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2019年11月25日 15:25

【後編】『ピサロ』でインカの王・アタワルパ役、宮沢氷魚インタビュー! 舞台に立つのは「体がぜんぶ燃えてくるような感覚」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

──インカは今でいうペルーにあたりますが、インカやペルーのイメージは?

 ペルー出身の友達も何人かいるんですけど、『ピサロ』を読んで初めて知ることが多かったです。征服されたことは知っていたんですけど、どういう形で征服されたとか、先住民がどういう人だったのかとか知らなかった。だから未知なる世界でしたね。でも知らないことはもっともっと知りたいので、ペルーやインカの知識がないからこそ、「そうなんだ!」「これってどういうこと?」と自分でも調べながら、すごく面白く台本を読みました。

──歴史が好きなんですか?

 そうですね。学校の世界史は深くは触れないけど、日本の歴史や、自分の産まれたアメリカの歴史は好きで自分でいろいろ調べました。やっぱり歴史って面白いです。知らないことが多いし、それが正しい歴史かどうかも分からない。考えてみると、戦争とかでも勝った者が都合の良いように歴史を変えることができるんですよね。『ピサロ』も、征服した方がインカの歴史を変えて伝えてるかもしれない。そんなことをふまえた上で歴史を学ぶと面白いなと。

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──『ピサロ』は、スペインのピサロとインカのアタワルパという、まったく異文化の交流が見どころでもありますね。

そうですね。まったく違う人種の人々が出会って、歩み寄るか、歩み寄らないかという話でもあるんですよね。ピサロのように他の国を征服することは今でもあると思うんですけど、文化や価値観の違いで理解に苦しんだからぶつかって、戦争になることもあるんじゃないでしょうか。僕も、自分と価値観が違う人にはどこかバリアを作っちゃって理解しようとしない時が、たまにあります。でも、理解しようと努力したり、わからなくても歩み寄ることができれば、新しい関係が生まれると思うんです。それはたぶん『ピサロ』の大きなテーマでもあります。

──稽古前にみなさんで集まってワークショップをしたそうですが、どんな感じでしたか?

重点的にやったのは、『皆のことを見る』ということでした。

面白かったのが、“人数分+1脚”のイスを円に並べるんです。オニ役の一人が空いている1脚めがけて歩いて行くんですが、まわりの人はその人を座らせないように、誰かが先に空いた席に座るんです。そうするとオニは新たに空いた席をめがけて歩いてきて、また誰かが先にイスに座って……という「オニを座らせない」ゲーム。これを、言葉を使わずに行うんです。まわりの人達は「俺が行く」とか「お前が行け」とか言えないので、目線や空気で動かなきゃいけなくて、それがすごく難しい。最初は上手くいかなかったんです。でもどんどん皆が慣れていって、まわりの人を見て感じながら空間を共有できてきたので、後半は上手くいきました。

やっぱり舞台って自分一人でできるものじゃないし、皆と空気を作っていくので、そういう稽古から入っていくのが素晴らしいなと思いました。すぐ台本を演じるのは簡単かもしれないですけど、みんなをチームにしていく作業から入る。きっと稽古では、互いの関係やチームワークを大事にしていくんだろうなと楽しみです。

──4作目の舞台出演ですが、舞台に立つことの変化はありますか?

初めて舞台に立った時は、不安が大きくてすごく怖かったです。それでも舞台を重ねるごとに楽しさは強くなっているんですけど、緊張も増していますね。やればやるほど緊張する。稽古でも緊張しているし、舞台に立ってる時間も、舞台袖で待機してる時も、体がぜんぶ燃えてくるような感覚なんです。それが終わった時にものすごい快感に変わるので、やめられないな。

舞台ってとても密度が濃い時間を過ごすので、成長のレベルがものすごいスピードで上がっていく実感があります。そのぶんプレッシャーもあるからこそ、それを乗り越えて強くなれる。役者として、舞台を経験することで成長できるなと毎回感じるんです。時には、舞台上では「すごく良くできたな」と思っても、舞台を降りると「もっとこうできたんじゃないか」と伸びしろを感じることもあって、そう感じてる以上はまだまだ未熟ですよね。伸ばすべきポイントはたくさんあるんだなと毎回思います。

でもこれまで3作とも良い作品に恵まれていてすごく幸せですし、次の『ピサロ』もお声がけいただいて、本当にありがたいです。

──これから、どんな俳優になりたいですか?

俳優さんには「共演してみたい」と思ってもらえる役者になりたいし、演出家さんには「ぜひ宮沢氷魚でやりたい」と言ってもらえる役者になりたい。それを目指すべきだなと思います。

前編~https://ranran-entame.com/wp-ranranentame/ranran/64534.html

舞台『ピサロ』2020313日から420日まで東京・PARCO劇場にて。チケット一般販売中。

 

(文・写真/河野桃子)

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