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2020年12月11日 12:00

【後編】柿澤勇人インタビュー! 吉田鋼太郎と挑む『スルース~探偵~』上演!「鋼太郎さんが『狂犬柿澤』と言うのなら、できる限り噛みついていきたいです。」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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――今回のマイロ・ティンドル役へのアプローチはどのように考えていらっしゃいますか?

まだ、今は決めていないですけれど、一番難しいのは、騙し合いの部分だと思います。それには非常に技術が必要だから、稽古場で、鋼太郎さんとどういう風に作っていけばいいかを相談して演じたいと思います。

――現時点で一番楽しみにしているのはどんな点でしょうか? 

吉田鋼太郎さんという俳優と、稽古も含めたら2、3か月毎日一緒にいるわけですから、芝居だけでなく日常生活も含めて鋼太郎さんを観察できるのが楽しみですね。芝居では毎日勝負ができる、そんな贅沢な時間はなかなかないし、演劇人生の中で非常に貴重な期間になると思います。

 

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――演出家としての吉田鋼太郎さんは、いったいどのような方なのでしょうか?

厳しいです。まず、芝居のクオリティとして、お客様に見せられるレベルでない俳優に対してはボロクソに言うし、役も変えちゃうし、下ろしちゃうし。それは蜷川さんに似ていて、そういう厳しさを持っている。でもそれをクリアしている人たちには、役者目線で言ってくれるんです。ご自身も役者としてどうやったらよりよく見えるのかを知っているので、そこはすごく感じ取ってくれます。

『アテネのタイモン』でご一緒した時、僕は武将の役だったのですが、怒り狂うシーンで最初は舞台上で椅子を投げたり、机をひっくり返したりしていました。怒りってもっとでかいよなって思っていたのですが、自分の引き出の中にハマる表現がなくてそういうことしかできなかったんです。そうしたら、鋼太郎さんが「カッキーやりにくそうだな。もっとおまえ、叫びたいし、行きたいだろ。客席でやって」とおっしゃって。そのワンシーン全部、客席VS舞台上の人という、今では絶対できない演出になりました()。その時に、あ、これじゃ喉を絶対つぶすなって思って、でもこれでつぶしたらダサいので、千秋楽まで声が枯れないように発声練習を念入りにやってのぞみました。

この演出をクリアできたら鋼太郎さんとは、また一緒にやってくれるというのを信じてやったので、今に繋がってよかったです。芝居って、シェイクスピアのように日常会話じゃない表現、例えば、「好きだ」とか「愛している」という4文字、5文字で言えるものを、台本3ページも使って言うわけじゃないですか、そういうものをわかりやすく、全く難しい言葉ではなく、僕らにも腑に落ちるような言い方で導いてくださるんです。鋼太郎さんは、圧倒的な経験と知識をお持ちで、厳しいけど優しい人ですね。

 

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――コロナの影響で舞台が中止になったりして、少しお時間があったと思うのですが、その間、演劇について考えことはありましたか?

最初はまず無になりました。悲しみが大きかったですし、舞台をやれるの?というネガティブなものをいっぱい植え付けられました。正直、演劇を早くやりたい、芝居を早くやりたいという思いにはどうしてもなれなくて、どうなっちゃうんだろうという漠然とした不安がありました。自粛明け一発目の仕事はドラマだったのですが、やはり現場で芝居することは楽しかったし、キャストとスタッフで何か作品を作ることが、自分は好きなんだと思いました。演劇に関しては、鴻上(尚史)さんと『ハルシオン・デイズ2020』で何か月ぶりにやって、舞台上で芝居をするということ、また稽古を皆でするということが、やっぱり好きなんだと改めて思いました。今まで当たり前のように芝居して、舞台と舞台の間は映画やドラマを撮って、と走り続けてきてきた13年だったので、その有難さを再認識しましたね。

――演劇、ミュージカル、映画、TVと様々なことをやっていらっしゃいますが、今後もそのような形でやっていきたいのでしょうか?それとも何かに特化してやりたいものがおありでしょうか?

もちろんミュージカルも好きですし、芝居も大好きです。ですから特化してこれをやっていきたいということはなくて、その時その時にいい出会いがあればいいなと思っています。

 

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――自粛期間中に新しく始めたことなどありますか?

水泳を始めました。小学校の時に習っていたけど、高校の時に遠泳をやって以来、始めました。

緊急事態宣言解除になって、街を歩けるようになって、ある時、明治通りを歩いていて、水泳ブランドのお店の横を通った時に急に「今、買おう」「一式全部買おう」と思ったんです。店員さんに「久しぶりにやるんだけど、どれがいいですかね?」と相談して、帽子とゴーグルと水泳パンツを買って、その日から始めました()。ほんと勢いです()

――今も続けていらっしゃるのですか?

今も続けています。本番中はなかなか行けないんですけど。すごく気持ちいいし、全身運動になるし、全身が平均的に絞れ、呼吸もたくさんできるから、すごく気持ちいいです。健康的になりました()。僕、一人暮らしで料理もできないのにお酒ばっかり飲んじゃうから、今年の初めに人間ドックを受けた時に、「32歳で出す数字じゃないですよ。これではダメです。食生活を考えたり、有酸素運動をした方がいいですよ」と言われたんです。今は水泳を始めて、ダンスやバレエのレッスンも行っています。この間、血液検査をしたら数値が全部正常値に戻っていたので、水泳のおかげだと思っています。あとは有酸素運動。運動って大事なんだなと思いましたね。

 

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――最後に観にいらしてくださる皆さまにメッセージをお願いいたします。

二人しか出ない、濃密なスリルのある空間になると思います。きっと皆さんが体験したことのない空間になると思います。その芝居合戦を一つも見逃がして欲しくないです。今、日本一の役者、怪優、化け物である鋼太郎さんとヒイヒイ言いながら対峙する柿澤を見て頂きたいと思います。なかなか見られない芝居になると思いますし、そのために稽古は頑張らないといけないと思っています。絶対に損はさせない舞台にしますので、楽しみにしていてください。

――ありがとうございました。

 

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『スルース~探偵~』
■日程
東京        2021年1月8日(金)~1月24日(日) 新国立劇場小劇場
大阪  2021年2月4日(木)~7日(日)  サンケイホールブリーゼ
新潟        2021年2月10日(水)・11日(木・祝) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
仙台  2021年2月13(土)・14日(日) 電力ホール
名古屋 2021年2月19日(金)~21日(日) ウインクあいち大ホール
■脚本 アントニー・シェーファー
■翻訳 常田 景子
■演出 吉田鋼太郎
■出演  柿澤 勇人(マイロ・ティンドル役) 吉田鋼太郎 (アンドリュー・ワイク役)
■企画・制作 ホリプロ

公式ホームページ https://horipro-stage.jp/stage/sleuth2021/

■ストーリー
著名な推理小説家アンドリュー・ワイク(吉田鋼太郎)は、妻の浮気相手であるマイロ・ティンドル(柿澤勇人)を自身の邸宅に呼び出す。不倫ヘの追及を受けるものだと思っていたティンドルに対し、ワイクは意外にも、「妻の浪費家ぶりには困っている」、「自分にも愛人がいる」と切り出す。さらにワイクはティンドルに、自宅の金庫に眠る高価な宝石を盗み出してほしいと提案する。そうすることでティンドルは宝石とワイクの妻を手に入れ、ワイクは宝石にかかっている保険金を受け取り愛人と幸せに暮らすことができるのだ、と。提案に乗ったティンドルは、泥棒に扮しワイクの屋敷に侵入するが・・・

 

 

 

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