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2019年8月23日 18:00

【前編】松岡広大インタビュー 映画『いなくなれ、群青』で見せた明るさの中の憂い「暗さや脆さを表現したかった」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

謎だらけの島を舞台にした唯一無二の世界観と、心に深くくさびを打つような美しい文章で熱い支持を受け、シリーズ累計100万部突破のベストセラーとなった河野裕の小説を実写映画化した『いなくなれ、群青』が96日(金)から公開される。悲観的な考えを持った主人公の七草役を横浜流星が、真っ直ぐに正しいことに向かって突き進む真辺由宇役を飯豊まりえが演じる。そして、ゲームが好きな二人のクラスメイト・佐々岡を松岡広大が印象的に体現する。今回、松岡に作品への思いや撮影時の思い出を聞いた。

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――撮影前に原作を読まれたと思いますが、最初にお読みになった時の印象は?

 言葉の紡ぎ方がすごく丁寧だなと思いました。日本語ってこんなに美しかったんだと思わせてくれる表現を多用されていると感じました。それから、情景を書く描写が多く、その文章で幻想的な世界観がすごく伝わってきました。原作は、全編を通して七草の主観で物語が進んでいくので、それも面白かったです。ただ、僕は1回で原作を理解することができませんでした。なので、何度か繰り返し読んだのですが、読むたびに五感は気持ちよくて、音色がいい感じがして…そして、全体的に温度が低いという印象はあります。

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――その原作が、脚本となることで印象は変わりましたか?

 変わりました。少し温度を持ち始めたというか、暖かくなったなと思います。セリフがあって、それを生身の人間が話すことを考えたら、作品に生命の息吹が吹いた感じがしました。観客の皆さんも、見終わった後には、暗い印象を持つのではなく、明るく、スッとした気持ちになると思います。それが感じられる台本でした。青春群像劇に仕上がっていたので、一人ひとりにフォーカスが当たり、観やすい作品だなと思いました。

011s

――松岡さんが演じられた佐々岡は、どういう人物だととらえて演じていましたか?

明るい男の子なのですが、それは元気な振りにも見える。本当は元気なのかわからないと僕は思っているんです。きっと後ろめたいものや知られたくないような過去があって、だからそういう(憂いのある)表情ができるのか、と思うし、そう考えると合点がいくんです。ただの単純で明るい子というだけではないと台本を読んで感じました。

――佐々岡として一番印象に残っているシーンは?

あるシーンで、委員長に階段で呼び止められるシーンです。そこで、佐々岡は委員長から否定されるんですが、それは彼の怒りが溢れ、自分のやってきたことや信じていたことが玉砕してしまう瞬間でした。彼が一気に無力になって、気力がなくなっていく姿、彼の持つ暗さや脆さを表現したかったので、そこは芝居で気にしていました。

017s

――横浜流星さんとは、『兄友』以来2回目の共演ですね。松岡さんから見て横浜さんはどんな印象の方ですか?

何に対しても物腰が柔らかいので、僕たちもすごく現場にいやすかったです。それから、お芝居に関しては、流星くんは何でも受け応えてくれます。撮影が終わって話をしていれば、よく笑いますし、本当にいい人だという印象しかないです。一緒に仕事していても、何のストレスもなく、僕も純粋に芝居に打ち込んでいます。

――今回は、女性キャストも多い中での共演だったので、ロケ中は二人で一緒に行動することも多かったのでは?

そうですね、夜も一緒に買い出し行ったり、温泉に行ったりしていました。ゆっくりお風呂に入りながら話したりしました。

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――同世代の俳優が多い現場ですが、ライバル心が芽生えたり、そういった意味での意識をしたりということはありますか?

あまりないですね。自分は作品に貢献したいと切に願うので、ただ役者・松岡広大ができることをこの現場でぶつけないといけないですし、爪痕を残そうと思って演じていました。毎回どの現場でもしっかりと協調性を持ってやろうと思っていますし、ライバル心はないです。1ヶ月近くも地方でロケをして一緒にいて、芝居をすることはあまりない機会なので、むしろ同世代が集まったことに感謝していますし、同世代に囲まれてお芝居をする面白さも感じました。

後編に続く

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映画『いなくなれ、群青』は96日(金)から全国公開。

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■原作:河野裕『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex)
■出演:横浜流星 飯豊まりえ
    矢作穂香 松岡広大 松本妃代 中村里帆
    伊藤ゆみ 片山萌美 君沢ユウキ 岩井拳士朗/ 黒羽麻璃央
■監督:柳明菜
■脚本:高野水登
■音楽:神前暁
■主題歌:Salyu「僕らの出会った場所」
■主題歌プロデューサー:小林武史
■公式サイト:inakunare-gunjo.com
公式ツイッター:https://twitter.com/InakunareG
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/inakunare_gunjo/
■配給:KADOKAWA/エイベックス・ピクチャーズ
■コピーライト:(C)河野裕/新潮社 (C) 2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会 

 

 

 

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