渡辺えり&キムラ緑子インタビュー “有頂天”シリーズ第4弾・舞台恋ぶみ屋一葉2020『有頂天作家』で紡ぐ「大人の女の友情」

2020/3/13 14:53

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

渡辺えりとキムラ緑子による大好評の“有頂天”シリーズの第4弾、喜劇名作劇場恋ぶみ屋一葉2020『有頂天作家』が313日(金)より上演される。本作は、名優・杉村春子に書き下ろされ、平成4年に新橋演舞場で初演、6年に再演されて読売演劇大賞・最優秀作品賞を受賞した名作『恋ぶみ屋一葉』のタイトルを改めて上演される作品。恋文の代筆屋を営む前田奈津(キムラ)と酸いも甘いも噛み分けて、たくましく生きる元芸者の羽生きく=小菊(渡辺)による、作家の加賀美涼月(渡辺徹)をめぐる恋模様をコミカルかつ繊細に描く。渡辺とキムラに本作の見どころ、そしてそれぞれの役柄についての思いを聞いた。

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(左から) キムラ緑子   渡辺えり

――これまでに『恋ぶみ屋一葉』はご覧になったことがありましたか?

 渡辺:私は、杉村春子さんが主演された初演と、2008年に上演された浅丘ルリ子さんが主演されたものと、2回観ています。初演の前に、杉村さんにちょうどインタビューをさせていただくお仕事があって、それで杉村さんから「観に来ないか」とお声かけをいただいて、お伺いしたんです。すごく素敵な作品で、感激しました。その時、隣に髪の長い華奢な男性が座っていたんですが、それが(同作の脚本・演出の)齋藤(雅文)さんで(笑)。すごく美少年でした。

 キムラ:その時に会ってみたかった!(笑)。

 渡辺:しかも、同じ年だったんですよ。お人形さんみたいで、若く見えたからびっくりしてしまいました(笑)。その時の方とまさかご一緒するなんて思っていなかったので、それも今回嬉しいことの一つです。

 そして、この作品は、自分も劇作家として感じていた悩みを昇華できる作品だと思っています。文章を書く仕事とはどういうものなのか、どういう思いで誰のためにあるのかを非常に的確に演出されているんですね。奈津は小説家になるという夢に破れて、今は恋文を代筆する仕事をしていますが、実はそれも人の思いの丈を書くということであって、仕事としては同じだと提示している戯曲は非常に面白いですね。

 それから、加賀美との恋愛模様を中心とした物語ではあるのですが、恋愛よりも友情を取るという二人の関係を描いているので、それは初演を観た当時からグッときたところでした。

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――キムラさんは、このお話を聞いて最初にどんなことを思いましたか。

 キムラ:初演が平成4年ということなんで、私はまだ東京にも出ていない時代です。なので、残念ながら観劇は叶わなかったのですが、映像で観させていただき、最初に感じたのはすごく優しい話だということです。今の時代ではこういう作品はまず生まれないんじゃないかと思います。優しくて、ゆったりと時間が流れている作品で、登場人物たちの人となりで見せていくようなお芝居なんで、演じるのはすごく難しいと思います。

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――今回の公演では、どのような点を意識して演じようとお考えですか?

渡辺:演じているとどうしても初演できくを演じていた乙羽(信子)さんが浮かんでくるんです。真似するわけではないんですが、それは拒絶せずに、踏襲して演じたいと思っています。乙羽さんとは『おしん』で共演させていただいているんですよ。彼女は思いの外、男性的な方で、私が台本10ページほどある長ゼリフの撮影を終えた時に、「すごい! 渡辺さん、すごい!」って拍手してくれて、その時の印象が未だに残っています(笑)。

キムラ:私はとにかく演出家の指示に従って、書かれているものを一生懸命、真っ直ぐに演じたいと思っています。でも、今回は音楽が入っていたり、えりさんの役が書き加えられたりしていて、これまでとはだいぶ違う印象の作品になると思います。女同士の友情がより際立って見えると思うので、そういった意味でも楽しみです。

渡辺:私は、どこかに漫才のようなシーンも入れて欲しいなと思っています。基本的にはシリアスな物語なんですが、奈津はとても目が悪いという設定なので、その辺りで面白おかしいシーンを入れてみるのも面白いんじゃないかな、と。

キムラ:「眼鏡、眼鏡、眼鏡」みたいなことですか?吉本さん的な(笑)。

渡辺:うん、そういうところでコント風にちょっと笑わせたら。泣かせるところは泣かせる作品にしたいですが、笑いも入れないといけないんじゃないかなと私は思っています。

キムラ:私は、今はまだ、脚本をなぞるだけで精一杯なので笑いまで考えられないですが、余裕が出てきたら、いろいろなところで遊びたいところですね。今回は、これまでにあったような仕掛けがないので、セリフのキャッチボールで勝負しなければいけないんです。なので、私たちも今、どうなるんだろうと思いながら稽古に励んでいます。

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――ほかのキャストさんとはもうお会いになりましたか?

