2016.12.08 取材:記事・写真/RanRan Entertainment
シアターコクーン・オンレパートリ2016「シブヤから遠く離れて」の囲み取材、公開ゲネプロが行われ、出演の小泉今日子、村上虹郎と作・演出・出演の岩松了が登壇した。
岩松了 村上虹郎 小泉今日子
同作は2004年に嵐の二宮和也主演、蜷川幸雄演出で舞台化。当時脚本を担当した岩松了が演出し、当て書きとも言われるほどのマリー役には再び小泉今日子を迎え、また主演のナオヤ役には2014年に第26回カンヌ国際映画祭コンペティション部門へ出品された映画『2つ目の窓』の主演が話題となった実力派・村上虹郎が新たにキャスティングされて2016年版として誕生する。
作・演出・出演まで全てに携わった岩松は、12年前に蜷川に書き下ろした本作について、「12年前はイチ観客として見てましたから。本読み直して改めて難しいなーと。稽古して行くと自分でもわかってきます。」と苦悩を口にした上で、蜷川との思い出について聞かれると、「蜷川さんとちょうどここのロビーで打ち合わせしましたね。ラウンジの向かいに座った蜷川さんが、こういうイメージどう?ってチェルノブイリの写真集を出して、そのイメージで舞台を作ったので。」と、独特な世界観漂う廃墟のセットは蜷川の提案であることを明かした。
今回ナオヤ役にキャスティングされた村上は舞台の出演は2作目となる。稽古期間についての質問には、「あっという間でした。じっくり何度もやったはずなのに。この舞台4幕あるのですがやはり1幕ずつ区切らずに通しでやったほうが自分の中でしっくりくるので、そこのフラストレーションをどう活かすかということは考えました。」と、岩松も「まだまだ稽古できそうなくらい」と太鼓判を押すほどの余裕を見せた。
また、前回同様マリー役にキャスティングされた小泉は、初演との変化について聞かれ、
「12年前なので、あの時よりはどこか深くなっていたいなと。12年前といちばん変わったのは渋谷の街かなと思うのですが、センター街の様子も変わりましたし、ここで芝居をしていると不思議と今の渋谷を感じますね。」と渋谷で上演される舞台ならではの想いを語った。
初演から出演を熱望されたという小泉今日子マリーの魅力について問われた岩松は、「初演時に僕はキャスティングにも携わりまして、声をかけました。マリーは小泉今日子ってことで脚本を書いたし、未だにそうです。」と大絶賛した。
そんな小泉は村上の幼少期を見ているとのことで、「友達との集まりの時とかに駆け回る虹郎くんを見ていましたので、突然青年になった虹郎くんと芝居ができるなんてちょっとした奇跡のようでワクワクしました。これからが楽しみです。」と久しぶりの再会を喜び、共演者としてエールを送った。
最後にこれから舞台を観に来る皆さんにメッセージ
村上:「僕は12年前の渋谷を知りませんが、今の渋谷で渋谷の話をすること、台詞の中に地名が入っていたりすることはとても意味のあることだと思います。この瞬間を共有できたら嬉しいです。ぜひ、楽しんでください。」
小泉:「12年前の初演の時に、主演の二宮さんと同い年くらいの10代の子がたくさん観に来てくれて、そこから演劇好きが生まれたかもしれないし、その子達が大人になって観に来てくれたら嬉しいです。今回虹郎くんと同い年くらいの子達からまたそんな子達が生まれるなら、長く生きてる価値があるなあと思います。」
岩松:「初演と今回、集まった人たちによって12年ぶりに同じ作品がまた命を持って生まれる。自分の職業ってこういうものなんだなと実感いたします。そんな空気を感じて頂ければ幸いです。」
シアターコクーン・オンレパートリー2016「シブヤから遠く離れて」
作・演出:岩松了
出演:村上虹郎、小泉今日子、鈴木勝大、南野彩希、駒木根隆介、小林竜樹、高橋映美子、たかお鷹、岩松了、豊原功補、橋本じゅん
2016年12月9日〜25日
Bunkamura シアターコクーン
HP http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_shibuya/