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2019年11月19日 12:00

【前編】鼓童ワン・アース・ツアー2019『道』インタビュー 齊藤栄一・地代純「鼓童の歴史、心、伝えたいものが詰まった舞台です」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

1981年、ベルリン芸術祭でデビュー以来、佐渡を拠点にしながら、50の国と地域で6,500回を越える公演を行っている太鼓芸能集団 鼓童。現在、鼓童は5月から始まった、ワン・アース・ツアー2019『道』のツアー中である。中心的舞台メンバーの齊藤栄一(さいとうえいいち)さんと、『道』にはこの秋のツアーから初参加の地代純(じだいじゅん)さんに『道』の見どころや「鼓童」について語ってもらった。

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(左から)齊藤栄一  地代純

―公演中の『道』についてお聞かせください。

齊藤:『道』というタイトルそのものに表れているのですが、僕たちがこれまで歩んできた道、鼓童の前身の「佐渡の國 鬼太鼓座」時代から鼓童の結成当初、そして今に至るまでの歴史を舞台で表現しているものです。グループを立ち上げるために佐渡に集まった先輩方が、どの様な思いで太鼓を叩きどんな壁にぶつかりながら進んできたのかを学び、それを現在に反映させて生かしつつ次の世代に伝えることが新たな道に続く。簡単にいうとそういう意味合いの舞台です。

内容的には「佐渡の國 鬼太鼓座」の時代の演目・鼓童になった時に作った曲・新人メンバーが今回の公演のために作った曲もプログラムに入っています。舞台を創り上げる中では単に曲を教えるのではなく、技術・知識や経験などを受け継ぐことも『道』につながっています。

―『道』の公演は2015年に初演以来、4回目ということですが、17年18年に引き続き、今年もやろうということになったのはどうしてですか?

齊藤:『道』は歴史なので鼓童が続く限り途切れることはありません。この一年を振り返っても様々な経験を通して人は成長しています。メンバーも毎年入れ替わり新人も入ってきます。成長した自分が新しいアイディアを取り入れることによって『道』はどんどん進化します。そう思うと、もし何年後かに再演された時の『道』の進化も楽しみですよね。

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―佐渡の研修所について教えていただけますか?

齊藤:鼓童のメンバーになるためには、先ず研修所で2年間勉強をして試験に合格しなければなりません。研修所の生活はテレビ・携帯電話・恋愛は禁止。食事は当番制で自分たちで料理します。施設は廃校になった木造の中学校。朝は5時に起床して一日が始まります。日曜日はお休みですが、それ以外は朝から晩まで太鼓や歌や踊り、また茶道・能の稽古や農作業などもします。そして舞台に上がるための色々な稽古の中で、とても大切にしているのがお米作りです。えっ?て思われるかもしれません。現在たくさんの人々がパフォーマンスとして楽しく太鼓を叩いていて、それはそれで良いことですが、元々は神様に祈りを捧げるために叩かれていました。

凶作が続いて米が取れなければ人々は飢えて死んでしまいます。家族や村を守るために雨乞いをし豊作を祈願して「命がけ」で太鼓を叩いてきたのです。我々はその様な背景を持つ太鼓を舞台で演奏しているのですから、「単に楽しく演奏してお客様が喜んでくれたら良い」ではいけないんだと云うことを、2年間しっかりと体験してもらっています。

また鼓童は「ワンアースツアー」と銘打って世界ツアーを行っていますが、それはその昔、太鼓の音が聞こえる範囲が「村」と云う単位だったとの話があり、そうであれば我々は太鼓を持って世界中を回り、太鼓が聞こえる範囲を広げて、世界が一つの村になる「ワンアース」を夢見て活動していることも、研修生に伝えたいことの一つです。

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―地代さんはいつ入られたのですか?

地代:2011年に高校卒業して研修所に入りました。2年間佐渡の研修所でたっぷり。
齊藤:二度と戻りたくないよね。
地代:そうですね (笑)

―もともと太鼓のクラブに入っていらしたそうですが?

地代:千葉県の高校だったのですが、和太鼓部がありまして、そこで初めて和太鼓に出会い、3年間やって鼓童に来ました。

―研修所に入っていかがでしたか?

地代:先ほど齊藤の言葉にもありましたが、田んぼの他に、茶道やお能の授業もあり、太鼓だけでなく日本の伝統的な文化や所作など様々なことを学べる場でもあって、そういうものが全部舞台に生きていて、自分の人間形成にすごく力になっている気がしています。とても濃い2年間でした。デジタルなものをすべて排除して、自分と太鼓と向き合うという2年間なのですが、それでいろいろ見えてくるものがありました。自分の弱さだったり、自分の大切にしている思いだとかがすごく見えてくる2年間です。

―研修所には何人ぐらいいらっしゃるのですか?

地代:だいたい12人くらいです。1年生から2年生に上がるときに選考があってだいたい8人ぐらいになります。

―厳しいですね

地代:研修生2年生から更に選考があり、準メンバーといってメンバーの卵のような形で1年間やるのですが、それになるのに僕らの代では8人から4人選ばれ、そこから正メンバーになったのが、3人です。ちょうど僕が舞台に立って6年目なのですが、今2人残っています。

―入るのにも試験があるのですか?

齊藤・地代:あります。

―地代さんは「道」には初めての出演ですか?

地代:この秋(9月)の公演から「道」に出ています。

―いかがですか?

地代:僕が今6年目なのですが、若手が坂東玉三郎さんに演出していただいたツアーが続いていて、それに僕も参加していたのですけど、チームの平均年齢が若く、大先輩たちと就けるツアーというのがここ数年あまりなかったんです。

『道』は鼓童の昔からの大先輩たちの技術だとか空気感だとか、本番までの気持ちの持って行き方だとか、所作とか、を見て学べる舞台だと思っています。それこそ毎日が勉強で、毎日発見があります。例えばオフの日の次の日の公演はこういう風に本番への気持ちを持って行っているとか、コンディションの整え方などすごく勉強になります。

―オフはどのように過ごされるのですか?

地代:コンディションにもよりますね。例えば5連続公演の後だったらほとんどの人が休んだりしますし。

齊藤:僕はまずは洗濯かなぁ(笑)

地代:衣装の汗がすごいので、手洗いしたり、あとはせっかく僕たちはいろいろな地域に行ける旅芸人なので、地域の美味しいものを食べたり、観光したり、その土地土地の空気感を吸収できる職業だと思うので、出歩いたりしています。

後編に続く~

鼓童ワン・アース・ツアー2019『道』日本ツアー

公演詳細 https://www.kodo.or.jp/performance

2019.11.20(水) 新潟県佐渡市 アミューズメント佐渡 大ホール
2019.11.23(土) 茨城県神栖市 神栖市文化センター 大ホール
2019.11.24(日) 千葉県八千代市 八千代市市民会館 大ホール
2019.11.30(土) 新潟県長岡市 長岡市立劇場 大ホール【完売】
2019.12.01(日) 新潟県新潟市 新潟県民会館 大ホール
2019.12.06(金) 神奈川県茅ヶ崎市 茅ヶ崎市民文化会館 大ホール
2019.12.08(日) 神奈川県相模原市 相模女子大学グリーンホール 大ホール
2019.12.14(土)、12.15(日) 京都府京都市 京都芸術劇場 春秋座
2019.12.18(水)〜12.22(日) 東京都文京区 文京シビックホール 大ホール

 

 

 

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