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2022年7月9日 05:00

間宮祥太朗「“シンプルにいい映画”との喜びを教えてくれた」、矢本悠馬「間宮のシーンを観て泣いてしまった」 映画『破戒』初日舞台挨拶

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

映画『破戒』の初日舞台挨拶が7月8日(金) 東京・丸の内TOEIにて行われ、主演の間宮祥太朗、共演の石井杏奈、矢本悠馬、そして前田和男監督が登壇した。

 

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過去に名だたる巨匠が映画化してきた島崎藤村・不朽の名作「破戒」が再び映画化。間宮演じる主人公・丑松は自らが被差別部落という出自に苦悩し、そして最後にはある告白をする難役に気迫の演技で挑み、石井演じる志保は、丑松に恋心を寄せつつも、なかなか思いを告げられない控えめな女性を演じる。そして、悩める丑松を支える親友・銀之助を矢本が演じている。

 

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間宮は丑松という役について「とても大事な役であり、抱えているものから来る重圧を感じていたのですけれども、“シンプルにいい映画だな”と自分の出演作品に対して思えることの喜びを教えてくれた作品でした」と満足げに語り、石井は「撮影のときはお着物を着た間宮さんとずっとご一緒だったので、ずっと丑松さんだなと思って見ていたんですけど、取材や完成披露会で間宮さんが話されている姿を見て、“すごい思いを背負ってここに立っている”、“本当にたくさん考えて演じていたんだ”ということを知ることができて、私も『破戒』への愛がもっと深まりました」と間宮の姿を称賛した。

 

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続いて、どうですか?と問われた矢本は「スーツがパツパツです、筋トレの成果で。朝も行ってきたのでパンパンです」と笑わせ、「僕としては現場に友達がいるというやりづらさの中、こうやっていい芝居ができたということで、自己評価が高いと思います」と胸を張った。

撮影中に間宮に泣かされた件について問われ、矢本は「(丑松が自分の素性を)生徒に告白するシーン。教室内をメインに撮影しているときは、自分の芝居のリアクションをより神聖に保ちたいとことで外のベンチで待機して、中の撮影が終わって(続いての銀之助のシーンでは)僕の方にカメラが向く・・・。生徒の皆と祥太朗が僕のリアクションを取るために、お付き合いで芝居をしてくれたんですけれど、その現場の空気感全てが良くて、思わずね。そんなつもりはなかったんですけれどもね。泣いちゃったねえ」と苦笑。

間宮は「あれはうれしかったね。1日かけてあのシーンを撮影して、朝から生徒たちと向き合っていて・・・。銀之助に対しての丑松の思いと、自分と悠馬との関係性も含めて、ただお付き合いという感じじゃない、しっかりとこちらの芝居も受けてほしいという思いがあった。でも役どころとしては泣かない方が・・・」と振り返った。矢本も「僕自身も銀之助自身もあの空間に感動してしまったっていう結果なのでお許しください」と平身低頭。前田監督は「間宮さんと矢本さんの関係は、まさに丑松と銀之助の関係そのまま。どこまでが現実でどこまでがフィクションなのかよく分かんないような感じですね」と評価、「石井さん演じる志保と丑松の関係はあの映画と同じように微妙な距離感。控え室でもその距離感のままで、いい雰囲気を醸し出していましたね」と絶賛した。

 

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石井は撮影中に大変だったことを聞かれ「所作が大変でした。結構丁寧にやらなきゃいけなくて、ずっと正座していたり、立つときにはつま先立ち。使ったことのない筋肉を使いすぎて次の日は筋肉痛になっていました」と振り返った。

台詞回しについて、矢本は「台本を見たときには、できるのかな?と。この時代(明治)の言い回しに慣れていけるのかという怖さがあったけれど、現場入ってやってみると普段使わない感じも逆に楽しめて、台詞を変えるのではなく、そのままやった方が作品にはフィットしていくのかなあと思った。アドリブの多い俳優なんですけど(笑)、今回は真面目にやりましたよ」と回想した。

間宮は「日本語の美しさっていうか、自分たち俳優が台詞を吐くことによって、登場人物が喋っているようなリアリティを入れつつも、その美しさを壊してしまっては元も子もないというか、その美しさを含んでいるのがこういう作品の良さだと思っているので、台詞の響き方には気を付けたし、意外と台本で見ると、かなり硬いとか回りくどいと思うんだけど、やってみるとその方が馴染む。なんか日本人だからですかね。意外とフィットしましたね」と納得していた。

さらに、間宮は「監督は距離感をとても大切にしていました。丑松と志保の距離感では、手が触れるか触れないかのところで、おっとっと(笑)と繊細な恋愛の日々を現場で作ってくださいました」と恋愛話にも触れ、前田監督は「『破戒』を読み直していくうちに、これは希望に向かっていく『ロミオとジュリエット』の話かなと、それを丑松と志保に重ね合わせた感じですね」と意外な狙いを明かした。

 この後には、最終シーン撮影が降雨の影響で7回も延期となったというエピソードも飛び出した。間宮「映画の余韻に繋がる大事なシーンだったから、常にいつ来てもいいような心持ちで準備していた」、矢本「僕は東京の仕事もあったので、いざ(撮影地の)京都に行ったり来たりでホテル代を無駄遣いした感じ」、前田監督「大雨で(最終シーンを撮る予定の)橋が流され、神護寺で撮影」など。

 

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イベント後半には、七夕が1日過ぎてしまったが1つ願い事が叶うとすれば?という質問。前田監督「この会場のどこかで島崎藤村先生がこの映画を観てくれていたら嬉しいです」、矢本「昨日娘の七夕の短冊には『キン肉マンに会いたい』。さらに筋肉トレーニングを極めてキン肉マンになってやろうと、キン肉マンに会わせてあげたい」と娘大好きパパを披露。石井「そろそろ旅行に行きたいです。沖縄に行きたいです」、そして間宮は「超具体的なことを言ってしまうと上映館が増えること」と『破戒』大ヒットを熱望。

 

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そして最後に、前田監督は「島崎藤村がこの原作を書いて100年以上経ち、市川昆監督が映画を作って60年経っても、まだ部落差別はなくなっていない。でも希望を持って生きていけば、今日をうつむかないで歩いて、強く生きていければ明るい未来が待っている。そういう希望の映画です。『ロミオとジュリエット』です!」と話し、間宮は「この映画を観たときに、自分の過去・現在、自分の周りにいる人たち、そして未来に対しての思いはここに来てくださった人の数だけあると思うので、そのきっかけになればいいかなと思っています。この作品をそういう風に観てくださる方々の力を貸していただけると、とても嬉しく思います」とアピールして、イベントを締めくくった。

映画『破戒』(配給:東映ビデオ)大ヒット上映中
©全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

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