取材：記事・写真/RanRanEntertainment
11月末から、巨匠ゲルギエフとマリインスキー歌劇場が総力を結集した、『チャイコフスキー・フェスティヴァル 2019』を開催される。今回、ＰＭＦ（パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌）の芸術監督も務めるマリインスキー歌劇場芸術総監督ワレリー・ゲルギエフが、ＰＭＦを指揮するため来日。31日札幌公演、そして8月1日（木）サントリーホールでの公演の合間に、ゲルギエフが『チャイコフスキー・フェスティヴァル 2019』記者会見に臨んだ。
『チャイコフスキー・フェスティヴァル 2019』のプログラムは盛りだくさん。歌劇「スペードの女王」（新演出）、交響曲全６曲、ヴァイオリン協奏曲（ヴァイオリン：五嶋龍）、ピアノ協奏曲第１番（ピアノ：辻井伸行）のほか、「名曲ばかりでは面白くない」というゲルギエフの希望もあって、歌劇「マゼッパ」（演奏会形式）、ピアノ協奏曲第２番、第３番（ピアノ：セルゲイ・ババヤン）、ロココの主題による変奏曲（チェロ：アレクサンドル・ブズロフ）といった、非常に素晴らしい作品でありながら、なかなか聴くチャンスの少ない名曲を盛り込んだプログラムになっている。
今回取り上げられる２つのオペラ。「スペードの女王」は「2013年マリインスキーが新しいオペラハウスに生まれ変わり、最新の技術が導入され、そのパワフルな舞台に合致した新演出（ゲルギエフ）」で上演される。
もうひとつの、あまり知られていない名作「マゼッパ」について、ゲルギエフは「オネーギンを作曲した後のこのオペラはとても豊かで、オーケストレーションが重要な役割を果たしているが、歌の部分がドラマティックで豊かな声量とスタミナが必要なことから上演の機会が少ない」ことを明かし、「今回来日するキャストは今日のマリインスキーを支える歌手たちで、非常に強力。また『マゼッパ』はプーシキンの原作ということで、ぜひ興味を持ってゆっくりと聴いていただきたい」とアピールした。
今回の東京でのプログラムは11月30日から12月7日まで、過密なスケジュールで、特に12月7日にはマチネとソワレの演奏会が組まれている。「音楽にかけるエネルギーの源泉は？」という記者からの質問に対し、ゲルギエフは「音楽が私の近しい友のような存在。信頼できる友達であれば、友達と多くのことを為し得ることができます。あたかもそんな関係を音楽と築いてきたので、長いバケーションがなくても、そのお友達からエネルギーをもらうことができると考えています」と答え、ＰＭＦとの公演のあとウラジオストックで「パルジファル」を指揮することを例にあげ、「25年の歳月、その作品を常に頭の中に持ち続けながら、作品と密な関係を保てば、常に心地よくその作品と対峙し、演奏できると思います。より詳しく知れば知るほど、多くのエネルギーをもらうことができる。私には寝るときの枕からインスピレーションを得ることかありません」と語った。
巨匠ゲルギエフ＆マリインスキー歌劇場
チャイコフスキー・フェスティヴァル 2019
歌劇「スペードの女王」（新演出）
11月30日(土)15:00 東京文化会館
12月1日(日)15:00 東京文化会館
歌劇「マゼッパ」（コンサート形式）
12月2日(月)18：00サントリーホール
交響曲全 6 曲＆協奏曲 5 曲 オーケストラ公演
12月5日(木) 19:00サントリーホール （チェロ：アレクサンドル・ブズロフ）
12月6日(金) 19:00東京文化会館 （ヴァイオリン：五嶋龍）
12月7日(土) 13:00東京文化会館 （ピアノ：セルゲイ・ババヤン、辻井伸行）
12月7日(土) 18:00東京文化会館 （ピアノ：セルゲイ・ババヤン）
【各地の公演情報】
11月28日(木)19:00開演 福岡シンフォニーホール (ヴァイオリン：五嶋龍)
12月3日(火)19:00開演 アクトシティ浜松 大ホール (ヴァイオリン：五嶋龍)
12月8日(日)14:00開演 フェニーチェ堺 大ホール(堺市民芸術文化ホール) (ヴァイオリン：五嶋龍)
