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2020年5月13日 23:22

WOWOWオリジナルドラマ『異世界居酒屋「のぶ」』監督&脚本の品川ヒロシにインタビュー!「飯テロドラマになれば」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

シリーズ累計発行部数300万部を突破した、蝉川夏哉著の小説をドラマ化した『異世界居酒屋「のぶ」』が515日よりWOWOWプライムで放送される。同作は、中世ヨーロッパのような異世界の古都・アイテーリアになぜか繋がってしまった居酒屋「のぶ」を舞台にしたグルメドラマ。アニメ版は全世界累計視聴数2000万回を超えるなど、大人気作の初ドラマ化で監督&脚本を務める品川ヒロシに、撮影の裏側や本作の見どころ、さらに監督業への思いを聞いた。

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――お笑い芸人としての活動だけでなく、映画『ドロップ』をはじめ数々のヒット作を手がけてきた品川さんですが、本作に携わることになった経緯を教えてください。

もともと、WOWOWさんと「何かをやろう」という話をしていたんです。それもあって、『異世界居酒屋「のぶ」』をやってみませんか?とお声かけいただきました。お話を聞いて、最初は、この作品を実写化するのは無理だと思ったんですよ(笑)。何百億という製作費がかけられるならば、ドイツにオープンセットで居酒屋を建てて、そこで撮影するということができると思うのですが、日本で中世ヨーロッパのような異世界を撮るということを考えると難しいな、と。しかも、それを日本人の俳優でやるわけですから、安っぽいコントになってしまうんではないかという不安がありました。それで、WOWOWさんと話し合いを進めていく中で、僕の映画でも美術を担当してくださっている相馬(直樹)さんに美術をお願いできるということになり、それであれば異世界と居酒屋を作り込むことができるのかなとは思ったんです。

――脚本を書かれる前に原作をお読みになっていると思いますが、どんなところに魅力を感じましたか?

料理を食べたくなるということもさることながら、人間ドラマが描かれていて、気持ちがほっこりする作品だな、と。ジーンとくるというのが大事だと思いました。

――では、脚本もそれを意識して書かれた?

そうですね。まあ、もちろん、居酒屋でご飯を食べたいと思ってもらうことも意識していましたが、そこには友情や家族愛が絡んでいるので、同時に「仲間と飲みたい」という気持ちが、ドラマを観て沸いてもらえたらと思いました。

――撮影では、料理にかなりのこだわりを持って撮影されたとお伺いしています。

そうですね。このドラマを観たら、すぐにそこに出ていた料理が食べたいと思ってもらわないといけないと思っていたので。「飯テロ」という言葉がありますけど、まさに「飯テロドラマ」になればと思っていました。

――実際にどんなところにこだわったのですか?

シズル感はもちろんですが、例えば唐揚げを揚げたときに出る、パチパチとした油まで写したいと思って撮影していました。肉汁や湯気もそうですが、温度を伝えたかったんです。僕自身、温かい料理が好きなんですよ。テレビ番組の収録の場合、ブツ撮りをしている間に料理が冷めてしまうことも多くて、それがすごく嫌なんです。だから、温度は意識して撮影していました。撮影中には何度も同じ料理を作って、役者さんに食べてもらうシーンを撮るときには、絶対に熱々のものを出して食べてもらいました。

――品川さんはご自身でもお料理を作られるんですか?

はい。昔、料理を作るバイトをしていたことがありましたし、今は自宅でも作っています。きっとWOWOWさんは、僕が料理も作れるし、監督もしているから、このお話に声をかけてくれたんだと思います。

――ご自宅でも作られるんですね!

してます、毎日。ベーコンエッグとか唐揚げとか、小学生が好きそうな料理ばかりですが、自分の好きなのを作ります(笑)。

――ちなみに、本作が居酒屋を舞台にしているということにちなんで、品川さんが居酒屋に行くときに頼む定番のメニューは?

唐揚げです。唐揚げってどこのお店もおいしいですよね。安っぽいのも好きだし、こだわりのものも好きだし、皮がしっとりなのもパリッとしているのも、中華屋風のものも好きだし。一番好きな料理が唐揚げです。

――では、「のぶ」の大将・矢澤信之を演じた大谷亮平さんの印象は?

