取材：記事・写真/RanRanEntertainment
世界的に有名な未解決事件として恐れられた殺人犯・通称“ジャック・ザ・リッパー（切り裂きジャック）”による猟奇殺人事件をモチーフにしたミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』が、9月9日（木）から日生劇場で上演される。娼婦ばかりを狙った殺人鬼を追う、ロンドンタイムズ紙の記者・モンローを演じる田代万里生に、本作の魅力やモンロー役を演じる想いを聞いた。
――韓国では2009年の初演以来、多くの観客に愛されている大ヒット作です。日本版は今回が初上演となりますが、まずは、出演が決まった時のお気持ちを教えてください！
僕はこれまで、（本作と同じように、イギリスを舞台に連続殺人鬼をモチーフにしている）『ジキル＆ハイド』や『スウィーニー・トッド』にも出演していたので、本作が“切り裂きジャック”をモチーフにしていると聞いて、絶対に面白い作品になると確信しました。その中でも演じるのがモンロー役だと聞いて、とても意外でした。というのも、僕はまず、恋愛の要素がない役柄をあまりやったことがなかったんです（笑）。それに、韓国版のキャストさんたちはそうそうたる顔ぶれなので、その中で僕がモンローという立ち位置が難しい役どころを演じるというイメージがすぐには湧かなかったんです。ですが、演出の白井晃さんやプロデューサーさんが「モンローのような役を演じる田代万里生を見たことがないから、ぜひトライしてみてほしい」とおっしゃってくださったので、チャレンジさせていただくことになりました。
――現在（取材当時）、お稽古がスタートしたばかりと聞いていますが、モンローを演じるにあたって、どんなところを意識していますか？
自分が持っているさまざまなカードを隠しておきながら、相手からいかに引き出すか。相手にカードを引かせて食いついてきたら、思い切り相手の腕を引っ張るというような、新聞記者やジャーナリストならではの話術を稽古で作っていければと思います。白井さんが稽古場でそれを実演してくれるので、今は、それを参考にしながら作っているところです。
――では、脚本をお読みになって、この作品の魅力はどこにあると思いますか？
この作品は、「刑事のアンダーソンと記者のモンローが、切り裂きジャックを探し出して捕まえようとする」というのがあらすじだと思いますが、実は後半には意外な展開が待っていて、思いもよらないストーリーになっています。単なる犯人探しの物語ではないので、そこはすごく引き込まれるポイントだと思います。
――なるほど。楽しみです！ そのアンダーソン役は、今回、加藤和樹さんと松下優也さんがWキャストで演じますが、今現在、お二人とのお芝居を通してどんなことを感じていますか？
二人とも、めちゃくちゃかっこいいですよ！ アウトローなのにダメなところも持ち合わせた空気感や、ちょっとやそっとのことじゃ動じない佇まいは、僕には絶対に出せないものだと思います。それぞれがすごく個性的で、やんちゃな部分も見え隠れしていて、とても魅力的です。
――田代さんから見て、加藤アンダーソンと松下アンダーソンには、どのような違いがありますか？
まだ稽古が始まったばかりなので、きっとこれからどんどん二人も変わっていくと思いますが…松下さんは、いい意味で、やんちゃ魂が隠しきれていない感じがします（笑）。そこがとてもアンダーソンらしい。アンダーソンは刑事という立場上、自制はしていても、常にギラギラしたものが体の中に宿っているということが、松下さんが演じるアンダーソンからは伝わってきて、役ととてもマッチしていると思います。
和樹くんは、何をやってもセクシー。ひとつひとつの仕草がとにかくセクシーです（笑）。ですが、それだけじゃなく、和樹くんが本来持っている特性とアンダーソンという役柄がとてもマッチしていて、ぴったりな役だと思います。見ていると本当に、アンダーソンという役なのか加藤和樹なのかわからなくなるくらいぴったりです。松下さんとは色が全く違うのに、2人ともアンダーソンらしさが出ているので、どちらのアンダーソンともお芝居をするのがとても楽しみです。
――田代さんはモンローを演じるにあたって、加藤アンダーソン、松下アンダーソン、それぞれに対して演技をどう変えようと思っていますか？ それとも、相手によって自然と変わるものなのでしょうか？
そうですね。変えようと思わなくても、相手の間（ま）も違えば、声の圧も違うので、自然と変わっていくと思います。今日はキャストが誰だから…ということはあまり考えていません。僕はモンローとしてただそこに存在して、相手にただ反応することを大切に演じていきたいと思っています。こちらから差別化をしようと思わなくてもいいのだと思います。
――では、お稽古場でのエピソードも教えてください。今、お稽古をしていてどのようなことを感じていますか？
今回ダブルキャストも多いですが、演出の白井さんは、同じ役だから同じ色に染めようとは考えていらっしゃらないと思うので、それぞれの個性がすごく出ると思います。アンサンブルの皆さんも、本当に能力の高い方ばかりが揃っていて、少しの稽古で「これもうゲネプロですか？」というほどの完成度になっています（笑）。途中から稽古に参加した日があったのですが、僕がいない間にすでに完成していると感じるほどでした（笑）。なので、今後はさらにブラッシュアップしていくと思いますし、他のシーンでもまた全然違うステージを見せてくれると思います。この作品は、キャスト全員が大活躍する作品なんです。アンサンブルの皆さんは、目が回るような速さで早替えをして、全く違う人物を次々に演じて踊って、この作品そのものを体現してくれていると思います。
――田代さんを始め、歌唱力にも定評のあるキャストさんが多いだけに、本作の楽曲にも期待が高まります！
僕個人としては、これほどエレキギターが響く楽曲は久しぶりです（笑）。めちゃめちゃロックで、音圧があるオーケストラが聴けると思います。とにかくかっこいい！ すごくトリッキーで、聞いたこともない和音もたくさん出てきますし、一方で、胸に迫る素晴らしい曲もあります。最近は、ミュージカルコンサートも頻繁に行われていますが、この『ジャック・ザ・リッパー』も素敵なナンバーがいっぱいあるので、ゆくゆくはそういったコンサートでも歌われるようになるんじゃないかと思います。
後編～
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』は、9月9日（木）～29日（水）に東京・日生劇場、10月8日（金）～10日（日）に、大阪・フェニーチェ堺 大ホールで上演。
＜東京公演＞
期間：2021年9月9日(木)～9月29日(水)
会場：日生劇場
主催：ホリプロ WOWOW
お問い合わせ：ホリプロチケットセンター
TEL：03-3490-4949（平日11:00～18:00）
https://horipro-stage.jp/stage/jacktheripper2021/
＜大阪公演＞
期間：2021年10月8日(金)～10日(日)
ー10月8日(金)14:00(木村、松下、加藤)
ー10月9日(土)12:30(小野、松下、加藤)/17:00(木村、松下、加藤)
ー10月10日(日)12:30(小野、加藤、堂珍)
会場：フェニーチェ堺 大ホール
主催：キョードーマネージメントシステムズ／フェニーチェ堺
お問い合わせ：キョードーインフォメーション
TEL： 0570-200-888（平日・土 11:00～16:00）
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/3031
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