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2019年8月29日 15:02

【後編】東儀秀樹インタビュー 多彩な楽曲が詰まったニューアルバムは集大成となる作品に

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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――今回、息子さんの楽曲もラインナップされていますね。

今回のアルバムでは、息子の曲は「大地の鼓動」と「明日の風」という2曲が入っています。「大地の鼓動」は、息子が好きなロックバンドのピンク・フロイドを意識して作ったと言っていました。僕も聴いたら、本当にピンク・フロイドの空気感を感じたんですよね。ベーシックなトラックは、彼が作ったものを使ってみようと思って、ドラムやピアノは彼が弾いた音を利用しています。

それから、「明日の風」は、彼が東儀秀樹風に作ってみたという曲でした。彼は、僕のステージを何回も見に来ていて、僕の曲の雰囲気を誰よりも良く知っている。彼の中には僕らしい曲というのがあって、それを作ってくれました。ピアノ曲として彼は録音していましたが、アルバムに収録するにあたっては、アコースティックギターと篳篥でメロディーをとったらオシャレかもしれないと思って採用しました。

音楽はプロだからとかプロじゃないからとかは関係ないですし、ジャンルも関係ないし、人種も関係ない。面白いと思ったら面白がればいいと思っています。子どもだからまだ早いとかもなく、僕が面白いと思ったから収録した、そういう自由な感覚で音楽は考えるものだと思うんですよね。

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――8月10日からは、バヴァイオリニストの古澤さんとアコーディオニストのcobaさんとともに、「東儀秀樹×古澤巌×coba TFC55ツアー」と題したツアーもスタートしました。このお三方でのツアーは今回がラストになると発表されていますが…。

このユニットは今年で6年目になりますが、みんな同い年で今年、全員が還暦なんです。今回が最後のツアーにはなりますが、これは意見が食い違ったからとか飽きたからということではなく、60歳という節目に、改めて自分がやりたい方向を純粋に見つめ直す時間も大事にしてみようかということで決めたことです。終わりというより、節目だから一休みという感覚に近い。もしかしたら、今後、単発のライブは行うかもしれません。

僕にとってこのユニットはお互いにとても刺激しあえる、楽しいものでした。全く違うジャンルの、しかもそれぞれがそれぞれの頂点をいっているようなオンリーワンの人たちが集まっていたから、ステージ上で本番だから生まれる勢いが楽しくて、新しい自分を発見することも多かったです。

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――改めて古澤さんとcobaさんは東儀さんから見てどんな方ですか?

多くの方が、この三人の中で一番慎重で真面目だと思うのは東儀秀樹ではないですか? それは、僕が元宮内庁職員であって、1400年の歴史のある家柄で雅楽をやっているという背景を見て、先入観でそう思うんだと思いますが、実は僕が一番「当たって砕けろ」タイプなんですよ(笑)。古澤さんやcobaさんは、ものすごく慎重で、何事もしっかりと構築してから臨むタイプです。古澤さんとcobaさんが、何度もリハーサルを重ねて、こう弾くということを決めてステージに臨むのに対して、僕はなるべく練習をしないで臨む(笑)。僕、練習も努力も大嫌いなんですよ(笑)。彼らは、本番の直前まで練習している音が楽屋から聞こえてきますよ。古澤さんも、「自分は努力をしないといられないタイプで東儀くんとは真逆」と言っていました。でも、タイプが違うからこそ、面白くて、こうやって盛り上がるのかなと思っています。

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――今回のツアーではハワイでの公演もありますね。

ツアーの一環で11月に行います。日本を離れてハワイを訪れることで非日常を楽しむことができると思いますが、さらにそこで非日常の音楽を楽しんでもらえればと思います。幻想的な瞬間が味わえて、レアな時間になると思います。

――そのほか、全国各地を回られますが、ツアーにはどんな期待がありますか?

期待は特にありませんが、毎回、僕は誰よりも楽しんでいるので、今回もそうなると思います。ツアーの面白さは、場所場所でお客さんの反応がすごく違うことにあります。同じ曲でも、反応は全く違うんですよ。同じ曲をやってもお客さんの雰囲気も違っていて、こちらが予期しない楽しみが味わえるんです。それがあるから毎公演、すごく新鮮に演奏が楽しめます。

雅楽師・東儀秀樹とヴァイオリニストとアコーディオニストと聞くと、どんな堅苦しいものなんだろうとか、どういう聞き方をすればいいんだろうと、躊躇する人もいるかもしれません。でも、とにかく来てもらいたい。堅苦しいものでは決してなくて、飛び跳ねてリズムをとるようなアグレッシブなコンサートなんです。もちろん、しっとりと聴かせる曲もありますし、古典雅楽調の曲もやりますし、幅広い音楽をお聴かせいたします。ジャンルに関係なく、楽しむというのが音楽なんだなということが伝わるコンサートになっていると思います。

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――最後にファンの方へメッセージを。

雅楽は堅苦しいと思われがちですが、雅楽も「音楽」です。音楽はとても自由なもので、それはどんなものでも人が楽しむためのもの。僕は、それを雅楽でも証明できる自信があります。今回の楽曲は、古典もあればロックもある。これこそが東儀秀樹です。アルバムの聞き方もツアーの聞き方もありません。自由に寄り添って、楽しんでいただければ嬉しいです。

東儀秀樹「ヒチリキ・ラプソディ」は8月7日(水)発売。ハイレゾ含むデジタル配信同時リリース。

「東儀秀樹×古澤巌×coba TFC55ツアー」は8月10日(土)よりスタート。全国およびハワイで全19公演を予定。

 

 

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