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2023年9月27日 07:30

【前編】遠藤健慎インタビュー 「昔の自分の思い出が蘇るような感覚があった」映画『こん、こん。』で主演

長崎県佐世保市出身の映画監督・横尾初喜が、映画『こはく』に続き、長崎県オールロケで挑んだ映画『こん、こん。』が2023年9月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開される(長崎県では先行公開中)。大学生の堀内賢星と七瀬宇海という対極的なふたりの「恋」を描いた本作で、主演を務める遠藤健慎に撮影の思い出や見どころ、さらには俳優としての想いなどを聞いた。

――本作への出演が決まった時の思いをお聞かせください。

2年半ほど前に、ドラマで横尾さんとご一緒させていただいた時から「映画にも呼んでいただきたい」と横尾さんにしつこく言っていたんです(笑)。その時は、軽くあしらわれていたのですが、今回、このような形で、一緒に映画作りができるということにとても感謝しています。

――最初に、脚本を読んだ時は、どんな感想を持ちましたか?

脚本が完成する以前から、映画のテイストや大まかな流れは横尾さんから聞いていたのですが、出来上がったものを読んだたら、ド直球なラブストーリーだったので、こうした作品に僕が出演して大丈夫かなという不安はありました。ただ、横尾さんは細かいディテールまでこだわって描いていましたし、「お前に任せるぞ」という想いが台本から伝わってきたので力も入りました。

――実際に堀内賢星を演じてみて、どう感じましたか?

宇海は喜怒哀楽がはっきりした女の子だったので、その彼女と対峙する賢星という役は、とても演じやすかったです。(塩田みうさんが演じた宇海が)僕がイメージしていた宇海そのままだったということもあり、全てに新鮮なリアクションをすることができたと思います。特に、喜怒哀楽の「怒」と「哀」では、「こんなにも明るい子がこういう顔をするんだ」と演じていても心を持っていかれるような表情を塩田さんがされていて、賢星としても僕自身もグッと感じるものがありました。

――賢星と似ていると感じることはありましたか? 映画の中の賢星は自然体でありのままに感じたので、今、こうしてお話を聞いていて、遠藤さんご自身の印象が賢星と全く違うことに驚いているのですが。

本当ですか!? 嬉しいです。賢星は波風を立てないようにと思って生きてきたと思うので、少なくとも人と話すのが好きな僕とは大きく違いますし、演じる上ではそうした自分にある部分を削ぎ落とすような感覚で役作りをしていきました。賢星は世間との間に1枚の薄い壁があるような人だと思ったので、そこをどう役や絵に反映させるのかは僕にとって課題だったので、印象が違うと言っていただけるのはすごく嬉しいです。

――今回は、オール長崎ロケだったそうですが、長崎の印象やロケ地での思い出を教えてください。

ロケーションが圧倒的だったので、ロケ地行くのが楽しみでした。マイナスイオンを感じる、自然豊かな場所が多かったので、それも新鮮でした。風が本当に涼しいんですよ。夜の海風は最高で、東京にいると味わえないものだと思うので、そうした環境も楽しんで撮影していました。撮影で印象に残っているのは、とにかく陽が長いこと。昼間のシーンを19時や20時まで撮影するスケジュールになっていたので、間違いじゃないかと思ったのですが、本当に20時まで陽が出ているんですよ(笑)。驚きました。それから、撮影には、多くの県民の皆さんが協力してくださったのですが、皆さん優しくて、暖かくて、ロケ地をお借りするにも喜んで使わせてくださり、とてもありがたかったです。ロケでお借りした飲食店の方が、お昼にお弁当を持ってきてくれたりもしたんですよ。長崎の方々の優しさに衝撃を受けました。

――現地の方が実際にご出演もされていたそうですね。監督の手腕もあると思いますが、初めての方が多いとはとても思えない演技でした。横尾監督の演出については、どう感じていますか?

僕がすごく素敵だなって思ったのは、横尾さんの気遣いです。初めてご一緒したのが、学園もののドラマで、僕はメインの方とは違い、お芝居を自分たちで考えてやってほしいと言われていたのですが、僕が1つ余分な動きをした時には「それいらない」「それ、やめてほしい」とはっきり指示を出してくださるんですよ。でも、その言葉は尖っていないのですんなりと受け入れられますし、後から「ごめんね」なんてフォローしてくださる。俳優にすごく寄り添ってくださる監督だと思いました。多分、役者側がどう考えているのかも計算した上での発言だと思うんですよ。逆に自分でもいいアクセントになったなという芝居をすると、真っ先に現場に来てくれて、今のはいいと言ってくれる。ものづくりに懸ける想いがすごく強い。細かいところまでこだわる監督さんなんだなと思います。

――今回の撮影の中で、特に苦労されたシーンは?

どのシーンということではないですが、現場に慣れてくると、少しずつ枠組みが崩れてしまい、自分の中で定義づけた“普通”が緩くなってしまうことがあったのが精神的には大変でした。主演ということで変に力が入ってしまった部分もあったと思いますが、その僕に的確なアドバイスをくださり、現場で臨機応変にガス抜きをしてくださったのが横尾さんだったり、先輩方でした。それから、大橋(彰/アキラ100%)さんの演じるキャラクターがとても個性が豊かで面白かったので、大橋さんと一緒のシーンを撮影することで救われた部分も多々あったように思います。

――大橋さん演じるマキノとのシーンは、作品のアクセントにもなっていて、思わずクスリとしてしまういいシーンでしたね。

話の流れが急に変わるシーンでもありますし、リラックスできる場所にもなっているので、やっぱり大橋さんはすごいなって思いました。そこでテンポ感が変わるというのは、大橋さんの腕なんだろうなと思います。

――宇海との最後のやり取りも、感情のジェットコースターのようで、大変なシーンだったのではないかなと思いましたが、そこはいかがでしたか?

そのシーンは、どう演じるべきか、すごく悩みました。台本を汲み取ると、賢星の中にある狂気的な部分も見えなければいけないと思っていたので、それが感じていただけたらいいなと思います。

――改めて、作品の見どころをお願いします。

台本を読んだ時に、昔の自分の思い出が蘇るような感覚がありました。シチュエーションは違えど似たような経験がある方は多いんじゃないかなと思います。自分の中にあった青春のワンシチュエーションが浮かぶ映画だと思うので、ぜひ自分の人生と重ねて観てもらえたらと思います。

――ありがとうございました。

9月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開

 

 

 

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