20世紀を代表する劇作家ベルトルト・ブレヒトの名作『セツアンの善人』が、白井晃による演出で、2024年10月16日(水)より世田谷パブリックシアターで上演される。
「人はどこまで善人でいられるのか?」「人はお金で幸せになれるのか?」という現代にも通じる問いかけが、葵わかなが一人二役で演じ分ける心優しき女性シェン・テと、ビジネスに徹する冷酷な青年シュイ・タという真逆な人物を通して描き出されていく。シェン・テが恋に落ちる元パイロットのヤン・スンを木村達成、水売りのワンを渡部豪太、ヤン・スンの母親を七瀬なつみ、タバコ屋の元オーナー、シンをあめくみちこ、下界で善人探しをする3人の神様を、ラサール石井・小宮孝泰・松澤一之が演じる。一人二役に挑む主演の葵わかなに本作にかける意気込みを聞いた。
――ブレヒト作品を代表する寓意劇である本作に出演オファーが来た時の心境をお聞かせください
白井(晃)さんとご一緒できるということが、すごく嬉しかったです。舞台の世界に足を踏み入れるようになってから白井さんのお名前を聞かない日はないぐらい、ご活躍され第一線にいらっしゃる方だと思っていたので、ぜひご一緒してみたいと思っていました。いろいろな方の新しい面を引き出し、新しいことをされる印象だったので、自分もどういう風に導いていただけるのか、白井さんが進んでいく道に関われるのなら、とても良い出会いになるだろうと思っていました。その白井さんが、この座組でブレヒトの作品をやろう、と考えてくださったので、それはとても大きい出来事だと感じています。
――一人二役を演じることについてどのように考えていらっしゃいますか?
(シュイ・タは)女性のシェン・テが男性に扮した役ですけれども、男性の役柄を演じるのは初めてですし、一人二役を演じるのも初めてなので、自分にとって挑戦です。難しいだろうということは想像していますが、どうやって役作りをしていくのかはこれから模索していきます。二役について、白井さんの中でどういう風に描こうとされているのかもまだわからないので、稽古場に入っていくなかで考えていきたいです。例えば背丈は変わらないですし、フィジカル的な部分をどうやっていくのか?とか。とにかく頑張らないといけないです。
――台本はもう読まれましたか?
まだ最終版ではありませんが読みました。昔の戯曲ですが、すごく読みやすいと感じました。テーマは「善と悪」「お金」「人生の幸せ」といった答えの出ない、難しいものですが、キャラクターたちのやり取りは、すごくポップなんですよね。あまり重たい感じが無く、どちらかというと淡々と話が進んでいって、そこに歌も入りますので、テーマは重いのに、軽やかな印象があります。3人の神様も本当に神様らしくなくて、「これが、本当に神様?」という感じで、キャストの方の顔ぶれもからも明るく観ていただける話になったらいいなと思っています。
――白井晃さんとは、何かお話はされましたか?
先日、取材の際に、シェン・テ役を考える際に、まず自分のことを思ってくださったというお話をしていただいて、とても嬉しかったです。善人シェン・テとその裏側をどう描けるのかというのが自分にとってのチャレンジだと思います。そういうものを与えていただいて、どんな稽古場になるのかドキドキです。
――怒涛の会話劇になるのでは?と思いますが、いかがですか?
そうですね。確かにセリフ量は多いですね。重いなと思う瞬間は意外と少ないです。気づいたらシェン・テは周りの人たちによって追い込まれたり、自分の選択によって追い込まれたりしていく一方で、シュイ・タが出てきた時にはそこに重さはないのに、彼の行動によっていろいろなものが切り開かれていく、という差がすごく面白いと思いました。一見ポップでカジュアルな会話の中からそういう変化が起こっていく。セリフは多いですが、波のようなものが会話で作られていくというのが面白いです。歌のボリュームが原作より増えると思いますので、音楽劇としても楽しめる要素がすごく多いと思います。セリフとしての歌もある。どんなメロディが付くのかも楽しみです。
――(取材時)お稽古はこれからですが、葵さんはこれまで舞台の時にどういう風に役を作っていらっしゃったのでしょうか?
