【後編】早見あかり インタビュー 舞台『血の婚礼』「心の近さは絶対に芝居に出る。木村達成さんと須賀健太さんとは親友になれると思いました」
2022/8/12 10:55
取材・撮影/RanRanEntertainment
――今回、この舞台に出演を決めたのはどういう思いからですか?
舞台が、映像が、と区切りをしたり、どちらに重きを置いていこうとは考えていなくて、いい縁があったらどちらもやっていきたいという思いです。
――音楽の方はいかがですか?
必要とされればやっていくことはあると思うので、絶対ゼロではないのですが、やりたいかやりたくないかと言われたら、あんまり得意な方ではないのでやりたいとは思っていないです(笑)。今回歌うって言われたらどうしようというのはあります。
――歌がありそうですよね?
木村さんは歌うと言われたとおっしゃっていたので、“おっ?!”というのはありますけれど(笑)、人生何でもチャレンジなので。どうなるかはまだわからないですが。
――そして、生演奏ですね。
絶対やっていてテンションが違うのではと思います。一番最初に出演した舞台も生演奏で、すごい楽しかったんです。体に響いたりしますよね。今回どういう風に音楽が入ってくるのか楽しみです。
――生の舞台を体験する醍醐味についてはどのように考えていらっしゃいますか?
映像でしか見られない人間が本当に動いている人間だとわかる。それは当たり前のことですけれど、スクリーンの中、ドラマの中など平面でしか見られない人間が、本当にこの世に存在していて、自分の目の前で動くということが、やはり演劇の醍醐味だと思っています。だからこそ自分たちがかける情熱とかエネルギーが、観に来た人たちにも100伝わると思っています。今回は音楽、美術、いろいろなもので演劇は表現していきます。それはやはり劇場に来ないとわからないと思います。映像は映像用の切り取り方があって、今はすごく便利なライブ配信で舞台を観られて、劇場に来られない人も観られるというのは素晴らしいことだとは思いつつも、やはり生で観てくれる人に対して構成していくのが舞台だと思うので、実際に劇場に来てもらいたいです。映像作品だと、ここを観て欲しいということを、こちら側、例えば監督が決めて、カット割りがあるじゃないですか。舞台はカット割りがないからお客さんはどこを観ても自由です。そこを好きにできるのが、舞台の面白さなのかなと思います。
――お稽古はこれからだとお聞きしていますが、現時点で準備していることは?
本を読むぐらいで、全然ないです。だいぶ前ですが、自分が“こうだ”と決めて行って、実際求められていたものと違っていた時に、決め込み過ぎていて、変えていく作業が大変だったことがあったんです。それからあまり考えないでおこうと思っています。こうかな?ぐらいで行こうと思っています。
――今回、真夏のお稽古で、かなり体力も必要になってくるのではないかと思います。普段、体力維持や健康に気をつけていらっしゃることはありますか?
ピラティスとか、腸もみをしたり、セルフお灸をしたり、見た目を綺麗にするというよりは中身をしっかり整えることに注目してやっています。健康体でいたいというのが一番強い思いです(笑)。
――腸もみとか、セルフお灸とかをされているのは珍しいですよね?
体の中で一番大事なのが腸なのでやっています。私は外的なストレスがあると胃腸にすごく来てしまうんです。お灸をしたり、腸もみで内臓の位置を整えることですごく生活がしやすくなるんです。まずはそこが大事だと思っています。体の中がぐちゃぐちゃで、外だけ整えて綺麗に見せても、それは本当に健康なのかと、今は私のテーマです。
――今後、挑戦したいこと、やってみたい役はありますか?
お母さんの役をやってみたいですね。妊婦の役はやったことがあるのですが、母親役はないので、やってみたいなと思います。
――それはご自身の経験からでしょうか?
経験は生かせると思います。出産のシーンもやってみたいです。どこまでリアルにやっていいかわかりませんが、どういう作られ方をしているのかも知りたいし、興味からやってみたいです。
――プライベートで挑戦したいことは?
挑戦したいことよりも、プライベートはずっと楽しく生きていたいです。チャレンジすることがあってもなくても、楽しいなと思えていたらいいなと思います。
――今、楽しいなと思える瞬間はどんな時ですか?
ひとりでいる時はピラティスです。家にいたら娘が言葉をしゃべれるようになってきたので、単語を一生懸命話している姿を見ている時ですね。
――結婚や出産を経て、演技やお仕事に対する考え方に変化はありましたか?
自分にとって仕事がすごく必要なものだということに気付きました。1年ほど産休でお芝居の仕事をしない時期があって、昨年末に舞台で仕事に復帰した時に、やはりお芝居が大好きなことを改めて感じたので、今は仕事をすることがすごい楽しいなと思ってやっています。
――最後に、この舞台をご覧になる皆さまにメッセージをお願いいたします。
ハッピーエンドという作品ではないのですが、誰かが誰かのことを強い思いで愛している、というのは自分たちにも重なる話です。観る人それぞれ感じ方も変わり、いろいろな思いが出てくると思いますし、様々な要素が詰まった作品になると思います。文字だけを見ていてもそれぞれのキャラクターの情熱をすごく感じる。生身の人間が動いた時にどうなるのか私も楽しみです。それを観に来てくれた人たちに実際肌で感じてもらえると思うので、音楽、殺陣、ぜひ観にいらしてください。
――ありがとうございました。
舞台『血の婚礼』
東京公演 2022年9月15日(木)~10月2日(日) Bunkamura シアターコクーン
大阪公演 2022年10月15日(土)~16日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
出演:
木村達成 須賀健太 早見あかり
南沢奈央 吉見一豊 内田淳子 大西多摩恵 出口稚子 皆藤空良
安蘭けい
演奏:古川麦 HAMA 巌裕美子
主催・企画制作:ホリプロ 主催(大阪公演):梅田芸術劇場/ABCテレビ
公式サイト https://horipro-stage.jp/stage/chinokonrei2022/
【ストーリー】
南スペインのアンダルシア地方のとある村。母親(安蘭けい)と二人暮らしの“花婿”(須賀健太)は、父親と二人暮らしの“花嫁”(早見あかり)と結婚したいという想いを母に告げる。母親は、溺愛する息子の成長を喜びつつも、ただ一人の家族の旅立ちに複雑な想いがのこる。花嫁は優しく家庭的な娘と聞くが、気にかかる噂がある。息子と恋仲になる以前、心を通わせた男がいるという。男の名はレオナルド(木村達成)。かつて、レオナルドの一族に母親の夫と息子は殺されたのであった。レオナルドは花嫁との恋が破局した後に、花嫁の従妹と結婚し、今は妻子と姑との四人で暮らしていた。レオナルドの友人でもある花婿は、心配ないと母に明るく語る。花嫁は、花婿と幸せな家庭を築くと決意していた。しかし、花嫁の目の前に現れたのは、かつての恋人・レオナルド。思いもよらない人物の出現に激しく心が揺さぶられる花嫁。忍び寄る不穏な闇・・。二人の男の愛がひき起こす、婚礼の日に起きる悲劇とは・・。
<文:高橋美帆 撮影:篭原和也>