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2019年1月31日 10:20

【後編】菜葉菜、永瀬正敏&佐藤浩市との共演に大きなプレッシャーも「贅沢で幸せ」『赤い雪 Red Snow』インタビュー

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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——本作では、佐藤浩市さん演じる宅間隆との濡れ場のシーンもありました。濡れ場は今回が初とお聞きしましたが…。

見せられるものじゃないんですが(笑)。私、24歳の時の体が一番良かったんですよ!なんであの時に濡れ場のお話が来なかったのかなって思います(笑)。

でも、私は、もともと、濡れ場に全く抵抗がなかったんです。昔からボーイッシュで、濡れ場をするようには見られなかったですし、縁がなかったんですが、自分ではやりたかったといったら変ですが…抵抗はなかったんです。田中裕子さんが大好きなんですが、彼女の作品でも濡れ場はたくさんありますし、海外の映画でも当たり前のようにあるのに、なんで日本の映画にはないんだろうと思っていました。そういうシーンができるなんて、それこそ女優。かっこいいなって思っていたんで、自分から「私、脱ぎたいんです」くらいのことを言ってました(笑)。なので、今回、ようやくきて、逆に嬉しかったです(笑)。

今回の濡れ場は、無理にでも脱ぐというものではなく、作品の中で絶対に必要なシーンなので、私自身も「待ってました」という気持ちでした。しかも、初めての濡れ場の相手が浩市さんなんて、なんて贅沢なんだろうって。今回、浩市さんは爪を伸ばされたり、歯を黄色くされたりと、ビジュアル的にも作り込まれていて、これまでに見たことがないような浩市さんでいらしたほど、役作りをされていましたし、濡れ場のシーンはお任せで、好きにしてくださいと。脚本の中には「獣同士が交わう」と書いてあったのですが、お互い、切っても切れない、憎いのに離れられない、どこかでしがみついて依存してしまうという関係が表現できていればいいなと思います。

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——映画を拝見して、日本映画らしさも強く感じる作品だと思いましたが、そう言った「日本らしさ」については菜葉菜さんもお感じになられましたか?

現場に入る前に、監督から「菜葉菜さんがこの役をやる上で、足りないものがある。舞踏を習ってほしい」って言われたんです。それで、舞踏を習ってから現場に入ったんですが、監督自身も日本の伝統芸能に通じていらっしゃるので、作品にもそういった監督のルーツが入っているんだと思います。

——先ほど、佐藤浩市さんのお話が出ましたが、W主演を務められた永瀬さんについてもお聞かせください。

永瀬さんは私がこの仕事をやろうと思った、目指したときから日本映画を代表する俳優さんで、ずっと観てきた方です。スクリーンが似合う俳優さんで、こういう風な俳優の歩みができたらすごく素敵だなって憧れていた俳優さんだったので、共演できてすごく嬉しかったです。これまでも同じ作品に出演したことはあったのですが、お芝居で絡んだのは今回が初めてだったので。

今回、誰もが知っている俳優の方々の中で、ヒロインとして一緒にお芝居ができるというのは、本当に贅沢で幸せなことだと思いました。でも、その分、観終わった後に、「なんでこいつが出ているんだ?」って思われたくないというプレッシャーや自分の中での葛藤も大きかったんです。小百合という役柄的にも、誰よりも強くいないといけないと思っていたので、役者としても引いちゃいけないと、思い切り行こうと現場では常に意識してました。でもやっぱり、現場では緊張しますし、浩市さんをはじめ、お芝居をするときは空気がガラッと変わる、オーラを持った方ばかりなんですよ。飲まれちゃいけないと思いながらも、飲まれそうになる自分もいて…そういう戦いを自分の中でしていて、現場では勝手に孤独感を味わっていました。あれだけ監督ともディスカッションをして、思いを共有して現場に臨んだのに、監督のことも「なんで私の味方をしてくれないの?」なんてマイナスに思っていましたし…どうしてそう思っていたのかわからないんですが(笑)。でも、撮影が終わって、冷静になった時に、役者さんたちもスタッフさんたちも、皆さんに助けられて、支えられて、見守られていたことにやっと気づけました。

特に永瀬さんは現場で面白いことを言ってきたりと、よく話しかけてくれたんです。一希のような役を演じる時には、全く喋らず、目も合わせないような方なのかなと思っていたので、意外に思っていたんですが、こうやって取材を受けている時に永瀬さんが「昔の自分を見ているようだった。まっすぐになるのは時にいいこともあるし、マイナスになることもある。でも、それは、今の自分だからわかったこと。だから、ちょっと力を抜いたほうがいいよって意味で話しかけるようにしてた」とお話しされていて…私のことを考えて冗談を言ってくれていたことに初めて気づいたんです。ああ、本当に私は自分のことしか見えていなかったんだな、皆さんに見守っていただいていたんだなと、改めて感じました。

——それだけ役に没頭されていたんですね。。

そうですね。やっている時は一人でもがき苦しんで辛かったけれど、そういう役ができたことはすごく贅沢でしたし、ありがたいことだなと思います。

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——ところで、菜葉菜さんは数々の映画に出演され、今や「インディーズ映画の女王」なんて言われてますが、それについて、ご自身ではいかがですか?

嬉しい言葉ではありますが、全然、女王ではないですよ(笑)。私は、保育士からこの仕事に転職して女優を始めたのも遅かったですし、決してビジュアル的にも綺麗とか可愛いわけでもないので、亀のようなあゆみで進んでいると思います。ビジュアル的なコンプレックスもありましたし…。例えば、同期の子が可愛くてポンと売れたりすると、ビジュアルが良かったからだなって卑屈になったりもしてたんですよ。でも、今は、一歩ずつ進んできたことで、この作品にも出会うことができました。「インディーズの女王」なんておこがましいですが、いつか「映画女優といったら菜葉菜」と皆さんに思ってもらえるような存在になりたいと思います。

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——ありがとうございます。最後に、読者へメッセージを。

この作品は、明るく楽しく笑える映画ではありませんが、見終わった後に、自ら考えて、そして誰かと話したくなるような映画です。今は、そういう映画はなかなかないと思いますが、特に若い人にはこれも映画なんだよと伝えて、何かしら感じていただけたら嬉しいなと思います。

映画『赤い雪 Red Snow』

出演:永瀬正敏、菜葉菜、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市、吉澤健、坂本長利、眞島秀和、紺野千春、イモトアヤコほか
脚本・監督:甲斐さやか
製作:「赤い雪」製作委員会
(C)2019「赤い雪」製作委員会
2月1日(金)より全国公開

公式サイト https://akaiyuki.jp

 

 

 

 

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