大まかなイメージはもちろん掴んでいくべきだと思うのですが、結局自分が想像し過ぎて稽古に入ると、ぐしゃっとなることの方が多いので、自分の先入観を持ち過ぎない方がスムーズだと思っています。稽古期間が一ヶ月あると、最初思っていたものと全く違うものが出来上がるというのがいつもなので、なるべく何も考えないで行く、それはとても怖いことなのですが、心がけていることの一つです。
――舞台を作る過程も楽しめている実感はありますか?
舞台の良いところは、自分が想像していなかったものが稽古の末に出てくることだと思っています。それは、自分の知らなかった自分に出会えるチャンスだと思うので、何かを作って行くよりは、その場で何を求められているか、何を感じたかを捉え、自分がそちら側に馴染んでいく方が、得られるものが多いと思っています。
『セツアンの善人』
東京公演
日程:2024年10月16日(水)~ 2024年11月4日(月・休)
会場:世田谷パブリックシアター
作:ベルトルト・ブレヒト
音楽:パウル・デッサウ
翻訳:酒寄進一
上演台本・演出:白井晃
訳詞・音楽監督:国広和毅
出演:葵わかな 木村達成 渡部豪太 七瀬なつみ あめくみちこ
小林勝也 松澤一之 小宮孝泰 ラサール石井 ほか
主催:公益財団法人せたがや文化財団
企画制作:世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
ツアー情報
兵庫公演
日程:2024年11月9日(土)13:00、11月10日(日)13:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式サイト https://setagaya-pt.jp/stage/16042/
【ストーリー】
善人を探し出すという目的でアジアの都市とおぼしきセツアンの貧民窟に降り立った3人の神様たち(ラサール石井、小宮孝泰、松澤一之)は、水売りのワン(渡部豪太)に一夜の宿を貸してほしいと頼む。ワンは街中を走り回って神様を泊めてくれる家を探したが、その日暮らしの街の人々は、そんな余裕はないと断る。ようやく部屋を提供したのは、貧しい娼婦シェン・テ(葵わかな)だった。その心根に感動した神様たちは彼女を善人と認め、大金を与えて去っていった。それを元手にシェン・テは娼婦を辞めてタバコ屋を始めるが、店には知人たちが居座り始め、元来お人好しの彼女は彼らの世話までやくことになってしまう。ある日、シェン・テは、首を括ろうとしていたヤン・スン(木村達成)という失業中の元パイロットの青年を助け、彼に一目惚れをしてしまう。その日からシェン・テはヤンが復職できるように奔走し、金銭的援助もしはじめるのだが、その一方で、人助けを続けることに疲れ始めていた彼女は、冷酷にビジネスに徹する架空の従兄、シュイ・タ(葵わかな・二役)を作り出し、自らその従兄に変装をして、邪魔者を一掃するという計画を思いつく……
【サイン入りチェキプレゼント】
<応募方法>
(1)ランランエンタメの公式X(旧Twitter)アカウント「https://twitter.com/ranranentame」をフォローする
(2)【前編、後編】の両方の記事を、リツートする。
(3)ダイレクトメッセージから「葵わかなさん希望」と書き、申し込む。
<応募締切>
2024年11月10日 23時59分
<当選発表>
締切後、厳正なる抽選の上、当選者を決定。ご当選者様には、ランランエンタメ公式アカウントよりダイレクトメッセージにて当選連絡をいたします。2日以内にご返信がない場合は当選の権利が移ります。
当選者発表までに少々お時間を頂戴いたします。ご了承ください。
<ご応募について>
※リツイートは、公式リツイートに限定させていただきます。
※X(旧Twitter)アカウントを非公開にしている場合、リツイートを確認することができないため応募対象外となります。
※ご応募後のキャンセル、変更、返品、お届先の変更はできかねますので、ご了承ください。
※当選結果に関するお問い合せは受け付けておりませんので、ご了承ください。
<商品発送について>
※商品の配送は日本国内のみとさせていただきます。お届け日は、指定できません。
※当選者の長期不在や、賞品お届け先ご住所や転居先が不明等の理由により、賞品のお届けができない場合は、ご当選を無効とさせていただく場合がありますので、予めご了承ください。
<注意事項>
※プレゼントの応募によりお預かりした個人情報は商品の発送にのみ使用いたします。
※ご当選の権利は第三者への譲渡や現金とのお引き換えはできません。
※ご応募いただいた時点で、本応募要項に同意いただいたものとみなします。