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2022年8月31日 09:16

松山ケンイチ「ムロさん、満島ひかりちゃん、吉岡秀隆さんとのコミュニティの中に入って小さな幸せや喜びに気付く物語」 映画『川っぺりムコリッタ』プレミア上映イベント

取材・撮影/RanRanEntertainment

映画『川っぺりムコリッタ』(9月16日公開)のプレミア上映イベントが、8月30日(火)に都内で行われ、主演の松山ケンイチ、共演のムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、そして荻上直子監督が登壇した。 

 

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本作は、荻上監督のオリジナル脚本で、人と人との繋がりが希薄な社会で、人はどうやって幸せを感じることができるのかという、根本に立ち返って実感することができる温かい物語。

荻上監督はオリジナルの脚本に拘ってきて、本作を撮ろうとした経緯について、「NHKのドキュメンタリードラマで“遺骨の行方”をやっていて、わざと遺骨を電車の中に忘れていった人とか、いらないから捨ててしまうような遺骨が役場にいっぱい並んでいるのを見て、この一人ひとりの人生ってどうなっているのかな?っていうところから話が浮かびました」と語り、脚本も書き、小説にもなり映画になったという経緯が明かされた。

 

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松山が演じたのは、北陸の塩辛工場で仕事も見つけてハイツムコリッタに引っ越してきた山田。ハイツにやってきたときは生きる意欲を見失っていて、個性的な人たちと出会って変わっていく。松山は「山田は生きていても仕方が無いと思いながら生きているんですけど、ご飯食べたら美味しいし、皆で一緒にご飯食べたら喜びがある。そういうことに気付いてなかった。逆に見ないふりをしていた。でも、ムロさん演じる島田だったり、ひかりちゃん、吉岡さんみたいな住人の人たちとのコミュニティの中に入ることで、自分のすぐ側にはいろんな小さな幸せや喜びがあったことに気付いていったというのがこの物語。それは、山田だけではなく、僕自身もそういうことがあるなと思ったし、多分観ていただくお客さんにも、そういう気付いていなかった部分が多々あると思う。なので、この映画をきっかけに、自分の周りを見回してみると、新しい発見があるんじゃないかなと思います」と本作の本質をアピールした。

 

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そして、山田の心をグイグイこじ開けていくのがムロ演じる隣りの住人・島田。ムロは「島田という人は多分人も怖がっていたし、孤独も怖がっている。そのタイミングでもやってきたのが隣人・山田さんなんです。島田にとっても救いの人だったんだなと思いながら演じました。お節介もしくはグイグイといくことで自分の孤独感を紛らわしたり、本当は打算的に隣の炊きたてのご飯が食べて、お風呂に入りたかっただけの男かもしれないけど、行動するまで色々考えた人なんだろうなと思って、演じさせていただきました」と難しい役にチャレンジしたことを明かした。

 

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夫に先立たれ、娘と二人で暮らしているハイツムコリッタ大家・南を演じた満島は「キャスティングを聞いて、荻上さんは意地悪と思いました。松山さんが生きることを解くような役をやって、ムロさんのエンタテインメントを奪うような役をやっているとか、吉岡さんが男の子と一緒にお墓を売り歩く役をやるといったキャスティングが意地悪だなと。荻上さんに『何で大家さんは私なんですか?』と聞いたら、『ぶっ飛んだ女性に憧れていたけど、お母さんになって、思うようにぶっ飛べなかった女性の役で、満島さんは飛んでいる気がしていてから』というような話をされた。優しい作品の中に毒気があったりとか痛みがあったり、キャスティングを含めて、私はすごく面白いなと思って、この映画参加しました。実際出来上がった作品を観て、人間と空とか草花とか動物が同じような目線で捉えていて、人間だけがメインになっていない映画っていうのがすごく愛しかったし、いい役をいただいたなと思いました」と意地悪な監督に感謝していた。

 

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さらに、吉岡は「本当に大好きになった映画。荻上さんが書いた小説を読んで、映画化しないのかなと思っていました。この映画を観て面白いなと思ったら、この小説を一度読むと、活字から来る景色がスクリーンから観るものとは別の角度で読めたり、もう一度映画館に足を運べば、どんどん浸みてくる映画だと思います」と作品の良さをアピールした。

荻上監督は「2017年に脚本を書き終えたすぐ後にイタリアの映画祭に行ったら、松山さんが目の前に座わられていて、これは絶対運命だと思った。脚本を深いところまで理解してくださる。ムロさんのチャーミングな部分はTVでも拝見していたんですけど、現場では『チャーミングさはいらないから』と言ってしまったのですが、すごい努力家で、真摯に役に取り組んでいただいた」と二人を評価。さらに満島について「怖いんですよね。タクシーの後ろで娘と並んでいるシーンをモニターで見ていたら、満島さんから『かんとく~、子供さんが恋しいんでしょ?』と言われ、子供を思い出して寂しくなっていたのを察知して、人の心を読みやがって!」と笑顔を返し、吉岡には「大黒柱みたい。本当に頼れるし優しいし、安心安定、経験豊富・・・」と最大限の讃辞を贈っていた。

 

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撮影中、荻上監督とのエピソードについて、松山は「山田と島田がビールを飲むシーンがあったりとかするんですけども、久しぶりに飲むビールは旨い。あー旨い!みたいな感じでやってたんです。そしたら監督から『ビール、もっと旨くないですか』という下りが結構ありましたね。ご飯もそういうような感じで、『ご飯はもっと盛りますよね』。演技には細かに演出されてなかったような気がするんですが、口に入るものにはものすごく拘りがある監督だなと思いました」と評価していた。

 

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ムロは「荻上さんと出会ったことで、役者としての考え方を変えさせていただいた。『今までのムロツヨシを捨ててください』と、はっきり言われることは無い。とてつもなく厳しい言い方も。荻上さんと二人でお酒を飲みながら議論させていただき、そこから僕も参加しているという感覚が生まれました。松山君が『ムロさん、何があったんですか?』って言うぐらい元気がなくてどこに行っちゃうんだっていうような状況だった。僕の役者人生は荻上前、荻上後で変わっています」と荻上監督に最敬礼を行った。

その一方で、松山がムロとのエピソードを語る。「射水市の蕎麦屋で、店員さんにサインを頼まれ、ムロさんの書いたサインが“川っぺりムロリッタ”(ムコリッタでなくムロリッタ)」、ムロは慌てて「職業柄、ムロツヨシって書くことが多いんです。ムコリッタのコについつい縦線をいれちゃった」と弁解。松山も「図々しいなあ」とあきれていた。

吉岡は「僕は監督とは食事したこともないし、ムロさんと松山さんがお蕎麦に行くのも、僕は後ろで見届けていました。僕はスタッフの皆さんと一緒にお弁当を美味しくいただきました」と笑わせていた。

映画『川っぺりムコリッタ』 9月16日(金) 全国ロードショー

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