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2017年10月20日 13:45

デビュー30周年記念ピアノソロコンサートツアー”ロマンティックなピアノ”を開催する仲道郁代にインタビュー!「音楽に繋がるような言葉を紡ぎたい」<後編>

取材:記事/RanEntertainment

仲道郁代_アーティスト写真_foto_Kiyotaka Saito_クレジット入りa

【クラッシックを聴く醍醐味は想像力の中に何かを見つけること】

――改めて、30周年記念コンサート“ロマンティックなピアノ”はどのようなコンサートになりますか?

BSフジの“ロマンティックなピアノ”コンサートツアーは、ピアノ演奏とその曲にまつわるトークを交えて行うコンサートで、演奏曲について一曲ずつお話していきます。例えば、シューマンだったら「トロイメライ」という曲がありますが、「昔は“すべての音程には意味がある”と言われていて、ドファという4度の音程は“天とか天使”を表し、ドラという6度の音程は“憧れ”を表す音といわれていた音程を使っていました。シューマンは何を想ってこの曲を書いたのでしょうか」というように、聴いてくださる方がご自分で、曲の世界観を探し出せるような、自然に想いを巡らせることができるようなお話ができたらいいなと思います。

 それぞれの方の想像力の中に何かを見つけることができる、それがクラッシック音楽を聴く一番の醍醐味だと思うので、クラッシック音楽が初心者という方も「何か知識がないと聴けないのではないかな」と構えずに聴いてほしい。知識ではなく感覚なので、その感覚をほぐしてオープン・ザ・ドアしていただくためのお話をしたいと思っています。

――“ロマンティックなピアノ”コンサートで演奏される作曲家についてお伺いします。まず、仲道さんにとって、ショパンという作曲家はどのような存在ですか?

やはり、ピアノという楽器を知り尽くして書いているので、ピアニストにとって「ショパンがいてくれてよかった」と思える作曲家ですね。ショパンは美しい曲を書いていますが、美しい曲の向こう側にものすごいジレンマとか、後悔とか悲しみが聴こえてくる作曲家だと思います。どんな憧れるような曲でも、曲の向こう側に悲しみなどがあるから聴く人の心に響くのではないでしょうか。

――シューマンのピアノ曲に熱中された時期があったと伺いました。

シューマンは私の青春の作曲家です。青春時代にシューマンを聴いては涙するような……。シューマンは本当に美しいものに憧れて、手の届かないものに思い焦がれる中に希望をみたり絶望をみたり、正義をみたりした作曲家だと思います。

リストは、ピアノを使って多くの人にデフォルメされるくらい感覚を提示する作曲家だと思いますね。例えば、“愛”ならば「愛だぞー!」と誇張し強調するような感じ。だから受け手はわかりやすいし、圧倒的なロマンチシズムで受け止められる作曲家だと思いますね。

――ストレートに伝わってくるような感じでしょうか。

そうそう。ストレートだけど直線的なものでなくてパワフルな広がりをもった作曲家と言えますね。

――ドビュッシーについてはいかがでしょうか。

ドビュッシーは音の中に空気を表出した人だと思います。自然の中の風や薫り、光と影など……。もともと音というのは空気の振動なんです。ドビュッシーは空気を表出することによってその空気感の中に感情を感じることを表現した。懐かしい空気を感じれば「あの時、私はこの中でどのような人と、どのような気持ちを持っていたのだろう」と……人はそういう気持ちと結びつきやすいので。そういったものが印象派だと思いますね。

名曲を聴いてそれぞれの方の中に、それぞれの想像が広がる。なぜならば、それぞれの方が過ごしている人生も違えば思い出も違うから。その曲の中で感じるものは人それぞれ違っていいんです。このコンサートでは、「この曲はこういう曲です」と限定することではなく、「さまざまな聴き方ができる」ということをお話したいです。

【これからの10年間をどう過ごすのかによってこの先が変わってくる】

――デビュー30周年の今年から、ベートーヴェン没後200年とご自身の40周年となる2027年に向けた10年シリーズを展開されるとのことですが、どのように音楽と向き合っていきたいと思われていますか?