妙におかしい人で、真面目なことを言っているのになぜか面白いという不思議な人です。僕がお願いして演じてもらったことではあるのですが、異世界の中で、舞台的な、演劇的な仰々しい芝居をしている異世界の人たちの中で、真剣な顔で「はいよ」とか「からしだ」って渋く、真面目に言っている姿が妙に面白いんです。それは、大谷さんの持つ空気なのか、この作品でこの役柄だからなのかはわからないですが、それを感じてからは、どんどんそういう演技をしてもらっていました。

――「のぶ」の給仕で看板娘の千家しのぶ役の武田玲奈さんはいかがでしたか?

めちゃくちゃ可愛い! 信じられないくらい可愛いです(笑)。「こんな子がいるなら、そりゃみんな足繁く通うよ」という説得力があります。居酒屋のこの衣装と頭巾姿で、「とりあえず生で!」とか「いらっしゃいませ!」とか言っている姿は、とにかく可愛いので、それはぜひ観てもらいたいです。

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――ところで、品川さんが監督として現場をまとめる立場のとき、スタッフさんとのコミュニケーションや現場作りで大切にしていることは?

バラエティの現場でも同じことが言えますが、みんなを笑わせることが大事だと思っています。なので、現場に芸人がいればその人をいじったりして笑えるようなことを言ったりということは意識的にしています。あとは、胃袋を掴むこと。ご飯には絶対に温かいものを出すようにしています。今回、撮影現場がめちゃくちゃ寒かったので、温かいだけでうれしかったと思います。冷たい弁当は仕方なかったとしても、例えば温かいお味噌汁がついていたら、それだけでも絶対に現場の印象は変わりますよね? なので、今回の撮影では、僕自身が、朝からスープを作って、煮込みながら監督をしたこともありました(笑)。

――バラエティ番組などで「昔は尖っていた」という話もされていますが、監督としては昔と変わったところはありますか?

そもそも、自分ではあまり尖っていたという意識はないんですけどね(苦笑)。今も、丸くなったとは思っていないですし…単純に大人になったんだろうなとは思いますが、それほど変わった気はしないですね。今でも譲れないところは譲れないですし、頑固な面もあると思います。

――譲れないときに、自分の意思を貫く強さはどこから生まれているんですか?

強さいうわけではないと思いますが…例えば、先ほどの予算のお話でいうと、WOWOWでは100億円の製作費を使って作られた映画と並んでこのドラマが放送されますよね? 視聴者にとっては同列に見られるんです。これは予算が少ないのに頑張って面白いものにしたよねと思って観てくれる人はいないので、「予算が少ないから用意できませんでした。だから、これにしましょう」と言って、誰かが用意してくれたものでも、それは監督の責任になります。なので、譲りたくないものを曲げてしまうと、思っていたものと違ったものが出来上がってしまうので、貫かないといけないときもあるんです。もちろん、そこからどうするのかという折衷案を出して、実際には作っていくのですが。今回は、自分で脚本、監督、編集をやっているので、実現することができなそうだったら脚本ごと変えてしまうことができたので、だからこそ自分を曲げずに、手段を変えることができているということもあります。

――ありがとうございます。では、改めて、本作の作品の見どころをお願いします。

笑えて泣けて、家飲みにもぴったりな人間ドラマになっています!

WOWOWオリジナルドラマ『異世界居酒屋「のぶ」』

原作:蝉川夏哉『異世界居酒屋「のぶ」』(宝島社刊) 監督・脚本:品川ヒロシ 音楽:YHANAEL 撮影:Yohei Tateishi 美術:相馬直樹 照明:斗舛武史 録音:渡辺丈彦 編集:須永弘志
 出演:大谷亮平、武田玲奈/白洲迅、小林豊(BOYS AND MEN)、堀田茜、新谷ゆづみ、阿部進之介/八木アリサ、庄司智春(品川庄司)、小越勇輝、三宅克幸、渡部龍平、早霧せいな/木村祐一、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)、秋山竜次(ロバート)、忍成修吾、品田誠、木下ほうか/波岡一喜、梶原善、田山涼成、篠井英介

5月15日(金)から毎週金曜深夜0:00にWOWOWプライムで放送。

※第1話無料放送(全10話)

現在、第1話まるごと無料配信中(詳細は番組公式サイトにて)

特設サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/nobu/

 

 

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