の前任者(高橋一生さん)の三世次も背負い、みんなで作ってきたものを、東京、大阪、福岡、富山、愛知の各地で楽しんでいただけるように、精進して参りますのでよろしくお願いします。

祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』
作:井上ひさし
音楽:宮川彬良
演出:藤田俊太郎
キャスト
浦井健治 / 大貫勇輔 / 唯月ふうか / 土井ケイト / 阿部裕 / 玉置孝匡 / 瀬奈じゅん / 中村梅雀 / 章平 / 猪野広樹 / 綾凰華 / 福田えり / 梅沢昌代 / 木場勝己 / 妹尾正文 / 新川將人 / 出口雅敏 / 武者真由 / 森加織 / 山野靖博 / 天瀬はつひ / 斎藤准一郎 / 下あすみ / 鈴木凌平 / 中嶋紗希 / 藤咲みどり / 古川隼大 / 水島渓 / 水野貴以
公演日程
2024年12月9日(月)〜2024年12月29日(日)
東京都 日生劇場
2025年1月5日(日)〜2025年1月7日(火)
大阪府 梅田芸術劇場
2025年1月11日(土)〜2025年1月13日(月)
福岡県 博多座
2025年1月18日(土)〜2025年1月19日(日)
富山県 オーバード・ホール 大ホール
2025年1月25日(土)〜2025年1月26日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
公式HP https://www.tohostage.com/tempo/

 

 

 

 

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