上田堪大 立石俊樹
月刊「Gファンタジー」(スクウェア・エニックス刊)にて連載中の大人気漫画『黒執事』。ダークファンタジーの金字塔である同作は、2009年の舞台化以降、ミュージカル「黒執事」(以下、生執事)として長きにわたり公演を行ってきた。そして、9月7日(土)から、ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~の再演が決定。4月~6月に放送されたアニメ『黒執事 -寄宿学校編-』でも描かれた、原作14~18巻の「寄宿学校編」を21年の初演からパワーアップして上演する。初演に続き、セバスチャン・ミカエリスを演じる立石俊樹と葬儀屋を演じる上田堪大に、初演時の苦労や役作りについて、さらに再演への意気込みなどを聞いた。
――再演が決まったときの心境を教えてください。
立石:もう一度生執事に戻ってこられることをとてもうれしく思っています。再演に向けてより高みを目指して、より深く掘り下げてお届けしたいと思います。
上田:今回は、僕たちとシエル・ファントムハイヴ役の小西詠斗くんの3人だけが続投で、他のキャストは新しくなって“新生・生執事”として上演されます。きっと新たなものができるんじゃないかなと思いますし、再演をやるからには初演を超えるものをお届けできたらと思っています。
――初演時の思い出や印象に残っている出来事を教えてください。
立石:コロナ禍で制限がある公演でしたので、フェイスシールドをつけて演じなければならず、新しい作品に挑むということ以外にも壁があったことが印象深かったです。
上田:初演では物語の冒頭に、これまでのストーリーをダイジェストで観せる場面があったのですが、その時に僕が舞台袖で待機していると、俊樹がその横を走り抜けていくんですよ。ニコニコしてテンションが高い日もあれば集中モードの日もあって、僕はそれを見て楽しんでいました(笑)。僕は役柄的にも、みんなの舞台上での勇姿を見守っていることが多かったので、そうした舞台裏でのやり取りが印象に残っています。
立石:そうやって見守ってくれる堪大さんからパワーをいただいて、支えてもらっていたなと思います。
――初演を通して、それぞれが演じた役柄の魅力ややりがいをどんなところに感じましたか?
立石:セバスチャンは、悪魔と執事が同居している役柄ですが、常に完璧でいることが求められる役だなと思います。姿勢を保つことはもちろん、振り付けを一つでもミスしないようにという緊張感がありました。でも、シエルと話しているときは朗らかな瞬間もあって、葬儀屋と対峙した時の緊張感との差を出せるよう意識していました。普段は淡々としているセバスチャンですが、汗をかきながら必死になる泥臭さもあって、そうした姿がお客さんの胸を打つのかなと思います。
上田:葬儀屋は、これまで僕が演じた役の中でも、一番、振り切って臨まないといけないと初演のときは思いました。この生執事では、僕は2代目の葬儀屋です。これまで和泉宗兵さんが演じられてきて、そのイメージもついている中で演じなければならない。僕が演じる意味はどこにあるのだろうと考えていく中で、振り切ってやろうと。公演中は、僕はなるべく舞台袖で観るようにしていましたが、それも「寄宿学校編」の中の葬儀屋を演じる上ではとても大事だったと思っています。
――演じる上で一番、苦労したことは?
上田:僕は視界です。これほど見えない状態で芝居をしたのは初めてでした。なので、稽古でみんながどんな顔をして芝居をしているのかを覚えて、本番ではそれを思い出しながら演じました。視界が悪い分、みんなの言葉をよく聞いて、圧や熱量を感じながら、受け取ったものを返せるようにということを心がけて演じました。
――アイコンタクトができないって大変ですよね。
上田:そうですね。演じる上では(アイコンタクトは)とても大切になので。ですが、みんなからは僕は見えているので、僕がどこまで届けられるかというのが大事だと思い、そこは特に意識していました。
立石:僕が初演から悩んでいたのは、悪魔であり執事であるというセバスチャンの動きです。執事のようにスマートに動き過ぎてしまうと悪魔の要素が見えなくなってしまうので、心と体がリンクしていないところも見せようと思っていました。体に引っ張られて心まできれいに動いてしまってはダメというか…。そうしたありようが難しかったです。
――先ほど、フェイスシールドのお話もありましたが、コロナ禍ならではの苦労というのもありましたか?
