取材：記事・写真/RanRanEntertainment
映画『恋する寄生虫』の完成披露試写会イベントが9月29日（水）、新宿バルト９にて行われ、Ｗ主演の林遣都、小松菜奈、そして柿本ケンサク監督が登壇した。
新鋭作家・三秋縋の「恋する寄生虫」を原案に、極度の潔癖症・高坂賢吾（林）と視線恐怖症の佐薙ひじり（小松）という孤独な二人が恋の病に落ちていく。それは彼らの頭の中にある虫の仕業なのか。臆病者たちの切なくも美しい“恋×虫”ラブストーリー。二人の運命の出会いに深く関係する重要な役に井浦新と石橋凌。柿本監督はCM やミュージックビデオなど多岐にわたり活躍し、現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバック映像も制作、本格的な映画を監督するのは今作が初となる。
舞台挨拶の冒頭、林は「異色のラブストーリーと言われていますが、幅広い世代の方に楽しんでいただけると思います」、そして小松は「ようやくお客さまに観ていただけることに喜びを感じております」、さらに柿本監督は「撮影したのは2020年2月末。撮影しながら世の中がどんどん変わっていく不安な日々を過ごしつつも、不幸中の幸いのような撮影でした。公開も延びましたが、この日を迎えられ嬉しく思っています」と公開を迎えられる喜びを噛みしめていた。
完成した作品を観て、林は「“虫”のイメージの映像やCGの部分がどういう仕上がりになるのか分からない部分がたくさんあって、出来上がった映像を観て柿本さんの腕というか、抜群のセンスある演出に感動しました。ラブストーリーじゃない部分の映像美、音楽など、楽しい作品になったと思います」、また小松も「私たちの役柄である潔癖症と視線恐怖症という見えない苦しみを抱えているところが、柿本さんの手によって体感できるというかCGによってその人の状況を感じられるところが新しいと思いますし、POPに描かれ、登場人物の抱えている気持ちやお互いにぶつかり合う部分も繊細に美しく描かれているし・・・。遣都さんとの冒頭のCG映像が目の保養になるような美しさでした」と二人とも柿本作品を絶賛した。
それを聞いた柿本監督は「ここまでの規模の映画を監督させてもらうのは初めてだったのですが、一番な大事な部分は原作として完成されているので、どういう形でそれを再現しようか、アップデイトしようかと考えました。この話では大事なものが全て目に見えないものなので、その見えないものをどのようにビジュアル化するかを入念に考えましたし、今までのキャリアをどのようにそこにつぎ込んでいくかがこの映画の個性になるかなと思ってチャレンジしました」と本作の狙いを明かした。
林と小松とは初共演。林は小松について「今まではクールなイメージを持っていたのですが、とても接しやすく、楽しかったです。とにかく周りに愛される方で、なっちゃん（小松）は、いつもスタッフの方と談笑しているイメージで、遠くから見ると誰がなっちゃんだか分からない（笑）。お芝居では何の遠慮もなく相談することができて、とても心強かったです」と話し、一方の小松も「現場が始まる前に、どうやって（二人の）距離を縮めていこうか考えたときに、あだ名を付けよう。（林のことを）ケント・デリカット（日本で活動する外国人俳優）にしよう！と思って、最初に呼んだら、『それって、別人じゃん』と笑われ、でも負けずにずっと呼んでいたら、『（その名前が）クセになってきたかも』と言われ、（本人にとってそのあだ名は）喜んでもらえたのかなあ。（自分が）小学生男子みたいになっちゃったんですけど、現場では遣都さんのお芝居に対するアプローチ、姿勢など、すごく真面目な方なので、自分が戸惑ったときには相談でき、また対処方法を考えてきてくださったので、本当に現場では（林に）助けていただきました」と現場でのエピソードを絡め、林に感謝した。
トークの後半ではタイトルにかけて、それぞれの恋する○○とは？と問われ、林は「恋するストレッチ」と即答、「今、舞台をやっていて、階段の上り下りがたくさんある役柄で、30歳にして初めて膝に痛みがきたんです。共演させていただいている演劇界の神さま、浅野和之さんに神さまのストレッチを教わり、痛みがなくなり体の調子もすこぶる良くなりました」と自慢げに答えた。
また、小松は「恋する塗り絵です。 “大人の塗り絵”という、ゴッホとかモネの作品を自分の創造で塗っていくことに嵌まっていて、2時間、3時間ずっと良い時間だなと思いながら色を塗っています。顔を緑に塗ったり（笑）、集中力が上がります」と楽しげだった。
そして、イベントの最後に、柿本監督は「普通、物語は人と出会ったり事件があって心が変化していくんですけど、タイトルにもあるように虫の仕業によって別のところで心が動いていくという、初め観ているときには、どっちが本心なのか分かりづらいというか、それが見えない線でずっと表面的な物語のラインと平行して走っていて、それがどこかで追い越したりするんですけど、見えているものの時間とそうではない水面下で流れているものをちょっと意識しながら観ていただくと、実は二人の気持ちの変化が実に上手に表われているんじゃないかと思います。その辺を注目していただくとすごく楽しめる物語になっていると思います」と締めくくった。
映画『恋する寄生虫』は11月12日（金）より全国公開される。
