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2019年10月18日 16:57

【後編】北翔海莉インタビュー 音楽劇『ハムレット』と舞台『海の上のピアニスト』、タイプの違う作品で見せる2つの顔

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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――続いて、11月から上演される舞台『海の上のピアニスト』について教えてください。本作は、2018年12月に初演されて、今回は待望の再演となりますね。

ありがたいことに再演が決まり、嬉しい気持ちでいっぱいです。前回の公演は、3日間程度だったので本当にあっという間でした。お稽古も1週間ほどだったので、まるで夢を見ているような気分でした。(ピアノの)大井健さんと2人で1役を演じるという今までにない挑戦を行った作品でしたが、大井さんの奏でる音楽によって自分の感情や情景、匂い、温度が変化していくという不思議な感覚を味わいました。お客様も一緒に豪華客船の上にいるような錯覚を起こす空間が作り上げられたと思っています。ノヴェンチェントは海の上で生まれて、生涯、陸に降りることなく船の中で一生を終えるという役柄です。純粋さ、恐怖心、夢、そういうものを子どものような無邪気さとともに、さらに表現できたらいいなと思います。

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――今回の公演では、前回公演とどのような違いがあるのでしょうか?

前回公演では、私と大井さん、そして喜多村緑郎さんの3人で全公演を行ったのですが、今回は喜多村さんの役を中村匡宏さんが演じる公演があります。中村さんは鍵盤男子として活動されている方です。本作の作曲も手がけていらっしゃるので、誰よりもこの作品を深く読み込んでいますし、誰よりもノヴェンチェントの感情を読み取っていらっしゃるので、役者以上に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのではないかと楽しみにしています。喜多村さんは歌舞伎の世界で活躍されていて、全然タイプが違う方ですし、お相手が変われば私自身の表現も変わりますので、また違った『海の上のピアニスト』をお届けできるんじゃないかなと思います。

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――Wキャストはよく聞きますが、2人で1役を演じるというのは非常に珍しいことですね。

私自身もそう思っていました(笑)。しかも、ステージ上には3人しかいない。豪華客船なのにどうするんだろうって疑問だらけでお稽古に入ったんですが、演じてみたら、意外にもすんなりと表現ができたんです。言葉でお伝えするのは難しいのですが…すごく不思議な空間が出来上がりました。きっと、それは観た人にしか味わえないものだと思います。極上の空間、そして心を浄化してくれるような、大井さんが奏でる癒しの音を体験したい方は、ぜひ劇場にいらしていただけたらと思います。

――宝塚を退団された後に男性役を演じるということに対する思いはありますか?

今回に限らず、いつも、女役だからとか男役だからという意識はまったくないです。それが悪役であろうが、子どもであろうが、オタクの役であろうが、その人の生き様なので。ただ、このノヴェチェントは、純粋さを表現しなくてはいけなかったので、男性よりも女性が演じた方がそれを表現しやすいんだと思います。そういった演出家の意向があってのことだったので、私が演じることにも合点がいきました。

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――『海の上のピアニスト』は、豪華客船をイメージしたセットが組まれます。北翔さんはクルージングショーも開催されているので、船の上での状況はイメージしやすいのではないでしょうか?

そうですね。クルージングショーは行ったことがありますが、大変でしたね。波がきつければ具合も悪くなりますし、真っ直ぐに立っていられないので、グランドピアノにしがみついて歌ったこともありました(笑)。

―――陸地でのショーとは勝手が違うんですね。

全然違います。回転なんかできないです。だから、船の上でサーカス的なパフォーマンスをする方はどうなっているんだろうと思います。ノヴェンチェントは一生、陸に降りなかったので、本当にすごい人生だなと思います。

――10月、11月と全く作風が違う舞台に立たれますが、それについてはいかがですか?

全く違うタイプの世界観の作品になりますので、ぜひどちらかだけと思わずに、両方を観ていただきたいです。先月はこれをやっていたのに、今月はこんなみっちゃんが観られるんだと、びっくり箱のような体験をしていただけると思います。『海の上のピアニスト』は、公演ごとにキャストも変わりますので、前回公演ともまた違うものを表現するつもりで挑みたいと思っています。

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音楽劇『ハムレット』
公演期間:10月22日(火祝)~25日(金) 天空博劇場(北千住)
作:ウィリアム・シェイクスピア 演出:藤間勘十郎 上演台本:戸部和久 音楽:橋本賢悟
出演:KIM YONGSEOK(CROSS GENE)、大橋典之、栗原沙也加、野島直人、根本正勝、ルー大柴/北翔海莉

舞台『海の上のピアニスト』
企画・製作:(トルツメ)アーティストジャパン
≪京都公演≫
日時: 11月2日(土)
会場:京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学)
出演:北翔海莉、大井 健・中村匡宏(鍵盤男子)
主催:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター 後援:京都新聞
≪博多公演≫
日時:11月5日(火)、6日(水)
会場:電気ビルみらいホール
出演:北翔海莉、大井 健・中村匡宏(鍵盤男子)
≪東京公演≫
日時:11月13日(水)~15日(金)
会場:天空劇場
出演:北翔海莉、喜多村緑郎、大井 健(ピアノ)

 

 

 

 

 

 

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