これまでの30年を振り返ると、“ベートーヴェンのソナタを全部” “モーツァルトのソナタを全部”というように1人の作曲家を徹底的にやってきたのですが、これからの10年間は、そこから得たことをもとにさまざまな作曲家、そして、ベートーヴェンから影響を受けた作曲家から広がって、ピアノの音の可能性や自分の可能性を押し広げたいと考えています。年齢的にもこの10年間、どう過ごすのかによってその先に何が見えるのか変わってくると思うので、これからの10年間はとても大事な10年間だと思っています。

――最後にファンのみなさんへメッセージをお願いいたします。

 ぜひ生のピアノのコンサートにいらしてください。「案ずるより“聴く”が易し」です。その空間で音に浸るといった感覚を持っていただきたいと思います。それでも最初の一歩が踏み出せないと思われたら、ぜひこのBSフジのコンサートに来てください。音楽の奥深くの感覚に飛び込んでいただけるようなお話をたくさんしたいと思っています。また、クラッシックが大好きでたくさん聴いていらっしゃるという方にも改めて、名曲がなぜ名曲なのか、そのゆえんを知っていただきたいです。知った上でまた聴くと、今まで聴き馴染んできた名曲がもしかしたら違うように聴こえるかもしれません。そんなコンサートを目指してBSフジのコンサートツアーをいたしますので、ぜひいらしてください。

デビュー30周年記念仲道郁代ピアノコンサートツアー「ロマンティックなピアノ」は2017年11月18日(土)から2018年2月24日(土)まで長野・大阪・東京・愛知・静岡にて開催される。

  【公演概要】
公演名:デビュー30周年記念仲道郁代ピアノソロコンサート「ロマンティックなピアノ」
◆長野公演:2017年11月18日(土)(開場13:00 / 開演13:30)軽井沢大賀ホール
問:BSフジイベントお問い合わせフォーム:event@bsfuji.co.jp
◆大阪公演:2017年11月22日(水)(開場18:30 / 開演19:00)サンケイホールブリーゼ
問:キョードーインフォメーション:0570-200-888
◆東京公演:2017年12月15日(金)(開場18:30開演19:00)紀尾井ホール
問:BSフジイベントお問い合わせフォーム:event@bsfuji.co.jp
◆愛知公演:2018年2月3日(土)(開場13:00 / 開演13:30)三井住友海上しらかわホール
問:キョードー東海:052-972-7466
◆東京公演:2018年2月17日(土)(開場13:00 / 開演13:30)かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
問:シンフォニーヒルズチケットセンター:03-5670-2233
◆静岡公演:2018年2月24日(土)(開場13:00 / 開演13:30)アクトシティ浜松中ホール
問:キョードー東海:052-972-7466

演奏予定曲
ショパン:ノクターン嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
シューマン:「子供の情景」よりトロイメライ
リスト:愛の夢第3番変イ長調
ショパン:エチュード作品10-12 「革命」
ショパン:エチュード作品10-3 「別れの曲」
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」
ショパン:24のプレリュード第15番「雨だれ」
ドビュッシー:「月の光」他

チケット料金(全席指定・税込み)※未就学児入場不可
S席5,500円/A席4,200円/B席(※愛知のみ)3,500円
公式ホームページ: http://www.bsfuji.tv/ikuyo-nakamichi/

プロフィール
仲道郁代(なかみち・いくよ) 

デビュー30周年を迎える2016/2017シーズンは、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団とのツアーを行ったほか、ショパンとチャイコフスキーの協奏曲の記念コンサート(東京・兵庫)、記念リサイタル(全国各地)、ブラームスとショパンの人生から描いた演劇とのコラボレーション企画(全国7公演)などを実施。2016年にはCD『ショパン:ワルツ』『永遠のショパン』、2017年3月にはショパンのリサイタルを収録したDVDをリリース。秋にはシューマンのアルバムを予定している。

桐朋学園大学1年在学中に、第51回日本音楽コンクール第1位、あわせて増沢賞を受賞。文化庁在外研修員としてミュンヘン国立音楽大学に留学。ジュネーヴ国際コンクール最高位、メンデルスゾーン・コンクール第1位メンデルスゾーン賞、エリザベート王妃国際コンクール5位と受賞を重ね、国内でも村松賞、モービル音楽奨励賞を受賞した。これまでに、マゼール指揮ピッツバーグ響、バイエルン放響、フィルハーモニア管、ズッカーマン指揮イギリス室内管(ECO)、ブルゴス指揮ベルリン放響、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルなどと共演。カーネギーホール、ベルリン・フィルハーモニーホール、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニーホールなどでもコンサートを行ってきた。05年には、英国チャールズ皇太子夫妻ご臨席のもとウィンザー城で行われたイギリス室内管弦楽団(ECO)主催の「結婚祝祭コンサート」に出演し称賛された。

レコーディングはソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び、多数のCDを発表。著作に『ピアニストはおもしろい』(春秋社)等がある。一般財団法人地域創造理事、大阪音楽大学特任教授、桐朋学園大学教授。テレビ番組、新聞、雑誌などメディアへの出演も多く、音楽の素晴らしさを広く深く伝える姿勢は多くの共感を集めている。現在、BSフジにて音楽番組『ロマンティックなピアノ』を毎週金曜23:55~24:00放送中。(2017年10月現在)

仲道郁代オフィシャルHP http://www.ikuyo-nakamichi.com

 

 

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