取材:記事・写真/RanRanEntertainment
人気俳優ヒュー・ジャックマンが主演を務める映画『フロントランナー』が2月1日(金)から全国でロードショーされる。本作のPRのためヒューが来日し、1月21日(月)都内にて記者会見を行った。『フロントランナー』とは米大統領選で当選確実と言われていた最有力候補(=フロントランナー)と呼ばれたゲイリー・ハート(ヒュー)が、たった一つのスキャンダル報道によって政界から葬られた事件の真相に迫るサスペンス・ドラマ。
会見冒頭ではパトリック・ハーラン(パックンマックン)が登場し、この作品の主人公であり実在の人物ゲイリー・ハートについて基礎的な情報を解説。1988年当時のハートがどれだけ人気だったのか、またこの事件以前のジャーナリストは政治家のプライベートには踏み込まない「紳士協定」(暗黙の了解)があったにもかかわらず、ゲイリー・ハートだけが糾弾された点について詳しく説明した。
その後会場に姿を現したヒューは「オハヨウゴザイマス」と日本語で挨拶し笑顔を浮かべた。ヒューは本作について「いろんな疑問が湧いてくると思う」と語り、「ぜひ皆さんに観ていただき、楽しんでいただき、議論をしていただきたい」と「ヒュー・ジャックマン流本作の楽しみ方」を指南していた。
ここ最近はミュージカル映画『レ・ミゼラブル』『グレイテスト・ショーマン』さらにはアクション映画『ウルヴァリン』シリーズなど、華やかさやド派手さを持つ作品に出演していたが、一転して『フロントランナー』は政治家のスキャンダルを扱う重厚かつシリアスな作風。本作への出演を決めた理由について、ヒューは「ジェイソン・ライトマンと仕事する機会を待っていた」と監督の名前を挙げた。「『JUNO/ジュノ』『サンキュー・スモーキング』『マイレージ、マイライフ』など彼の作品が大好きなので、いつか彼の作品に出たいと願っていた」と語るヒューは「ライトマンが演出するキャラクターは、どこか白黒はっきりしない複雑さがあって、いろんな感情を揺り起こしてくれる。また、政治家とジャーナリズムの関係を変えてしまった内容にも引き込まれた」とライトマン作品の特徴と共に本作の魅力に触れていた。
会見前のパトリック・ハーランの解説にもあったが、「ジャーナリストが、大統領候補の記者会見の席で『あなたは不倫をしていますか?』『浮気をしていますか?』と質問するような事は(ゲイリー・ハートの事件)以前は絶対にありえなかった。また3人の記者が路地裏で待ち伏せして、夜中の2時に彼に質問するなんてこともありえなかった」と、この事件がジャーナリストと政治家との関係のターニングポイントとなった事を改めて説明したヒュー。実はヒューが俳優を志す前に目指していた職業こそがジャーナリストであり大学時代にジャーナリズムを学んでいたとのこと。
そんなヒューの目からみた現代の政治家そしてジャーナリストについて「情報化社会となった今、すぐに決断をしないといけない時代になった。反省したり、考え直す時間すらない。昔は翌日の新聞に載せるといっても、取材してから締切まで時間があったが、今はインターネットで即出ししないとならない。そんな中、質の良い原稿を書く事がどれだけ難しい事かよく分かってる」と目の前にいるジャーナリストたちに尊敬の念を伝えていた。
「スキャンダルで政界を追われたゲイリー・ハートは多くの物を失ったが、逆に得たものはあったか?」という質問が飛ぶと、ヒューはゲイリー本人から直接聴いた話を踏まえ「大統領選挙戦を辞退したのは家族と選挙自体の神聖さを守りたかったんだと思う」と自論を展開。また「ゲイリーは最近、妻との61回目の結婚記念日を祝ったそうだ」と報告。スキャンダルがあっても夫婦生活は今も平穏無事であると紹介していた。
映画『フロントランナー』は2月1日(金)より全国ロードショー。