取材:記事・写真/RanRanEntertainment
江戸川乱歩の原作をもとに三島由紀夫が執筆した戯曲「黒蜥蜴」が1月9日に東京・日生劇場で開幕した。ロンドンやブロードウェイで活躍する世界的な英国演出家、デヴィッド・ルヴォーが手掛ける。
一代で財を築いた宝石商・岩瀬庄兵衛は、娘の早苗を誘拐するという脅迫状に脅え、私立探偵の明智小五郎を雇う。大阪のホテルに身を潜める父娘の隣室には、岩瀬の店の上客である緑川夫人が宿泊していたが、実は彼女こそ、誘拐予告をした張本人の女賊・黒蜥蜴だった。
「美」に執着する美貌の女盗賊・黒蜥蜴と、彼女の好敵手であり運命の恋人、名探偵・明智小五郎が繰り広げる耽美と闇の世界。
緑川夫人(黒蜥蜴)役を中谷美紀、明智小五郎役を井上芳雄が演じる。このほか相楽樹、朝海ひかる、たかお鷹、成河らがキャスティングされた。
シンプルな空間に凛と浮かび上がる黒蜥蜴と、知的でクールでありながらもアウトサイダーな明智。二人の存在感と三島由紀夫の言葉が空間を支配していくような演出、演奏に息を呑む。
上演時間は休憩込みの約3時間15分。東京公演は1月28日まで。2月1日から5日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。
中谷美紀コメント
ルヴォーさん主催の演劇学校に、出演料を頂戴して通わせていただいたような、充実したお稽古を経て、いよいよ初日を迎えることになり、少々緊張しておりますが、「一字一句誤りの無い完璧な台詞で感情がこもっていないよりも、物語を生き、感情の発露によって多少台詞が乱れても、後者の演劇を観たいと思う。もちろんだからと言って、台詞をないがしろにしていいという訳ではないけれど」とおっしゃったルヴォーさんの言葉を信じて、井上芳雄さんをはじめとする共演者の皆さんの言葉に耳を傾け、表情を見逃さず、心と心の対話を最も大切に演じたいと思います。高尚なものと低俗なもの、喜劇と悲劇、美しいものと醜いもの、愛と憎しみ、エロスとタナトス、相反する2つの世界が混じり合い、拮抗し合う三島ワールドをぜひご覧いただきたいです。
井上芳雄コメント
ルヴォーさんとカンパニーのみんなと、この「黒蜥蜴」の世界にいられることが最高に幸せです。悲しいほどに美しい美紀さんの黒蜥蜴とご一緒できるのも光栄です。早く、皆さんに見て頂きたい。きっと今まで見たことのない、でも、心の奥ではどこかで知っていた愛の世界がそこにあるはずです!
朝海ひかるコメント
ルヴォーさんの指揮の下、カンパニー全員で「黒蜥蜴」の世界をお届けできる様精一杯頑張ります。
成河コメント
不思議と緊張もなく穏やかな気持ちです。大きな見所は、想像力を刺激するシンプルで力強い演出。デヴィッド・ルヴォーの美意識が行き届いた、演劇ならではの「空間の使い方」に是非注目して欲しいと思います。三島由紀夫への新しいアプローチとして、きっと沢山の人に受け入れられるだろうと期待しています。
相楽樹コメント
ルヴォーさんの稽古は本当にあっという間でしたし、稽古というよりはカンパニー全員で「黒蜥蜴」の世界を探求しながら冒険しているような時間でした。ルヴォーさんの演出する「黒蜥蜴」は、さまざまな表情や魔法であふれていて目が離せなくなるはずです。お楽しみください。
たかお鷹コメント
やる事はやった。後は本番のライブ感を楽しむのみ。
2018年1月9日(火)~28日(日)
東京都 日生劇場
2018年2月1日(木)~5日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
原作:江戸川乱歩
脚本:三島由紀夫
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演者
中谷美紀
井上芳雄
相楽樹
朝海ひかる
たかお鷹
成河
一倉千夏 内堀律子 岡本温子 加藤貴彦 ケイン鈴木 鈴木陽丈 滝沢花野 長尾哲平萩原悠 松澤匠 真瀬はるか 三永武明 宮 菜穂子 村井成仁 安福毅 山田由梨 吉田悟郎
ダンサー:小松詩乃、松尾望 (五十音順)