『砂の器』シネマ・コンサート 森田健作知事との特別対談開催!
2017/7/25 06:00
時を越える傑作『砂の器』だからこそ、シネマ・コンサートで!
大谷信義・松竹会長と森田健作・千葉県知事の特別対談
シネマ・コンサートは映画のセリフや効果音はそのままに音楽パートを生演奏するという、欧米発信の映画をライブ感覚で楽しむ新しいエンタテインメント。日本でも本格的なブーム到来となったシネマ・コンサートだが、これまで洋画作品の上演が中心。そんな中、満を持して日本映画の傑作『砂の器』が上演される。
後半の島根県・亀嵩のロケーションから参加した大谷会長は、「(野村芳太郎) 監督の頭の中には音楽がどう入ってくるかが、わかっている。でも我々や俳優さんには、それは知らされてないんです。後半であんな素晴らしい音楽が入ってくるなんて想像もしませんでしたから」と振り返る。
当時、青春ものを演じる事が多かった森田知事にとってシリアスな刑事役は初めて。野村芳太郎監督から「森田くん、台本をあまり読まない方がいいよ。読んじゃうと意識するから。青春ドラマのように溌剌とやれと!」と仰天の指示を受け、撮影現場では大いに戸惑った。「おかしかったら監督はダメだと言ってくれるだろうと、肩の力を全部抜いて」自然体で臨んだという。
野村監督の演出については「固めて演出するのではなくて、俳優さんにある程度自由に演じてもらって、それを組み立てていくというタイプの監督さんでした」と大谷。そんな野村流ともいえる独特の演出を象徴する撮影現場でのエピソードがある。高木理恵子(島田陽子)が列車の窓から散らした事件の手掛かりを吉村刑事(森田)が、這いつくばって探す“紙吹雪の女”のシーンだ。撮影は真夏の炎天下で行われたが、1日経っても2日経っても監督からOKが出ない。3日目にはさすがの森田知事も「ワタシの何がいけないんですか?」と問うと、「森田くん、あの雲の流れが気に食わないんだと」と返され焦れもピークに。「後からこのシーンを見ると雲なんか写ってない(笑)」。しかし3日間、森田知事を徹底的に追い詰めて撮った絵は「いい加減してくれよ!という顔にちゃんとなっているんです。これは大監督だな」と野村演出を感慨深けに振り返る。
さらに捜査会議のシーンでは、『じゅんぷうまんぱん(順風満帆) 』というところを丹波が間違えて『じゅんぷうまんぽ』と喋った箇所があった。しかしながらこの時は迫真に迫る緊張感を大切にしたいと結局カットしなかったそう。
大谷会長は「(俳優にも)観客と同じ立場で、先が読めないまま演じてもらいたかったんでしょうね。横で見てると、あまりピリッとした演出にみえないこともありましたが(笑)。そこを大事にしたのではと思います」と野村演出を分析。
俳優もスタッフも手探りの中で撮影が進められた『砂の器』だが、完成試写を見た森田知事は「出てよかった!感動しました。同時に、もっと一生懸命にやればよかった。でも一生懸命にやらなかった事が良かったのかなとも思いましたが(笑)」と4回試写を見て4回とも感動して泣いたという。一方、大谷会長も「涙が止まりませんでした。暗い試写室だったのでハンカチを堂々と出して泣きました。また、監督に騙されていたんだな(笑)と。シナリオの段取り通りに撮っている現場では、この迫力は全くわかりませんでしたから。映画の持っているエッセンスを全部もってる作品」に感動を隠せなかった。
いよいよ開催が迫った映画『砂の器』シネマ・コンサート。大谷会長は最初にこの企画を聞かされた時に、なるほど!『砂の器』だから、こういう事ができるんだ!と膝を打った。「松竹にとっても大切な作品。でも決して古典ではなく、何年経ってもくり返し見られ、その時代の名作であり続けるからこそ」と話せば、森田知事は映像と音楽の生演奏の組み合わせに「よく考えたものだなぁ」と感服した。「(この作品の)音楽を生で聴きたいという人も多いはず。何よりもワタシがいちばん見てみたい!」とシネマ・コンサートに期待を寄せた。
映画『砂の器』シネマ・コンサートのチケットは一般席が完売し、現在一部映像が見えづらいコンサートシート(見切れ席)を販売中。詳細は公式サイトを参照。