渡辺:実はまだほとんどお会いできていないんです。ただ、渡辺徹さんとは先日、少しお話しさせていただいて、とても楽しい方でした。宇梶君は昔から劇団3〇〇に出演していました。大和田さんも私の作品の「天使猫」に、宮沢賢治の妹トシ役で出演しています。影山拓也さんと長谷川純さんは共通のお知り合いがいたので、前情報はお聞きしています(笑)。

キムラ:徹さんは本当に面白い人ですよね。とても楽しい方なので、楽しいお稽古場になるんじゃないかなと思います。今回は、二枚目の役ではありますが、もう少ししたら破れてきて、もっと面白くなっていくと思います。

――シリーズ第4弾ということで、お二人のコンビネーションは抜群だと思いますが、やはりお互いにやりやすさは感じていますか?

渡辺:もう4回目ですからね。

キムラ:シリーズで何度もやらせていただけるのはすごいことで、とてもありがたいと思います。こんなことが何度もやれるってすごいですよね。ありがたいなと思います。

――お互いにどんなところにやりやすさを感じますか?

渡辺:二人とも小劇場の出身ですから、演劇作品は多くの方の力を借りて成り立っていることを身をもって知っているので、全体を知ろうとするところには共感しますし、そういった目線を持っているからこそ信頼できます。私自身、作・演出をしてきたので、全員が活躍できて、スタッフと一丸となるのが普通だと思っています。緑子ちゃんも劇団の中でやってきたので、きっと同じ目線を持っていると思います。作品に関わる人全員が平等だと思っている緑子ちゃんの考え方は私と一緒です。だからこそ一緒にやれているんだと思います。

キムラ:自分ではあまり意識したことはありませんが、劇団気質というところがあるのかもしれないですね。私は、単純にえりさんとご一緒できることが本当に楽しいんです。回数を重ねれば重ねるほど、ますますすごい方なんだなってことを感じますし、何事にも本気で向かっていく姿が素敵だと思います。そんなえりさんを見て、私も自分の今持っているものを全部出さなければと思わされますし、毎回、そうやって必死に着いていっています。

えりさんとご一緒する作品では、稽古でやったものをそのまま舞台上でやるという感覚ではなく、稽古したものを舞台上でどうやってやるかを考えながら作るような思いで臨んでいます。ある意味、勝負と言っていいかもしれません。毎日違うし、毎日が勝負。すごくスリルがあって、勉強になって、とてもありがたいことだと思っています。

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――改めて、本作の見どころをお聞かせください。

渡辺:まず今回、音楽劇のようなつくりになっているというのが見どころだと思ってます。初演も再演も、これまでの『恋ぶみ屋一葉』には歌も踊りもなかったんです。今回は、出演者の顔ぶれを見ても、歌がお得意な方が多いでしょう? 恋人同士のデュエットがあったり、「恋ぶみ屋一葉は、なぜ書くのか」をテーマにした歌を緑子ちゃんが歌い、私が「川越でサツマイモをずっと掘ってました」という歌詞の歌を同時に歌ったりするので、そのシーンはかなり笑えると思います。作品自体は、しっとりとしたいい芝居ですが、そこに歌が入ることで楽しく観てもらえる作品になっています。

それから、女同士の友情を感じてもらえたらと思っています。私、この年になって、本当に女性の友達が大事なんだってことがしみじみ分感じているんです。高校からの親友をがんで亡くしたものですから、脚本を読んでいると、どうしてもそれを思い出しちゃって、毎回泣けちゃうんですよ。こんなこと、生まれて初めてで…。そういうこともあって、改めて女の友情は大切だなと私自身思いますし、そんな女同士の友情を描いているのがこの作品なので、そこも見どころの一つだと思います。

キムラ:この作品はとても純情な話なので、私たちのような、ある程度年齢がいった男と女が演じることで、大人の恋愛や、大人の女同士の関係が、とても清らかな美しいものに見えるような気がします。私は、美しい手紙を客席に渡すようなイメージを持って演じていきたいと思っています。

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喜劇名作劇場恋ぶみ屋一葉 2020『有頂天作家』

作・演出:齋藤雅文
出演:渡辺えり、キムラ緑子、大和田美帆、長谷川純、、影山拓也(ジャニーズJr.)、瀬戸摩純、春本由香、宇梶剛士、渡辺徹
東京公演:3月13日(金)~28日(土) 新橋演舞場
大阪公演:4月2日(木)~13日(月) 大阪松竹座


公演に関して詳細

https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujo2003/

 

 

 

 

 

 

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