
柄本佑の最新主演、坂⻄未郁監督による映画『メモリィズ』の大分県竹田市凱旋上映会が5月30日(土) に竹田市総合文化ホールで行われ、柄本佑と坂西未郁監督が登壇した。本作は6月12日(金) 新宿ピカデリー、ユーロスペース他にて全国公開される。
竹田市は、大分県の南西部に位置し熊本県と宮崎県に隣接、くじゅう連山や阿蘇山などの山岳に囲まれ、竹田湧水群を持つ、自然豊かな地域。市内の中心部は岡城の城下町として栄え、岡藩時代の面影も色濃く残る武家屋敷通りは、本作の撮影でも使用された。
冒頭の挨拶で坂西監督が「竹田市の皆さんにこの映画をご覧いただくのは、なんか、彼女と実家に行くような、妙な緊張感がありました(笑)」と述べると会場は一瞬にして笑いに包まれた。早速、竹田市の撮影で印象に残っていることを尋ねられると、柄本は「撮影における楽しみってわりと食事だったりするんです。現場の士気に関わる問題で。今回は完全に竹田市に胃袋をつかまれた撮影でした。美味しいものが本当に多かったです」と振り返った。坂西監督も食の豊かさに同意しながら、さらに「ロケハンの時に町を回らせていただいて、その時に撮りたいと思った場所での撮影を、ほぼ全て叶えてくださいました。これは、市民皆さんのご協力がないとできないことで、僕の思い描いた世界を協力して作ってくれたことは、完全にこの映画の力になっていると思います」と、撮影に対する全面協力に感謝の気持ちを伝えた。

そして、映画の中で一番好きなシーンや風景の話に。柄本は「野焼きのシーンは当然ながら現場も緊張感がありとても印象に残っていますが、ひとつ、僕が散歩しているシーンで、坂道に牧草の塊が転がっていて、その左側に普通にまっすぐの道がある場所があるんですが、このシーンが竹田市の撮影初日だったんです。この映画では色々な道を歩かせてもらいましたが、やはり撮影初日はだいぶ緊張しますし、監督とのコミュニケーションの始まりでもあったので、あの場所は非常に印象深い場所になっています」と、竹田市の撮影の始まりの場所を挙げた。
坂西監督は、「雄太がアパートから降りてきて、スマートフォンを車に設置して、運転しながら高原を抜けていくという映像。あれは実際にスマートフォンで撮った映像を映画の中に入れています。僕が初めて竹田市に来た時に阿蘇から入ってきたので、まさにあんな感じで車のフロントガラスに自分のスマホを向けて撮った景色があるのですが、その方法をそのままこの映画に活かすことができたことがすごく嬉しいと思っています」と、ロケハンからつながる景色を挙げた。
ここから、観客からの質問に答えることに。「セリフは少ないけど、たまに笑えるシーンがありました。イッセー尾形さんはアドリブだったんでしょうか?」という質問があがると、坂西監督は「実際に脚本に書いてあるシーンもありますが、基本的に僕は必要最低限のセリフしかに書いていなくて。イッセーさんは観客に見せるという意識を常に持っているので、僕の脚本にアドリブでユーモアを入れてくださっています。それを、佑さんがその空気感のまま受け取ってくれているシーンを見た時に、実際の義理の父と息子の姿のように見えました」と、ふたりの現場でのケミストリーを明かした。

観客からの質問を受けた後は、土居市長が登壇、江戸時代から続く竹田市の伝統工芸品である「姫だるま」を二人に手渡し、「この素晴らしい作品を世界に広げていきましょう!」と観客に力強くアピールした。
最後に柄本から「本当に竹田市の皆様のご協力なくしては、この作品は出来上がっていません。僕もこの竹田市という素晴らしい場所に出会えて、本当に嬉しく思っております。ここからこの映画がどこまで広がっていけるかいうのは、皆さんにかかっています!何回でも観に来ていただきたいですし、1人につき 4人以上を誘っていただければ、今日は300人ぐらい集まっていただいているので、1200人は確保したなと思っております」、坂西監督は「この映画は脚本を書きながら同時にロケハンをしていたので、竹田市で体感したことをそのまま脚本に書いていくという作業でした。柄本さんが演じた雄太というキャラクターが東京から竹田市に来るという映画の始まりが、僕自身の今回の映画作りの始まりともリンクしています。竹田の皆さんの協力と愛情に助けられて、この作品が出来たと思っています。そしてここから、全国公開という、僕にとって人生初めての経験がまた始まります。自分の作った映画が、人生で一番沢山の人に見てもらっている状況がただ嬉しいので、どんな感想でも、面白くなかったでもいいので、何かに書いてくださったら、僕がいつでも探して読みます。本当にありがとうございました」と挨拶をし、イベントは温かい空気につつまれながら幕を閉じた。

雄太が九州の田舎町へとやって来たのは、足を骨折した義父が回復するまで身の回りの世話をするためだった。義父が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマホで撮った映像を交わす。大きな事件は何も起こらないが、日々の些細な出来事と、その記録と記憶の連なりに、家族の人生という長い時間の存在が、静かに、鮮やかに浮かび上がってくる──。
映画『メモリィズ』 6月12日(金) より新宿ピカデリー他にて全国公開
配給:リトルモア ©︎2026LittleMore

