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【後編】平間壮一&長江崚行「よく分からないけど、心がほわっと温かくなった」作品に Coloring Musical『Indigo Tomato』インタビュー

2019/11/20 13:33

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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――平間さんが演じられる、タカシは自閉症スペクトラムなどの障がいを抱える一方で、記憶や芸術面などで突出した才能を持つサヴァン症候群でもあるという難しい役どころですが、どのように役作りをしていますか?

平間:自閉症スペクトラムは、人によって症状や感じ方が全く違うそうです。タカシを演じるにあたって、どういう反応を示す症状を呈しているのかということは、自由にやらせてもらえたので、(前回公演前に)いろいろと調べた結果、自分なりに見えるものや色を設定しました。例えば、「高めの音が鳴った時は、自分には青色がここに見える」とか、「低めの音が鳴った時は肩を動かしてしまう」とか…。自閉症スペクトラムの方は、一つのものに対して二つの反応をしてしまうことが多いそうです。僕たちは音が鳴ったらそれを耳で聞くだけですが、自閉症スペクトラムの方は耳で聞くことと体のどこかの神経が連動してしまっている、というイメージです。なので、例えば電車に乗ると「ガタガタ、バタバタ」という電車が動く音がずっと鳴っているから、その音を聞いて手がガタガタと動いてしまうということらしいんですよ。不安だから、落ち着かないというよりも、音が鳴っているから動いてしまう。そういうお話を聞いたり、読んだりして、それをヒントに作っていきました。

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――なるほど。理論的に症状を理解した上で、役を作っていっているという感じでしょうか?

平間:そうですね。そうやって演じていくことで、それが体に馴染んできて、今回はそれを意識しなくてもできているように思います。前回は「ここに色が出ている。見える、見える、僕には見える」って一生懸命、見ようとしていたんです。でも、今は、自然とそれが見えている。なので演じていて楽しいです。

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――長江さんは、マモルという役のどんなところにポイントを置いて演じようと思っていらっしゃいますか?

長江:サヴァン症候群の兄を持って、兄を支えるために2人で生きていくということに対してのリアリティを持っている人は少ないと思うんで、そのリアルさはきちんと組み立てていきたいと思っています。でも、タカシは障がいを持っているようには感じないんですよね。もちろん、ほかの人よりもできないことは多いかもしれませんが、会話もちゃんとできるし、(数学などの面では)僕たちよりもすごいことができる人でもある。まだまだ、僕の中ではタカシという存在は不思議なものに映っているので、うまく自分に馴染んで、「中学を出てからずっと僕が支えている」というマモルの状況に慣れればいいなと思っています。それから、プライベートでも“お兄ちゃん(平間)”との関係性を深くしていきたいです。早く一緒にご飯に行きたいですね。

平間:そうだね、行きたいね! 僕から見ても、マモルはすごく難しい役だと思うんです。実際、舞台を成立させるためということもあって、タカシは意外と自分でできることも多いんですよ。でも、マモルの「支えている」という部分は、舞台上からは見えないバックボーンの部分だから、それをどう表すのかは難しいなと僕も見ていて思います。マモルはお兄ちゃんのことがすごく好きで、だから彼を受け入れてくれない社会にも苛立っているように見えますし。

長江:ここまで稽古をしていて感じたのは、マモルと兄ちゃんは2人で1つだから「兄ちゃんが感じることは僕も感じている」という感覚をマモルは持っているということ。兄ちゃんに向けられた心無い言葉を自分に言われているような感覚があるんじゃないかなと思います。

平間:うん。でも、マモルは若かったが故に「色々分かってはいるけど、ストレスが溜まるよ! おまえのせいだ!」って思わず言っちゃうんだよね。実際には心にも思ってないのに…。「働けよ」って兄ちゃんに言うんだけど、実際には働かせてくれる場所がない社会だということも分かっていて、それでも「兄ちゃんは頑張れば働けるよ」ってどこかで思ってる。

長江:この話あと2時間くらいしてもいいですか?(笑)。すごく勉強になります!

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――(笑)。今、お話に出てきたように、障がいを抱えた方の家族の問題を始め、障がい者と社会の関わり方、夢を追うということなど、ハートフルな物語の中にもさまざまなテーマが詰まった作品になっています。お二人は、本作を通してそういった社会的な問題に対して、どのように感じましたか?

平間:確かに、内容やテーマは重い作品ですし、伝えたいこともたくさんある作品だとは思いますが、自分としては「何かよく分からないけど、心がほわっと温かくなった」とお客さんになってもらうことを目標としているんです。その「温かくなった」という経験をいつか、何かのきっかけで思い出してもらえればいいんです。僕自身も、例えば自閉症の方と一緒の電車に乗っていて、周りが冷たい視線を浴びせているというシーンに遭遇した経験があります。やっぱり、僕自身も同じように冷たい目で見ていたのですが、この作品に出会って、タカシという役をやらせてもらうことで理解することができ、冷たい目で見るのではなく、寄り添ってみようと思うようになりました。この作品を見たから「何をしろ」とか「人に優しくしろ」というということではなく、そんなちょっとした温かい心を思い出すためのミュージカルになればいいなと思います。

長江:僕も、同じことを思っていました。自分の価値観にないものは拒否してしまうものだと思いますが、この作品を通してそれを少しでも取り払って、混じり合えたらいいなと思います。生物としての防衛本能なのかもしれませんが、どうしても自分が経験した以外のことというのは、受け入れにくいものがありますよね。「みんな違ってみんないい」ではないですが、相手の良いところも悪いところも好きになるという考え方をするためのきっかけになればいいなと思っています。

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『Coloring Musical『Indigo Tomato』

作・演出:小林香 音楽:堀倉彰
出演:平間壮一/長江崚行/大山真志・川久保拓司(Wキャスト)/安藤聖/剣幸・彩吹真央(Wキャスト)
Piano.堀倉彰/Guitar.瀬川千鶴/Cello.松尾佳奈
【福島公演(プレビュー)】11月10日(日)~11日(月) いわきアリオス小劇場
【札幌公演】11月14日(木)~15日(金) 札幌市教育文化会館大ホール
【大阪公演】11月19日(火)~21日(木) 東大阪市文化創造館小ホール
【福岡公演】11月26日(火) 福岡ももちパレスホール
【石川公演】11月29日(金) 北國新聞赤羽ホール
【東京公演】 12月4日(水)~10日(火) 東京グローブ座


公式サイト www.indigo-tomato.com

(文・嶋田真己/写真・篭原和也)

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