トップ > PICK UP > 新たな名演誕生に期待 細貝圭・佐藤祐基・加藤虎ノ介 出演舞台「オーファンズ」

2017年10月9日 06:00

新たな名演誕生に期待 細貝圭・佐藤祐基・加藤虎ノ介 出演舞台「オーファンズ」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

細貝圭・佐藤祐基・加藤虎ノ介の3人が出演する舞台「オーファンズ」の公開稽古が、10月4日(水)に都内で行われ、取材会には演出のマキノノゾミ氏も顔を揃えた。

9J9A9712-2a佐藤祐基・加藤虎ノ介・細貝圭

心に残る名作として名前が挙がることが多い「オーファンズ」。世界各国で30年以上に渡って上演され続け、数々の名優たちがこの作品を演じてきた。
生きるために、弟を守るために盗みを働き、歪んだ愛で弟・フィリップを支配するトリート(細貝圭)。粗暴な兄・トリートに閉じ込められ、外の世界を知らないフィリップ(佐藤祐基)。両親はいない。幼い頃に父は蒸発し、母は亡くなった。
愛を知らない孤児の兄弟を物語る第一幕・一場・二場が今回公開されたわけだが、社会の底辺の中で這いずりながら生きるしかない兄弟の異様な関係性を細貝、佐藤が体当たりで演じ、観客はものすごいエネルギーのぶつかり合いを目の当たりにすることになる。

9J9A9664-2aマキノノゾミ

演出のマキノ氏から「ビートを刻め」と言われたと話す細貝。翻訳劇という英語で書かれた原作の戯曲の中で、米国育ちの細貝の体の中には、英語の持つ独特なビートが刻まれているのではないだろうか。

9J9A9568-2a

細貝本人は「英語をしゃべっている時と日本語をしゃべっている時は、全く感覚的に別人になってしまうので、それを融合させるのはなかなか…」と言うが、佐藤が「(細貝は)トチった時とか(英語が)出ますよ。おぉ、アメリカー(と感じます)」と暴露する通り、この戯曲の中に流れているアメリカ的なリズムを感じ取っているような印象を受ける。

弟を呼ぶ「フィリップ」の発音がきちんとLになっているように感じ褒めると、マキノ氏が「そういうことにしとけ。(自分の)売りにしろ」と言われていた細貝。一幕冒頭しか公開されなかったが、細貝の中に息づいている米国的な素養がどうこの先の舞台でどんなビートとなって現れるのか全編をみるのが本当に楽しみだ。

9J9A9621-2a

一方で外の世界を何も知らない、兄によって抑圧された純粋無垢なフィリップを演じる佐藤。すでに「膨大なセリフも頭に入り、台本から離れて、一番楽しい(役を)探求する作業に入っている」と話す。舞台稽古開始前からまるでそこにフィリップがいるように、振る舞っている姿を見ていると、「頭も心も体もフル回転」で役に入り込んでいるのだろう。

この二人の関係性が、「理屈じゃなくてとにかく(役に)没頭している」と話す加藤演じるハロルドの登場で水面に投げ入れられた小石が徐々に波紋を広げていくようにトリートとフィリップの兄弟の関係に変化をもたらしていくのが見どころとなる。ハロルドが投下するのは「愛」という名の小石。今回の舞台稽古では登場しただけとなってしまったが、マキノ氏が「一幕と二幕ではがらっと変わる」と話す通り今後の舞台で慈愛に満ちたハロルドが、乾いてひび割れた大地を潤すように兄弟の心を癒していく様をどのように演じるのか楽しみだ。

9J9A9595-2a

人間の弱さも強さもしっかりと繊細に描かれているこの戯曲。「人間がむき出しになっている話なので、俳優が嘘をつけない。むき出しにしてそれぞれぶつかり合わなければいけない」ところに魅力があると語るマキノ氏。演じる細貝はそんな人間の本性や細やかに描かれた心理描写に「本当に繊細なお芝居」、佐藤は「噛めば噛むほど味が出る作品」とこの舞台を表している。

9J9A9584-2a

人間がむき出しになるという作品では、やはり誰が演じるのかで作品の色が相当変わってくるだろう。細貝が「「僕らにしかできない色の『オーファンズ』になっている」と語るこの舞台。その色がどんな色に染まるのか、舞台稽古を見たからこそ、また新たな名演の誕生を否が応でも期待してしまう。

9J9A9649-2a

「オーファンズ」10月14・15日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで開幕し、10月18日~22日に東京・草月ホールで上演される。

公式ホームページ http://www.orphans-stage.com/

 

トップ > PICK UP > 新たな名演誕生に期待 細貝圭・佐藤祐基・加藤虎ノ介 出演舞台「オーファンズ」

Pick Up(特集)

error: コンテンツのコピーは禁止されています