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2017年9月7日 14:58

“串田版”チェーホフ劇『24番地の桜の園』に出演する松井玲奈さんにインタビュー! <前編>

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

『24番地の桜の園』が、11月9日から28日までBunkamuraシアターコクーンにて開催される。
『24番地の桜の園』は、アントン・チェーホフの最高傑作にして最期の戯曲『桜の園』をベースに、演出の串田和美と翻訳の木内宏昌が新たに脚色を加え、現代にも通じる滑稽なまでの人間模様をより鮮やかに描く作品。シアターコクーン初代芸術監督の串田和美が、50年の演劇人生で初めてとなるチェーホフ作品演出に挑む。

出演は、“桜の園”に出入りする<ロパーヒン>役に高橋克典。領主ラネーフスカヤの兄<ガーエフ>に風間杜夫。新しい思想を持つ万年大学生<トロフィーモフ>に八嶋智人、ラネーフスカヤの娘<アーニャ>に松井玲奈、養女<ワーリャ>に美波、隣人の地主<ピーシチク>役に演出の串田和美。そして“桜の園”の女領主<ラネーフスカヤ>を小林聡美が演じる。
また、大堀こういち、池谷のぶえ、尾上寛之、北浦愛、菅裕輔、新田祐里子、大森博史、久世星佳など、多彩な実力派が顔を揃える。

ランランエンタメでは、本作でラネーフスカヤの娘<アーニャ>を演じる松井玲奈さんにインタビューを実施。多方面で目覚ましい活躍を見せる松井さんに、役へのアプローチの仕方や作品への意気込み、女優として成長したことについて語っていただいた。

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前編<自分の世界を広げていきたい気持ちは似ている>

――まず、舞台『24番地の桜の園』に出演が決まったときの感想はいかがですか?
本作はチェーホフの『桜の園』をベースに、串田さんが脚色を加えて新たに作り直す作品になります。原作は読みましたが、台本は私たち出演者もまだ読んでいなくて。作品がどのように変わるのかまだわからない段階ですが、新しい作品になると聞いてワクワクしますし、とても楽しみにしています。

――原作を読まれて、演じられるアーニャにはどんな印象を持ちましたか?
アーニャは登場人物の中で一番若い役。他の登場人物は、失いたくないものや手に入れたいものなど、何かしら抱えているものがありますが、アーニャはまっすぐに、自分の未来のことを考えていると感じました。その前向きなところがとても素敵だなと思って読んでいました。

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――原作のアーニャは、母親のラネーフスカヤとは対照的な、新しい思想を持った女性として描かれていますね。
はい。読み終えた後に改めて考え直すと、アーニャは先のことを見据えていて、アーニャが言う台詞にも、未来を感じさせるような意味が込められているんだなと思いました。私も26歳になりますが、若いからこそ挑戦できることってたくさんあるのだなと、作品の中から感じました。

――そんなアーニャと似ている点はありますか?また、現時点でアーニャという女性をどう演じようと思われていますか?
生きている年数が短ければ短いほど失う物は少ないと思うんです。だからこそ新しいものをどんどん取り入れて、自分の世界を広げていきたいという気持ちは似ているのかなと思いますね。どう演じるかはまだ、はっきりとわからないのですが……。若いからこそ恐れないというか、自分の信じたことや、あった方がいいと思うことに臆することなく、まっすぐ進んで行ける、そういったエネルギーを持っている女性を演じられたらと思います。

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――演出の串田和美さんにはどんな印象をお持ちですか?
一番、驚いたことは、現役で脚本も書いて演出もされる、ということですね。お歳をお聞きした時にまず、元気なお姿と年齢が結びつかないくらい、とてもハツラツとされていて(笑)。また、色々なことをご存知で、チラシの撮影の時にもお話をしながら撮影をしていたのですが、私が知らない音楽の話をしてくださいました。新しい音楽の話もよくご存知で、とても知識が豊富で一緒にお話をしていると、世界がどんどん広がっていくような感覚がありましたので、どのようにお芝居をつけてもらえるのか、今からとても楽しみです。

――共演者の皆さんにはどんな印象をお持ちでしょうか?
今回、共演する皆さんとは一緒にお仕事をしたことがなく、初めてお会いする方々なので、「あのドラマに出ていた人たちだ!」という意識があって、私の中では“映像の中の方たち”という感覚なんです(笑)。そんな方々と一緒にお芝居をした時に、自分がどのように感じてこの作品を作っていけるのか非常にワクワクしているところです。

――では、アーニャの母親、ラネーフスカヤを演じられる小林聡美さんの印象はいかがですか?
私の中で小林さんは、映画『かもめ食堂』の印象がとても強くて、本作品でご一緒できると聞いた時は、とても嬉しかったですね。私が観ていた作品の中では、小林さん=母親という印象はあまりないので、どのような“お母さん”を演じられるのか、どのような母と娘の関係を築いていくのか、とても楽しみです。まだ、お会いしたことはないので、「早くお稽古が始まらないかな」と心待ちにしているんです(笑)。

――串田さんは「『桜の園』には、日本人にもわかるノスタルジーがある」とコメントされていますが、松井さんはどんな時にノスタルジー(故郷を懐かしむ気持ち)を感じますか?
自分の中でノスタルジーという言葉は、まだしっくりこなくて(笑)。地元に帰れば安心しますが、きっとまだ、そういったノスタルジーを感じるには、人生経験が足りていないのだなと思います。この作品で言うと、みんな故郷を大切に思い、自分の居場所がなくなってしまわないようにしたい、自分の場所を新たに手に入れたい、といった気持ちがある中で、アーニャは自分が生きてきた場所も大事だけど、新しい場所を見つけることも大事と考え、外に出ようという気持ちがあるのではないかなと思うんです。

私も地元はとても好きですし、帰れば両親や昔懐かしい場所もありますが、何となくそこに懐かしさを感じるには、まだまだ見てきたものが少ないんだなと。今はそこが大事と思うよりも、もっともっと新しい所に足を踏み入れていき、世界を広げていきたいという思いが強いのではないかと思いますね。

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■Profile
松井玲奈(まつい・れな)
1991年7月27日生まれ、愛知県出身。2009年SKE48一期生としてデビュー。2015年卒業後、女優業を主として活動を開始。2016年の舞台、つかこうへい七回忌特別公演「新・幕末純情伝」で、沖田総司役を主演。2017年4月W主演映画「笑う招き猫」、6月主演映画「めがみさま」。6月から舞台「ベター・ハーフ」で平澤遥香役を好演。数々のドラマや映画などに出演、女優として活躍中。

【公演概要】
■スタッフ
作:アントン・チェーホフ  翻訳・脚色:木内宏昌  
演出・脚色・美術:串田和美

■出演
高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、大堀こういち、池谷のぶえ、尾上寛之、北浦 愛、菅 裕輔、新田祐里子、大森博史、久世星佳、串田和美、小林聡美
<ミュージシャン>太田惠資、関島種彦、アラン・パットン、飯塚 直、ギデオン・ジュークス

■公演日程
2017/11/9(木)~11/28(火) Bunkamuraシアターコクーン
お問合せ:Bunkamura 03-3477-3244
■主催
Bunkamura/日本テレビ

[企画・製作]
Bunkamura

[松本公演]
2017年12月2日(土)~3日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団/SBC信越放送
お問合せ:まつもと市民芸術館 0263-33-3800
http://www.mpac.jp/

[大阪公演]
2017年12月8日(金)~10日(日) 森ノ宮ピロティホール
主催:サンライズプロモーション大阪
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)http://www.kyodo-osaka.co.jp/

 

 

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