上田:マスクをしながらの稽古でしたが、ウィッグをかぶって前も見えないし、マスクもしているというのは、僕にとっては苦労でした。ただ、正直、僕よりもみんなの方が大変だったと思います。僕は物語のキーとなる場面や大事なシーンに登場して演じるという役柄だったので、ずっと出ていたみんなは大変なことも多かったと思います。
立石:もちろん、そうしたコロナ禍での苦労もありましたが、そもそもミュージカル「黒執事」はお客さんの中で何年も受け継がれているものがあるので、僕たち新しいキャストで演じるということ自体が大変なことでした。さらに「黒執事」の中でもこの「寄宿学校編」はまた少しベクトルが違った作品です。それゆえに難しかったところもあって、期待に応えたいという思いとハードルの高さを同時に感じていました。僕がしっかりと真ん中に立って、シエルを支えて、ミュージカルとして表現していく。いろいろな要素にとらわれて大変だったというのはありますね。
――セバスチャンとシエルの関係性を作っていくという意味で、小西さんとディスカッションをすることも多かったですか?
立石:日頃から一緒にいるようにしていました。元々話しやすかったですし、相性も良いと思いますが、ただ、年齢が離れているので、遠慮して言えないということがないようにしたいと思っていました。実際に、お互いに我慢することなく、何でも言い合える関係性が作れたのは良かったなと思います。お互いに信頼関係を築くことができたと思います。
ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密 2024~
<期間・劇場>
【兵庫】2024年9月7日(土)~8日(日)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【東京】2024年9月21日(土)~29日(日)TOKYO DOME CITY HALL
<原作>枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
<脚本>Two hats Ltd.
<演出>松崎史也
<音楽>Yu (vague)
<振付・ステージング>本山新之助
<出演>
セバスチャン・ミカエリス:立石俊樹
シエル・ファントムハイヴ:小西詠斗
エドガー・レドモンド:神里優希
ロレンス・ブルーアー:栗原航大
ハーマン・グリーンヒル:塩田一期
グレゴリー・バイオレット:定本楓馬
モーリス・コール:成瀬遙城
クレイトン:星野勇太
エドワード・ミッドフォード:岩崎悠雅
チェスロック:木村聖哉
ジョアン・ハーコート:戸塚世那
マクミラン:熊谷俊輝
デリック・アーデン:鈴木達也
ヨハン・アガレス:伊藤裕一
杉山諒二 花見卓也 島田悠太 多田 滉 千葉恵佑
中村泰仁 PASSION 溝口悟光 山口 渓 吉田邑樹
ソーマ・アスマン・カダール:伊勢大貴
葬儀屋:上田堪大
<主催>
【兵庫公演】梅田芸術劇場 兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
【東京公演】ミュージカル黒執事プロジェクト
(ネルケプランニング アニプレックス TBS アミューズ イープラス)
<一般発売日>
2024年8月17日(土)10:00
<料金>
【兵庫公演】S席:12,500円/A席:9,000円/B席:5,000円
【東京公演】S席:12,000円/A席:8,000円
<チケットに関するお問い合わせ>
【兵庫公演】梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00/土日祝含む)
【東京公演】イープラス 050-3185-6683(10:00~18:00/土日祝含む)
<公演に関するお問い合わせ>
【兵庫公演】梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00/土日祝含む)
【東京公演】ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/about/contact1.php
◆公式サイト http://namashitsuji.jp/
◆公式X https://x.com/namashitsujijp
ミュージカル「黒執事」〜寄宿学校の秘密 2024〜 (C)2024 枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト